2011年夏登山 那須岳(その3 牛ヶ首→飯盛温泉跡→弁天温泉バス停)

栃木県

字数制限のために書ききれなかった、那須岳登山2日目のつづき、牛ヶ首からです。

前回(三斗小屋温泉→朝日岳→牛ヶ首)はこちら、1日目(茶臼岳→三斗小屋温泉)はこちらを。

2日目:2011年7月7日 晴れのち曇り 単独行 
 三斗小屋温泉(1460m) 7:20
 三斗小屋温泉源泉 7:35
 隠居倉(1819m) 8:10 / 8:20
 熊見曽根東端 8:45 / 8:55
 朝日岳山頂(1896m) 9:05 / 9:45
 峰の茶屋跡(1720m) 10:15

 牛ヶ首(1730m) 10:35  (← 今回はここから)
 飯盛温泉跡 11:00
 膳棚噴気帯(膳棚の湯) 11:10 / 11:45
 休暇村分岐 12:15
 那須温泉ファミリースキー場 12:40
 弁天温泉バス停 12:43


牛ヶ首から茶臼岳の鉢巻き道を辿ればロープウェイ駅へと戻れますが、まだまだ歩き足りない私は、ちょっとした目的の達成を兼ねて、敢えて駅には戻らず、高雄口登山道へと遠回りするルートを選びました。

 
分岐点付近はマルバシモツケの群生が広がっており、可憐な白い花がそこここで一斉に咲いていました。

 
岩に「←高雄」とペンキ書きされているので、それに従って山をどんどん下っていきます。この登山道を利用する人は少ないらしく、今までとは明らかに違い、道が痩せちゃっています。

 
まもなく樹林帯に突入。蠅や蛾がやたらと多く、とくに蛾の多さに辟易。この森林帯ではずーーっと蛾にまとわりつかれました。途中フラットな場所ではちょっとしたベンチがありましたが、とても休憩する気になれず…。ただひたすら坂道を下るだけ。

 
【飯盛温泉跡 11:00】
木道が崩れて思いっきり斜めになっている場所に出くわしました。どうやらここが、かつて温泉旅館があった飯盛温泉跡のようです。大正9年に創業したものの、昭和15年に雪の重みで建物が倒壊し、それ以後は再興されることなく今日に至っているのだとか。それにしても、なんで木道はこんなに傾いているの? 土砂崩れ? あるいは雪崩? 


温泉跡とはいえ、温泉が今でも湧いているかは不明。木道の下には真っ赤な泥が溜まり、無色透明でほのかにぬるい水が流れていました。ぬるいんだから、お湯なのかもしれませんね(夏だから日光等でぬるくなっているだけかも)。湯溜まりらしきものは無く、赤い泥も足を踏み入れたらズブズブに潜っちゃいそう。探検すると面倒なことになりそうなので、ここは見学するだけにとどめておきました。

 
温泉跡からすぐのところで、岩や木が根こそぎ崩落している箇所を通過。やはり土砂崩れか。ちょっと怖いなぁ。しかも藪が茂って道が消えかかっています。この道を使う人はあまりいないんだろうなぁ。実際、牛ヶ首から弁天温泉バス停まで、誰一人として擦れ違った人はいませんでした。


【膳棚噴気帯(膳棚の湯) 11:10 / 11:45】
いま下っている高雄口登山道は、牛ヶ首周辺を除けばひたすら樹林帯を歩くため、眺望の面ではあまり面白くない道ですが、そんな中でも見晴らしが開けるほとんど唯一と言って良い場所がこの膳棚噴気帯。付近まで来ると硫黄の匂いが漂っています。日の出平から南月山までの稜線が眺められるこの膳棚ですが、わざわざこの眺望を見たくてここに来たわけではありません。私がわざわざ人気の少ない高雄口登山道を選んだ理由は、この噴気帯にあるものが存在しているからです。


まずは大きな荷物を登山道にデポ。そして、足を滑らせたら谷底へ真っ逆さまに落ちていきそうな急斜面のガレ場を慎重に這い下りていきます。急な階段状に傾斜したこの地形が食器類を載せておく棚に似ていることから、膳棚と名付けられたんだとか。その斜面には黒いネットが被せられており、県によって斜面崩落の防止措置がとられていることがわかります。


