※2012年7月末で閉館してしまいました。
六日町の郊外、田圃の真ん中の長閑な環境にポツンと建つ思いっきり鄙びた一軒宿。水色のトタン壁が良く目立っていますが、一見したところ営業しているのか否かわからない様子。
玄関には「東京経済大学様御宿」「中華人民共和国大使館ご一行お宿り」と書かれた木札が提げられています。宿の西側を見ると、そちらにも「山岳荘」と書かれた建物があるので、学生さんはそちらの別館で合宿でもするのかしら。でも貧乏学生ならともかく、経済的に豊かになった今の金満中国の外交官がこんな鄙びた宿を使うのかね、文革とか改革開放以前の時代のことじゃないのかね、と首を傾げつつ中に入り、ごめんください、と声を掛けても一向に人が現れる気配なし。誰もいないのかしら。
玄関を上がった目の前には、腰掛の上に子供のおもちゃ箱のような小さな料金箱が置かれており、どうやらここにお金を入れるらしい。無人の公衆浴場には往々にして見られるスタイルなので、それと同じ感覚でお金を箱に置き、玄関から左の廊下を進んだ突き当たりの、水色のトタンで覆われた建物へ。
浴室は2室あって、手前が小さく(上の画像右)、奥が広めの主浴室。男女の区別はないらしく、ドアの横に使用中を示す札がさがっていたので、利用者は空いている方を貸し切って使うのがこちらの流儀のようです。訪問時はどちらも空いていましたが、どうせなら広い方がいいので、奥の浴室に入りました。
脱衣所には隅から隅へ斜めにロープが張られてタオルが干してあったり、棚には洗剤や常連さんの所有物と思しき入浴用具がゴチャゴチャと置かれていたりと、かなり雑然としています。失礼を承知で申し上げるならば、およそ客を受け入れるような状態ではなかったので、他人の家に間違えて侵入しちゃったような錯覚すらおぼえました。
お風呂は3~4人サイズで、昭和30~40年代を思わせる古典的な模様のタイル貼り。水の蛇口こそあるものの(2個)、掛け湯できるようなカランはありません。浴室の2方向がガラス窓なのでとっても明るく、東側の窓を開けると、田圃と山並みが続く長閑な田園風景が広がっていました。また窓の真下には、以前露天風呂として使われていたであろうコンクリート槽が放置されていました。露天があったら嬉しいのですが、管理が大変でしょうし、傍を走る関越道の車から丸見えですから、使用停止は仕方ありません(そもそもこの槽の跡が露天風呂であったかどうか不明ですが…)。
お湯は無色透明無味無臭。とても澄んだ綺麗なお湯が、ザバザバ大量に掛け流されています。蛙と蟹2匹を象った湯口にはコップが置かれており、飲んでみると全くクセの無い優しい口当たりでした。なお食塩泉型の単純泉ですが、食塩っぽさは殆ど感じられません。やや熱めですが、柔らかく包まれるような優しい浴感でスベスベ。出たり入ったりを繰り返しながら、後客が来ないのをいいことに、長い間一人で独占し続けてしまいました。
お風呂から上がって建物から出ようとすると、宿のオーナー夫婦が登場。奥さんは笑顔で「熱かったでしょ」と話しかけてくださいました。どうやらこちらのお湯は他の客からも熱いお湯と認識されているようです。そんなご夫婦、乗り付けた軽トラから宿へ荷物を運び、それが終わると、そそくさと隣接している新しい鉄筋PC造の家へ入っていきました。宿とは正反対に、オーナーのご自宅はかなり居住性が良さそうです(^^)。
B級感・鄙び・掛け流し・大量オーバーフロー、という温泉ファンの嗜好を唸らせるには十分な要素を兼ね備えた、とってもマニア受けする素敵な宿でした。
六日町温泉7号井・12号井・13号井混合泉
単純温泉 47.6℃ pH不明 溶存物質841.1mg/kg 成分総計843.0mg/kg
JR上越線・北越急行ほくほく線六日町駅より徒歩25分(2.0km)
新潟県南魚沼市小栗山655 地図
025-772-2841
日帰り入浴可能時間:不明
400円
私の好み:★★★
コメント
すごいですね。
ここは凄いですよね!今年の梅雨時にネットで発見し、3回入浴しました。シャンプー、石けんは、常連さんの物を拝借しました。ごめんまさい。余談ですが、昨日福島県の柳津温泉つきみが丘町民センターで一泊し、今日朝帰宅。なんだか私、日本一降雪の有った所で温泉入っていたようです。私、高速道路では日本一渋滞、梅雨時は日本一大雨など!!!!
たしかに(^^)
慶大くん様
はじめまして。たしかに凄いところですね。以前から行きたかったのですが、予想以上のB級感には驚きました。でもお湯は最高でした(^^)
会津の雪は大変なことになっていますが、無事ご帰宅できたようでなによりです。柳津町では柳津温泉と西山温泉で使える温泉手形を最近発
売しはじめましたね(つきみが丘町民センターも適用可)。
http://www.aizu-ushitora.com/yumeguri/index.html
私も先月にこれを購入して湯めぐりしてきました。
(syriver2 (K-I))様
(syriver2 (K-I))様は温泉マニアでしょうか?私は仕事の疲れをとるやめに行くので詳しくは有りません。青森県青荷温泉ランプの宿の玄関前の風呂はベストでした。7月に奥入瀬の林道で車中一人で過ごしましたが、友達に教えたところ「怖わ~~~!」って言ってました。今、眠れなく仕事をしていたのですが、これからどこかの温泉めがけて行く予定です。新潟県中越地方在住。
お気をつけて
慶大くん様
私はマニアと称せるほどの熱意や探求心に欠けているので、中途半端な温泉ファンとでも申し上げておきます(^^)
今度はどちらへお出かけになったのでしょうか。中越地方ご在住ということは雪道の運転になるかと思いますので、どうぞお気をつけて、ごゆっくり湯浴みを楽しんでください。
行って来ました猿ヶ京 いこいの湯
syriver2 (K-I)様、3時に退社し向かって行くと大雪、小出高速道路は長岡~小出期間閉鎖、国道8号線は圧雪で時速25KM走行でした。湯沢付近からは降雪も無く三国「トンネルを越えると快晴」でした。途中2時間ほど睡眠を摂り到着は9時でした。11時に沼田ICに乗り、小千谷付近で事故が有り、自宅到着は13時30分でした。いこいの湯、また行きたいです。
お疲れ様でした
慶大様
猿ヶ京へ行かれたんですね。「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」という名文はよく引用されますが、逆の視点(つまり雪国側)から見れば、トンネルを抜けると、そこには全く雪のない、上州名物空っ風が吹く世界が広がっているわけですよね(^^)。 上州でも水上や猿ヶ京だとかなりの積雪ですが、沼田どころか上牧まで僅かに下りるだけで、もう雪は微塵もありませんから、本当に面白いものです。