(2021年5月訪問)
たまに行きたくなる特定の温泉ってありますよね。東京西郊に住む私にとって、伊豆に点在する共同浴場は比較的手軽に非日常の温泉気分が味わえるので、あまり遠出できないときには伊豆へ向かうことが多く、とりわけコロナ禍で地方へ出かけにくくなっている昨今では、伊豆の共同浴場のお世話になることが多くなっています。今回取り上げる韮山温泉「温泉館」もそのひとつ。今回記事のタイトルこそ「再訪」ですが、実際には今まで3~4回ほど訪問を重ねています。
拙ブログでも2011年10月に一度こちらの施設を取り上げていますが(当時の記事はこちら)、それから11年ぶりに再度記事にしてみることにしました。
以前こちらの施設は伊豆の国市営でしたが、最近経営が市から「韮山源氏温泉協同組合」へ移管され、それに伴って施設名も「韮山温泉館」から地名を削除した「温泉館」へと変更されています。また公営ではなく民間施設という位置づけになったようです。なお韮山温泉と称していますが、最寄り駅は伊豆長岡駅です。
下足場の右側に設置された券売機で湯銭を支払うと、番台にいたおじさんがここまで出てきて対応してくださいました。そして私や他のお客さんが浴室に入ると、おじさんはその度に、男女各浴場入口の脇にぶら下げられた小さなホワイトボードへ、水色もしくはピンクのマグネットを貼り付けて入室客数をカウントしていました。中の混雑具合を把握するためでしょうか、あるいはコロナ感染対策なのでしょうか。
地元民向けの共同浴用ですから、脱衣室の内部は至ってシンプル。ロッカーとSUS製の流し台、そして扇風機があるばかりです。さっさと着替えてお風呂へ向かいましょう。
白色基調のタイルが多用された室内もやはり余計な装飾など無く、汗を流して湯船へ浸かることに専念すれば良い、という思想に基づいているような潔い造りです。手前側に洗い場が、奥の窓下に浴槽が配置されているのですが、天井が低く、また梁などの関係もあって、手前側は昼間でもやや薄暗い感じです。
洗い場にはシャワー付き混合水栓が3つ並んでいます。なお石鹸類の備え付けはありませんので、事前に用意しておきましょう。かく言う私もこの日はうっかり忘れてしまったので、付近のドラッグストアでトラブル用、いやトラベル用の小さいボディーソープ等を買い揃えてから訪問したのでした。
底に敷き詰められた豆タイルから昭和の雰囲気が漂ってくる横長の湯船は、並んで入れば6人サイズ、詰めればもう1~2人は入れそうな大きさで、女湯側の側面から出ている湯面下の湯口より源泉が投入されています。湯口には布が被せてありますが、特に湯の花が出るような泉質ではないので、あくまでお湯に混じってしまう砂や配管錆などの固形物を漉し取るためのものでしょう。
そのお湯は無色透明無味無臭でサラサラとしたさっぱりしています。脱衣室には41℃に調整していると書かれていましたが、私の体感では42~3℃ほどあったように感じられました。純然たるかけ流しの湯使いで、お湯の鮮度感は抜群。癖も嫌味も外連味も無いアッサリ系のお湯なので、普段使いにもってこいでしょう。にもかかわらず温浴効果がパワフルなのは、さすが本物の温泉たる所以。シンプルなお風呂だからこそアッサリとしたお湯の持ち味が良く伝わってくるのです。
浴舎の裏手には源泉井があります。ここから汲み上げているんですね。浴槽の目と鼻の先で汲み上げているのですから、そりゃお湯がフレッシュなのも頷けます。今回も良い湯でした。また来ます。
富士見の湯 韮山8号
アルカリ性単純温泉 60.5℃ pH9.4 82.4L/min(動力揚湯) 溶存物質0.868g/kg 成分総計0.868g/kg
Na+:238.6mg(84.39mval%), Ca++:35.5mg(14.39mval%),
Cl-:163.7mg(37.35mval%), SO4–:333.8mg(56.18mval%), OH-:0.4mg, CO3–:16.1mg,
(2020年9月28日)
加温循環消毒なし(ただし清掃時は次亜塩素酸系洗剤を使用)
加水あり(温度調整のため)
静岡県伊豆の国市南條1603-1
055-949-2639
15:00~20:00 月・木・年末年始定休
400円
ロッカー(100円リターン式)あり、他備品類なし
私の好み:★★★
コメント