(2022年4月訪問)
林業とマタギで知られる秋田県阿仁地区は温泉の数が多くないため、みちのくを得意とする拙ブログでも今まで触れたことは無かったのですが、当エリアでは珍しいかけ流しの温泉に入れる打当地区の温泉旅館「マタギの湯」で日帰り入浴してきましたので、その時のレポートを書き綴ります。
秋田県道308号線を東に走り、秋田内陸縦貫鉄道の阿仁マタギ駅を通り過ぎてしばらくすると、右手に見えてくる大きな建物が今回目指す「マタギの湯」です。こちらは宿泊業の他に日帰り入浴や食堂営業など、センター系施設としての要素も兼ね備えており、私が訪問したときにも、界隈にお住まいと思しき爺さん婆さんが軽自動車でやってきて、大きな建物へと吸い込まれていきました。
駐車場の一角には再現したマタギ小屋があり・・・
小屋の中ではクマの剥製がおっかない顔で牙を剥いてこちらを睨んでいました。ちょっとびっくり。
玄関ホールでは子熊の剥製や顔抜き看板がお出迎え。
靴を脱いで右手のフロントで入浴料金を支払います。
ロビーで前脚を上げて二本足立ちしている巨大な熊は、ヒグマのごんた君。生前は近所のクマクマ園で飼われていたそうです。でも秋田県にヒグマは生息していないので、ご当地のマタギが捕らえたものではなく、北海道から連れてこられたのでしょうね。
さて、ロビー右手の廊下を進んだ突き当たりが浴場です。途中の廊下には秋田内陸縦貫線やマタギを写した写真がたくさん展示されていました。
脱衣室は広くて綺麗。室内には人感センサーで点灯する照明が設置されています。エアコンもあるので季節を問わず快適に使うことができるでしょう。なおロッカーは脱衣室の入口に用意されています。
大きなガラス窓によって外光が燦燦と降り注ぐ明るい浴場。
男湯の場合、洗い場は左の壁に沿って12個のシャワー付き混合水栓が一列に並んでいます。
なお浴場へ入ってすぐ右側にサウナが設けられていますが、訪問時は新型コロナ感染対策のため使用中止になっていました。
内湯の浴槽は緩い円弧を描くような形状で、手前側が3分の1、奥が3分の2という割合で二分割されています。手前側は(目測で)幅3.5m×奥行3m、奥は幅6m×奥行3mといったところでしょうか。手前の小さな浴槽は熱く、奥の大きな浴槽は適温ですが、小さな方は濁り方が弱くて透明度があり、浴槽内で温泉を供給しています。
一方、大きな方は適温ながらはっきりと濁っています(後述する露天風呂と同じ程度)。また、温泉は大小両浴槽の仕切りの上にある湯口から落とされています。大小両浴槽は、大きさのみならず、お湯の湯加減・濁り方・投入方法などいろいろと異なっているんですね。なお両浴槽とも湯尻に向かってオーバーフローしています。
露天風呂はいわゆる岩風呂で、5~6人は同時に入れそうな大きさです。
建物の下に設けられた露天風呂なので頭上の開放感こそありませんが、周囲の山々や広々とした田園風景を眺めながらの湯あみできますのでとっても爽快です。なお露天風呂のベランダに設けられた仕切りはガラス製であるため開放感を引き立てていますが、こちらから丸見えということは外側からも丸見えなのかしら・・・。いや、実際には外側からは見られないような加工が施されているものと思われます。
石造りの熊が口を開ける湯口からお湯が投入されており、湯尻からしっかりオーバーフローしています。なお湯船は適温でした。熊さんのお口の周りには山塩でできた髭が蓄えられていますね。
さてこちらのお湯についてですが、海から遠く離れた山間部にもかかわらず、しっかりしょっぱい山塩の食塩泉です。塩味のほか少々の金気味と出汁味、そして石灰っぽい土類泉の味が得られます。湯船に浸かりながら湯面に鼻を近づけると、金気臭や石灰的な香ばしい匂いが香ってきます。なお炭酸味や気泡の付着などは全くありません。
上述のように比較的熱い内湯の小さな浴槽は濁り方が弱いのですが、内湯の大きな浴槽や露天風呂では黄土色と深緑色を混ぜたような色にはっきりと濁っています。
湯中ではキシキシと引っかかる浴感が全身を覆い、お湯が肌の皴一つ一つにしっかり沁み込んでくるようです。館内表示によれば塩素消毒ありとのことでしたが、特に消毒臭が気になりませんでした。以前は内湯が循環だったようですが、現在は内湯・露天風呂ともに源泉かけ流しです。
しょっぱい温泉ですから厳冬期は体の芯までしっかり温まりそうですね。
ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉 54.9℃ pH7.0 溶存物質4.056kg/kg 成分総計4.064g/kg
Na+:789.6mg(51.22mval%), Ca++:635.0mg(47.26mval%), Fe++:0.5mg,
Cl-:1955mg(82.34mval%), Br-:2.8mg, SO4–:551.4mg(17.14mval%),
H2SiO3:40.7mg, HBO2:33.6mg, CO2:8.6mg,
(令和3年10月26日)
加水あり(源泉温度が高いため)
消毒あり(衛生管理のため)
秋田県北秋田市阿仁打当字仙北渡道上ミ 67
0186-84-2612
ホームページ
日帰り入浴9:00~21:00
600円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★★
コメント
Unknown
こんばんわ^^^。
獅子の湯口も良いですが、熊の湯口も中々ですね^^b
しかし不思議なのは、何故山間部の温泉のお湯が塩味なのか?
ただただ温泉の神秘さに唸るばかりです。
私もチラホラと温泉を巡り出していますが、
コロナによるサウナ禁止もほぼ解除されているようです。
いよいよ脱マスク、コロナ恐るるに足らず、と言ったところ。
数年ぶりに、万座の強烈な硫黄の香りを嗅ぎに行きたく思いますね~。
Unknown
ぬる湯マスターさん、こんにちは。
熊の湯口は珍しいですよね。
おっしゃるように、温泉の神秘さにはいつも驚かされます。きっと、その神秘さに私のような人間は惹かれて、全国津々浦々を旅してしまうのですね。
万座にも行きたいなぁ。