五十沢温泉 五十沢温泉(ゆもとかん)旧館

新潟県

五十沢(いかざわ)温泉といえば旅館「ゆもとかん」(本館)が混浴ファンの間では有名ですが、私は混浴があまり好きではなく、更には新より旧、大より小、有名より無名、優勢より劣勢、豪華より貧弱、マジョリティーよりマイノリティーを愛する性分、良く言えば判官贔屓、悪く言えば天邪鬼なので、今回は「ゆもとかん」の旧館について書いてみます。本館の方はまた改めて。


六日町市街から魚野川を渡って県道233号線を東進すると 道沿いに「ゆもとかん」と書かれた古い看板が建植されているので、そこで左の路地に入ってすぐなのですが、建物が周囲の在地の住宅と同化してほとんど民家然としているので、よく注意していないと見逃すこと必至。迷った私は現地周辺を何度かグルグル回っちゃいました。裏手に小さなガソリンスタンドの残骸があるので、一応それが目印になるのかも。

 
旅館の本館と違って、旧館は日帰り入浴のみ。実質的には地元の共同浴場として利用されているようです。
玄関を入ると受付のおばちゃんが常連さんと世間話に華を咲かせており、外来客の私を認めるや否や、俊敏に立ち上がって掌を差し出してきました。受付には料金箱も置かれており、おばちゃんがいないときには料金を箱に入れれば良いものと思われます。
浴室へ行こうとすると、湯上りでさっぱりした顔をした年配のお客さんが、擦れ違いざまに「やっぱりあっちよりこっちの方が良い湯だねぇ」と満足げに呟いていました。五十沢には当施設の他、上述の本館と萌気園さくり温泉健康館がありますが、「あっち」とはどこのことでしょうか。いずれにせよ「いい湯だねぇ」という言葉を耳にして、期待に胸が膨らみます。


脱衣所はちょっと狭め。なぜか洗濯機が置かれていました。脱衣所のマットなどを洗うのでしょうが、他にスペースが無かったのかしら?あるいは湯治客向け? 

 
お風呂は内湯のみ。洗い場は昭和30~40年代的な小石模様のタイル貼り。浴槽は岩で囲まれており、6~7人は余裕で入れそうな大きさ。浴槽の縁からはまるで洪水のように大量のお湯がオーバーフローしているので、思わず欣喜雀躍してしまいました。


湯口から出たお湯は一旦小さな壷に落とされ、そこから溢れて浴槽へと流れていきます。無色澄明で薄い茶色っぽい浮遊物(湯の華)がちらほら散見されます。解りにくい表現ですが、茹ですぎたゆで卵の卵黄のようなはっきりとしたタマゴ味に微かなほろ苦さが混ざる味。決して強いというわけではないにせよ明瞭に主張して浴室内に充満するタマゴ臭は、よくある温泉のタマゴ臭を超えて火山噴気孔の硫化水素ガス臭を彷彿とさせるほど。泉質はアル単ですが、陽イオンはナトリウム(84.25ミリバル%)が圧倒的に多いものの、陰イオンでは塩化物イオン(36ミリバル%)・硫酸イオン(22.91ミリバル%)・炭酸水素イオン(20.57ミリバル%)がそれぞれ拮抗しちゃっている上、そもそも溶けている成分がかなり薄いために(溶存物質160.4mg/kg)、浴感は匂いや味の強い個性に反して弱めのツルスベ感。

熱めのお湯が加水されずに投入されているためか、浴槽はかなり熱く、あまり長く浸かっていられません。でも熱くても、お湯がよいのでどうしても後をひいてしまい、一度洗い場でクールダウンさせては再度熱い湯に身を漬けるという行為を繰り返して、結局思いっきり茹ってフラフラになってしまいました。水で薄めりゃいいんですが、せっかくなので源泉のままで入りたいのが温泉ファンの心理。後客のお爺さんは「よくこんな熱いお湯に入ってましたね」と呆れた面持ちで私を見つめながら、水の蛇口を全開にしてホースでお湯を薄めていました。われながらバカだと思います。
たしかに熱さで逆上せるかもしれませんが、お湯の成分はかなり薄いので、成分による湯あたりはしないのでないでしょうか。個人的な感想ですが、逆上せた体を冷やすべく周辺の田圃を散歩していたら、べた付きやかさつき等、温泉にありがちなマイナス的後味が全く感じられず、さっぱりとしてとっても爽快でした。

B級感たっぷりの鄙びた建物で、タマゴ感たっぷりの新鮮なお湯を堪能できる幸せ。聞きしに勝る素晴らしいお湯でした。温泉ファンでよかったと思います。

五十沢温泉1号井
アルカリ性単純温泉 50.3℃ pH不明 溶存物質160.4mg/kg 成分総計160.4mg/kg

新潟県南魚沼市宮  地図
025-774-2859
ゆもとかん(本館)のホームページ

8:00~20:00 第1・2・3水曜日定休
500円
無料ロッカーあり(4個のみ)、他の備品なし

私の好み:★★★

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