※残念ながら閉館しました。
福島県・南会津地方を南北に貫く国道289号線を只見方面からずっと南下すると、旧南郷村の中心部で東から伸びてきた国道401号線と合流して国道の重複区間となりますが、その合流地点から約2キロ南へ進むと宮床集落に辿りつきます。この集落で国道からちょっとはいったところにあるのが宮床温泉です。
付近の温泉施設は公営である場合が多いのですが、ここは民間の手により運営されており、資金的な問題なのでしょうか、それとも細かいことを気にしない経営姿勢なのでしょうか、外観といい内部といい、B級感の漂う独特な鄙び方をしています。玄関を入るとレジがあり、そこで料金を支払います。私の訪問時は誰もおらず、何度か大声を張り上げて「ごめんくださ~い」と呼び出したら、ようやくおばさんがやってきました。なんとも長閑です。レジの左奥が軽食コーナー、正面が浴室となっています。平日の昼間に訪れたので先客・後客ともにゼロ。これでは店番のおばさんがどこかへ行ってしまうのも頷けます。ではお客さんがいないからお湯も大したことないのかといえば、決してそんなことはありません。お風呂は内湯ひとつしかありませんが、薄く橙色に濁ったお湯が掛け流されており、ふんだんにオーバーフローしているので、常に新鮮なお湯が楽しめるのです。
浴槽の奥に木の樋があって、そこからはぬるめのお湯が注がれているのですが、その樋の真下辺りにある浴槽の底の湯口からは熱めのお湯が供給されていました。循環も加温もないとのことですので、樋のお湯は遠回りして冷めてしまったお湯、底からのお湯は源泉そのままのお湯と考えてよさそうです。薄い橙色に濁ったお湯は浴槽の底のつま先が見えないほどに濁っています。薄い塩味と金気味、そして微かな金気臭とアンモニアのような匂いが感じられました。臭覚に関しては、湯口から離れるほど上述の匂いが薄くなり、そのかわりに畑の土のような匂いが前面に出てきているようでした。底には橙色の沈殿が薄っすら溜まっており、底に手をつくと手が橙色に染まるほどでした。なかなか濃いお湯のようです。
B級感が漂うのは外観や待合室のみならず浴室も同様で、浴室の壁にはボード建材のようなものが吊るされており、はじめて見たときは改装工事中なのかと思ったのですが、よく見てみるとボードには可動式のワイヤーが繋がっていて昇降できるようになっているので、どうやら営業時間終了後にこのボードを下ろして浴槽の蓋にしているようです。こんな仕組みの蓋を見たのも初めてながら、あまりに手作り感たっぷりなので、つい笑ってしまいました。
余談ですが、訪問したのは9月上旬。レジのまわりには大きくて張りのあるトマトが陳列されていたので、試しに購入。帰宅してから食べてみたら、これが実に美味でした。久しぶりに味と風味の濃いトマトを口にすることができ、感激しました。旧南郷村はトマトの生産に力を入れているようで、南会津特有の気候と高い標高、昼夜の気温差が「日本一の味と品質」を生み出しているんだとか。7月下旬から10月下旬まで生産されているそうですので、時期が合えば是非お試しあれ。
温泉入口に立つ看板
B級感漂う雑然とした軽食(休憩)スペース
浴室。左に見えるボード(建材)がお風呂の蓋
ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉
45.3℃ pH7.6 24L/min(動力揚湯) 蒸発残留物3457mg/kg
福島県南会津郡南会津町大字宮床字欠下496 地図
0241-72-2589
※残念ながら閉館しました。
9:00~19:00 火曜日定休(祝日は営業)
500円
ドライヤー・シャンプーあり
私の好み:★★
コメント