お目当てはこれ。真白に濁った野湯があるんです。登山道からはよく見えないので、ガレ場を下らないと確認できません。温泉ファンの間では「膳棚の湯」と呼ばれているこの野湯。詳細については後日改めてレポートします。湯上がりはガレ場の急斜面をよじ登って登山道へと戻りました。

 
再び登山道を下ります。途中、上水道設備と思しきものが道に沿って点在しており、道にも塩ビのパイプが埋め込まれていました。
しばらく進むと、九十九折れの急坂に突入。この坂の登りはかなり辛そうです。下りでよかった…。


ジグザグの坂を下り来ると、木造の橋を渡ります。何という名前の橋なのかしら。

 
橋を渡ってすぐのところに水場がありました。ちょうど喉が渇いていたところなので、ありがたく飲ませていただくことに。往路(1日目)の延命水みたいにキンキンに冷えているわけではなく、13.6℃という中途半端な温度でしたが、それでも体をクールダウンさせるには十分です。


【休暇村分岐 12:15】
水場から2~3分で休暇村分岐に到達。ここを真っ直ぐ進んで更に山を下りると高雄温泉、そして湯本方面と行くことができますが、私は自分の車をロープウェイ駅の駐車場に置きっぱなしなので、この分岐点で大丸・弁天温泉方面へと逸れました。

 
分岐点から2~3分のところに「晴清水」と名付けられた湧水ポイントがありました。が、その湧水にはいろんなものが浮いているので、さすがの私も水を飲む気にはなれず、見るだけにとどめておきました。


その「晴清水」からは階段の登りです。利用者はそんなに多くない道かと思われますが、ちゃんと整備されているのが嬉しいですね。

 
登りきったところにはベンチが設置されていました。傍らには看板が立てられており、地主さんの名前入りで「アジア遊歩道」「この遊歩道は、アジアへ続く!」と記されています。アジアへ続くって、この山道にどんな願いを込めているのかしら? そもそも日本だってアジアの一員なんですが…。


地主さんのアジアに対する熱情が込められたベンチからは下り階段へと転じます。下っていると、いきなり視界が開け、スキー場のリフト(索道)の下を潜ります。ゴールはもうすぐ。

 
【那須温泉ファミリースキー場 12:40】
スキー場のゲレンデに出ました。目の前には那須温泉ファミリースキー場の建物が見えます。


ゲレンデに出たのはいいんですが、ここから先には道らしきものが全くない。自由にゲレンデを横切ればいいのでしょうが、他人様の敷地に勝手に入り込んでいるような気がして、ちょっと気後れしてしまいました。建物の前を通って舗装路を下ります。もうここまで来れば単独行でも遭難の心配はありませんね。とっても安心。


【弁天温泉バス停 12:43】
ちょうど「休暇村那須」そして弁天温泉バス停の真ん前に出ました。ここから路線バスでロープウェイ駅へと戻るつもりでした。バスも12:55に来るので、ちょうど良いタイミング。
縁石に腰かけてバスを待っていたら、目の前で一台の車が止まりました。それは朝日岳でお会いしたご夫婦(その2を参照)の車でした。親切にも、私を駐車場まで送ってくださるとのこと。「おんぶにだっこ」状態ですので、はじめは固辞したのですが、最終的には御厚意に甘えて乗せていただくことにしました。山でこの日たまたま遭遇した一人の男に対し、ここまで親切にしてくださるなんて、本当にありがたい限りです。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

美しい景色と温かい人の情に出会えた、今年初めての山登りでした。

コメント

  1. 藤田です より:

    すごいなぁ
    先日は、ありがとうございました!

    地元の人間より詳しいのにはびっくりを
    超えて感心すら覚えます。

    そして何よりも、このブログです。

    まるで自分が歩いて来たような感じに錯覚するような内容ですね。

    お話して思った通り、とても人生を楽しんでいますね。

    また、那須にてお待ちしております。

  2. K-I より:

    ありがとうございます
    藤田様
    こんにちは。先日はありがとうございました。
    お蔭様で想い出に残る素晴らしい登山となりました。

    温泉巡りなどの趣味に取り憑かれて、ほとんど社会人失格な人生ですが、その都度楽しい体験をさせてもらっています。いずれ罰が当たりそうな気がしますが…。

    また那須へ足を運び、楽しみたいと思います。

タイトルとURLをコピーしました