二日市温泉 博多湯

福岡県


「博多の奥座敷」とも称される筑紫野市の二日市温泉。戦前までは武蔵温泉と呼ばれていたそうでして、温泉街としては大きくないものの、開湯は1300年前の奈良時代にまで遡れてしまうほど歴史ある温泉であり、そんな歴史の風格を誇示するかのように、通りで風に揺られて枝垂らせている柳の並木がとっても美しい温泉街でもあります。私もここではいくつかの施設で入浴しましたが、その中でもズバ抜けてお湯が良く、それゆえに非常に気に入っているのが共同浴場の「博多湯」です。初めて利用した時に「福岡の近郊でこんなに素晴らしいお湯に入れるのか」と感動し、それ以来、福岡を訪れる度にこちらへ通うようになりました。

創業は幕末の万延元年という老舗で、建物も趣きのある木造3階建てですが、2004年の年末に全面リニューアルされており、内部は和風モダンで統一されたとっても居心地の良い空間です。玄関には持ち帰り用のお湯汲み場が設けられています。下足場では靴箱用として100円玉が必要(リターン式)。券売機で料金を支払い、受付のおばちゃんに券を手渡して奥へ。お風呂は1階ですが、受付脇の階段を2階へ上がると大広間が2間あり、入浴者用の休憩所として夜8時まで無料で利用することが可能。


浴室へは脱衣所からちょっとステップを下りてゆく構造になっています。室内は浴槽1つにシャワー付き混合栓が5基というレイアウト。浴槽は岩風呂で、縁からしっかりオーバーフローしています。湯口は温泉成分付着により赤茶黒い色に染まっており、お湯が含む鉄分の多さを物語っているようです。

お湯はほぼ無色透明ながら若干褐色に弱く濁っているようにも見えます(日によって若干コンディションが異なるように感じられます)。肌触りとしてはキシキシと浴感があり、お湯にじっくり浸かっていると、小さな気泡が全身に付着します。また、お湯からはタマゴと金気の味&匂いがほんのり感じられ、いかにも温泉らしい知覚は、温泉好きの感性を十分に満足させてくれます。都市部の温泉なのに、完全掛け流しという湯使いには敬服いたします。


浴室内には小さな掛かり湯の丸い槽もあるのですが、こちらのお湯も源泉使用でして、浴槽の湯口と同様に赤茶色の着色がすごいことになっています。浴槽と同じ源泉のはずですが、なぜかこちらの方が鉄分が若干強く感じられます。

300円という安さなのに、入浴に必要なものはひと通り揃っているし、明るく清潔で使い勝手も良好、しかもお湯の質も抜群で完全掛け流しとくれば、もう文句のつけようがありません。いや、ひとつ難を挙げれば、人気のためにいつ訪れても混雑していること。でも上述のようなメリットを考えれば混んでしまうのは仕方ないことかもしれません(私だってその混雑に拍車をかけているわけですし)。とにもかくにも、非常に満足度の高い、おすすめのお風呂です。

単純温泉 43.8℃ pH8.2 溶存物質0.66g/kg 成分総計0.66g/kg
Na+:190mg,
Cl-:140mg, HCO3-:150mg,

JR鹿児島本線・二日市駅より徒歩10分
福岡県筑紫野市湯町1-14-5  地図
092-922-2119
ホームページ

9:00~21:00(受付は20:30まで) 無休
300円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★

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