人吉 いわい温泉

熊本県

人吉市内に多く存在している温泉共同浴場のひとつで、ホテル「さ蔵」が運営している民間の施設なのですが、ここはちょっと普通ではなく、どういうことかと言えば、なんと24時間営業なのです。人吉は人口が約35,000人なのに、24時間もぶっ通しで営業するほどの需要があるんでしょうか。しかも24時間営業はここのみならず、私が知る限りではもう一軒あるので、この街の温泉にかける情熱というか執念というか、力の入れようには全く恐れ入るばかりです。

人吉駅前から伸びる通りを真っ直ぐ進んで人吉橋を渡り、駅から約1.5kmのところにあるローソンの角を左に入ってすぐのところにあります。破風となまこ壁を模した和風の建物はビジネスホテル「ひのき屋」を兼ねており、その1階が温泉浴場になっています。入口前には「いわい温泉白蛇神社」と名づけられた小さな祠が祀られ、手水には温泉が用いられ、その前には様々な姿勢をとっている幾体かのお地蔵さんが並べられていました。神道の祭壇に地蔵菩薩とは、近世以前の神仏習合の時代に戻ったかのような取り合わせです。

 
左:前にお地蔵さんが並ぶ「いわい温泉白蛇神社」
右:入口を入ったところ。券売機や自販機・ロッカーなどが並ぶ

中に入ると番台のようなものはなく無人で、券売機で入湯券を購入し、専用の箱に券を入れてから脱衣所へと向かいます。玄関ホールにはロッカーが設置されていますが、10円玉が必要なので、事前に用意しておきましょう。人吉の他の浴場と同様に、脱衣所と浴室の間には数段の差があります。その段差を下がった浴室は基本的にコンクリートで造られており、一部の梁や浴槽の縁などには木材が使われています。浴槽の真ん中には石臼の片方を縦にしたような形の湯口が据えつけられ、左側はバイブラ、右側は電気風呂になっていました。供給されるお湯の量は豊富で、ふんだんにオーバーフローしています。また浴室内にはこの主浴槽の他、後方に隠れ部屋のような狭い空間があって、そこにも小さな浴槽が設けられており、閉鎖的な個室感を楽しみたい方は、こちらの浴槽もいいかもしれません(胎内回帰欲求みたいなものでしょうか)。主浴槽の窓の外には、やはり小さく3人サイズ程度ですが露天風呂もあります。露天とはいえ、猫の額のような場所につくられており、建物と高い壁で囲まれているため、外の景色は見ることができません。

お湯は無色透明・ほぼ無味で、湯口では微かにモール泉の匂いが感じられました。お湯に浸かっていると、若干ですが泡付きがありました。また弱いながらツルスベ感もありました。湯口にはコップが置かれているので飲泉が可能です。人吉の温泉にはモール・つるすべ・泡付きという共通項が見られ、その中でそれぞれ個性を発揮していますが、周囲の強い個性に埋没するかのようにここの温泉はちょっと主張を遠慮しがちで、お湯の特徴が弱めであるような気がします。でも常連さんの心はガッチリ掴んでいるようで、私が入っている間は客脚が途絶えることはありませんでした。

 
左:主浴槽
右:隠し部屋のような小浴槽


こじんまりとした露天風呂

ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉
48.0℃ pH7.49 210L/min 総成分量1824mg/kg

JR肥薩線・人吉駅 徒歩20分(1.5km)
熊本県人吉市西間下町143-3 地図
0966-24-8385
ホームページ

24時間営業(露天は23:00まで)
300円
ドライヤー10円・ロッカー10円

私の好み:★★

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