小浜温泉といっても長崎県島原半島の西側に湧く小浜ではなく、島根県温泉津の駅近くにある小浜温泉です。温泉津駅を出て左に折れ、商店街の中を歩いてゆくとやがて道左手の軒の間から忽然と姿を現します。
この湯屋は平成17年に改築されたんだそうですが、見事なまでに昭和の銭湯の雰囲気が残っており、レトロ物件が好きな方なら外観を見ただけでも思わずニンマリしてしまうのではないでしょうか。券売機で料金を支払い、番台のおばちゃんに券を渡して脱衣所へ。
脱衣所内には懐かしいマッサージチェアーが置かれていました(稼動するかは不明)。
浴室には半円形の浴槽がひとつ。モスグリーンにも見える黄土色に強く濁ったお湯が張られています。透明度は20~30cm程度。
源泉の投入口にはネットを被せた笊が置かれており、黄土色の粘土みたいな固形物が溜まっていました。でもこれだけでは完全に漉すことができず、浴槽に足を入れると底に溜まった黄土色の沈殿が一気に大量に舞い上がります。かなり濃い温泉水なんですね。
味は出汁味+明瞭な塩味+金気味+土気味、匂いは金気+土気でして、見た目から想像できる要素が勢揃いした知覚なんですが、金気や土気の多い硫酸塩泉は加温すると変な臭いを発生するらしく、浴室には不快なドブっぽい臭いが充満していました。これは偶々私の訪問した時だけ発生した現象なのか、あるいはいつものことなのか…。同じような臭いは、やはり金気の多い硫酸塩泉を加熱している尾瀬の温泉小屋でも感じられましたので、どうやら泉質由来なのではないかと思います。
湯加減はやや熱めでした。番台のおばちゃんと常連さんの立ち話を盗み聞きしたところによると、おばちゃん曰く「最近ボイラーの調子が悪く、前日はぬるくてお客さんから文句を言われちゃったけど、今日はいつもの温度に戻ってホッとしている」とのことでした。銭湯の運営にはご苦労が絶えませんね。頭が下がります。でも私がやや熱めと感じた湯温でいつも通りということは、こちらでは常に熱めの湯温で設定されているのでしょう。
浴室内のカランはシャワー付き混合栓が4基ある他、「山わき水」というステッカーが貼られた蛇口も4本設置されています。文字通り山で湧いた清水を引っ張っているようで、試しに飲んでみたらキリリと冷たく冴えて美味しい水でした。熱いお湯に火照ったら、ごくっと喉を潤してみるのもいいかもしれません。
温泉津の温泉街は駅からちょっと歩きますが、ここでしたら駅から近いので鉄道の旅の途中に汗を流すのなら便利です。でも営業時間が夕方4時からなので、時間的なハードルがちょっと高いかもしれません。源泉温度は26℃とギリギリで温泉法で定められた温泉の基準をクリアしていますが、さすがにこの温度のままで入浴するわけにはいかないので加温しており、この加温を無駄なく行うには地元客の来場が多い夕方以降に時間を絞った方が良い、という判断なんだと思います。尤も若干早めに行っても管理人さん次第では入場できるみたいですが…。
ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉 26.4℃ 溶存物質7.25g/kg 成分総計7.65g/kg
(加水・加温)
JR山陰本線・温泉津駅から徒歩3~5分
島根県大田市温泉津町温泉津 地図
16:00~20:30 毎週月曜定休
300円
備品類無し
私の好み:★+0.5
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