つがる市森田 つがる地球村温泉

青森県

(2020年11月訪問)
拙ブログでは久しぶりに青森県の温泉を取り上げます。つがる市の森田地区には町村合併前の森田村時代から「つがる地球村」という複合リゾート施設があり、拙ブログでも以前この施設内にある「藤山邸」という宿泊棟の温泉浴場を紹介したことがあります。この「藤山邸」の隣に、2020年6月新たな温泉入浴施設がオープンしたという噂を小耳に挟んだため、開業から約半年後の同年11月に訪問することにしました。


実際に現地へ行ってみますと、「藤山邸」の左隣に大きく新しい建物が建っており、その側面に「つがる地球村温泉」という名前が立派に掲げられていました。私のPCから古い画像を漁って当地の過去を調べてみますと、この新しい温泉施設が建てられた場所は、かつて「想遙館」という宴会施設があったようです。それを全面的に取り壊して建て直したんですね。


新温泉施設は「藤山邸」とは廊下でつながっているため、「藤山邸」に宿泊すれば新しいお風呂にも入れるのかもしれません。


玄関から館内に入り、下足場に靴を収め、受付カウンター前に設置されている券売機で料金を支払います。さすがに新しい建物だけあって館内はとても明るく、白色基調の内装で清潔感に満ち溢れています。受付があるホールは奥に長く、奥の方には飲料自販機を備えた休憩スペースが設けられています。


大きな窓ガラスと高天井が採用された内湯は、とても明るく開放的な空間です。主浴槽は大きな窓の下に設けられており、そのサイズは私の目測で3m×9 mというかなり大きなもの。浴槽の縁には黒い御影石が、浴槽内にはベージュのタイルが用いられています。そのゆとりある浴槽の真ん中に木箱でできたような湯口があって、下からお湯が噴き上がっています。浴槽を満たしたお湯は窓側と洗い場側の両方にオーバーフローしており、その排出される流量を見れば、湯口から投入され続けている湯量の多さを実感することができるでしょう。また常時温泉がオーバーフローされ続けているため、新しい施設にもかかわらず、洗い場の床タイルは温泉成分の付着によって既に茶色く染まっていました。

この内湯で特筆すべきは水風呂でしょうか。青森県の温泉銭湯を巡っているとしばしば、主役であるはずの温泉に比肩するほど素晴らしい水風呂に出会うことがありますが、こちらもその典型例で、淡く黄色に笹濁った地下水(鉱泉水)が使われているこちらの水風呂は、4~5人同時に入れそうな大きさを擁し、地下水ゆえに水温が一定で季節を問わず冷たすぎず、しかも単なる冷水とは違う独特の浴感を有していて非常に気持ち良いのです。 なお水風呂があるということは当然サウナも浴室内に設けられており、洗い場で汗を流したオジサンたちはサウナへ続々と吸い込まれていました。都市部や地方、東や西といった地域差なんて関係なく、サウナは皆さんに人気なんですね(実を申しますと、私はサウナがそれほど好きではありません)。


洗い場にはシャワー付き混合栓が計17基設けられています。なおカランから出てくるお湯は水道の沸かし湯です。


内湯の隣には露天風呂も用意されています。両方には壁が立ちはだかり、目の前にも目隠しの塀が立っているので、露天風呂に期待したくなるような開放感はさほど得られないのですが、でも眼前の景色に立つ木々がとても美しく、私はそれらを眺めているだけでも心が癒されました。
露天風呂の浴槽は内湯の3分の1ほどのサイズ感ながら、10人は同時入浴ができるかと思われます。内湯では浴槽の中央に木箱のような湯口が設けられていましたが、この露天ではその木箱を半分に割ったようなものが壁に設置されていて、そこから内湯と同じ温泉が注ぎ込まれていました。もちろん露天風呂からもお湯はしっかりオーバーフローしています。


こちらのお湯は津軽平野の温泉銭湯でよく見られる食塩泉。見た目は 蜂蜜を連想させるような淡い琥珀色の透明で、浴室内には温泉独特の匂いが充満しています。湯口のお湯を口に含んでみますと、出汁の味と香り、塩味、金気味、そしてほろ苦さが渾然一体となって感じられ、メタンガスの存在を思わせるような匂いとモール泉のような香りが嗅ぎ取れました。
湯船に浸かると想像以上に強いツルツルスベスベの滑らかな浴感が全身に得られたのですが、これは温泉に含まれる重曹の影響かもしれません。惜しくも先日閉館してしまった旧森田村の「おらほの湯」も食塩泉ながら重曹を多く含む泉質でしたので、その近所である当温泉のお湯も似たような特徴を有しているのかもしれません。
その一方で温浴効果が強いのは言わずもがな食塩のおかげ。重曹泉の爽快感と滑らかなさ、そして食塩泉の力強さを兼ね備えた実に入り甲斐のある温泉であり、しかもそんな良泉が掛け流しの湯使いで提供されているのですから文句の付けようがありません。

私が内湯の湯船に浸かっている時、浴槽中央に立つ湯口にもたれかかって、湯口から噴き上がって落ちてくるお湯を打たせ湯のようにして楽しむお客さんがいらっしゃいました。初訪問の私は、そのオジサンの行動を見て「(マナー云々は別にして)面白いことをやるなぁ」と興味津々で見ていたのですが、やがて別のお客さん(しかも複数名)も同じような入浴行動をとっていることに気づき、開業から1年も経たないうちに、早くもこの浴場ならではの入浴スタイルが常連さんの間で確立していることを知ったのでした。「おらほの湯」が廃止されて以降、この温泉は森田地区の人々の憩いの場として末永く愛されることでしょう。

つがる地球温泉
ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉 
43.7℃ pH7.7 湧出量測定不能(掘削動力揚湯) 溶存物質1.732g/kg 成分総計1.834g/kg
Na+:431.4mg(91.96mval%),
Cl-:246.1mg(33.74mval%), Br-:0.9mg, I-:0.3mg, HCO3-:824.4mg(65.68mval%),
H2SiO3:174.0mg, CO2:102.0mg,
(平成26年4月10日)
湯使いに関して、公式サイト内に「源泉かけ流し」と表記あり。
(ただし湧出温度が43℃なので、冬季は加温しているものと推測されます)

青森県つがる市森田町床舞藤山244
0173-26-2855
ホームページ

6:00~22:00 無休
450円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★

コメント

  1. ぬる湯マスター より:

    Unknown
    こんばんわ^^。
    ほほぅ、、、琥珀色の美味しそうな色をしておりますな!
    こんなに立派な施設なのに、この来訪時にはお客さんは少なかったんですね。
    これならソーシャルディスタンスもバッチリですな^^b
    恐らく、今はワクチンの接種も済んでおりますでしょうから、
    以前ほど、コロナの脅威に怯えずに済みそうです。
    私も少しずつ、旅行に行き始めております。年末が楽しみです。
    こちらほど良い温泉ではないですが、久しぶりの温泉に、
    舌なめずりをしながら過ごそうと思います。

  2. K-I より:

    Unknown
    ぬる湯マスターさん、こんばんは。
    返信遅くなり申し訳ございません。
    こちらでは、運よくお客さんの波が途切れたタイミングがありました。新しいお風呂に良質の温泉ということで、文句なしに高評価の施設でした。
    私もしっかり気を引き締め警戒しつつも、徐々に動き始めるつもりです。

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