池ノ端温泉 らんぷ温泉

青森県


初秋の某日に上北町から七戸方面へ向かうべく県道121号線を西進していたところ、沿道にこんな看板が立っていたので、これに導かれて矢印が指し示す路地に入ってみました。

 
路地は途中から砂利道に変わりましたが、大した距離を走らないうちに、このようなやや古惚けた建物へと突き当たりました。これが池之端温泉郷「らんぷ温泉」なんですね。温泉郷というからには複数の施設があるのかと思いきや、かつてはたしかにいくつかの宿が存在していたものの、現在では「らんぷ温泉」一軒が残るのみなんだそうでして、その「らんぷ温泉」ですら数年前まで一時的に休業していたんだそうですから、なんとも心もとない温泉郷であります。本館の隣には妙に大きなドーム状の建物がつながっているのですが、これは果たして何なのかしら。

 
お宿の名称の通り、館内にはランプがたくさんぶら下がっていました。といっても当地にはちゃんと東北電力の配電が行われており、これらのランプはあくまで装飾としてブラブラしているにすぎないようです。

 
券売機で料金を支払い、明るく対応してくれたスタッフの方に券を手渡しました。

 
ロビーの奥のほうにはお座敷があり、古いマッサージチェアと並んで何故かエアロバイクが置かれていました。とりあえず何でも置いちゃえという発想が、いかにも田舎らしくて微笑ましいですね。

 
ロビーから「大浴室入口」と記された扉を開けると、目の前には薄暗い廊下がまっすぐ奥へ伸びており、辺りにはいろんな物が置かれていて雑然としています。どこが浴室なのかと暗い中をキョロキョロ見回していたら、扉のすぐ右手が脱衣室となっていました。

 
浴室はうなぎの寝床のように奥へ長い空間となっており、入口から室内中央にかけてタイルの床の上に水色にペイントされたモルタルのスロープが載せられていて、以って室内の段差を解消しています。訪問時だけ偶々だったのかもしれませんが、換気状況がよろしくなくて非常に蒸し暑く、窓を開けようと思ってもどの窓も開かなかったため難渋しました。また一番奥には露天風呂の存在を期待させる扉があるのですが、開けてみたら単なる物置きでした。

 
浴室の左右に設けられている洗い場にはシャワー付き混合水栓が合計7基取り付けられています。脱衣所側から見て左側の洗い場は窓に面しているのですが、その窓の向こう側は先程私が迷った暗い廊下となっており、なぜか紅白幕が掛けられていました(浴室の目隠しを目的にしている?)。

 
浴槽は二つに分かれており、奥側の浴槽(5~6人サイズ)には塩ビのパイプから50℃近い源泉がチョロチョロと注がれています。訪問時はしばらく誰も利用していなかったのか、全く加水がなされておらず、かなり熱めの湯加減となっていました。


一方手前側の浴槽は奥側浴槽から流れてくるお湯を受けており、そのため幾分温度も下がっていて、入りやすい湯加減となっていました。二つの浴槽のお湯はこちらの浴槽から洗い場へと溢れ出るようになっており、熱い奥の浴槽に私が入っても、オーバーフローするのは手前側の浴槽でした。念のために槽内を調べてみましたが吸引口らしきものは見当たらず、完全放流式の湯使いであると推測されます。

褐色か黄色っぽいツルスベのお湯が多い上北町周辺の温泉にしては珍しく、こちらのお湯は無色澄明で、微塩味と一緒に弱い芒硝的知覚が感じられましたが、味匂いともにかなり薄く、無味無臭と表現しても問題なさそうな感じです。浴感も特にこれといった特徴はないので、個性や主張のない凡庸なお湯と言ってしまえばそれまでですが、界隈を湯巡りしていると上述のような似たような温泉ばかりにでくわしますから、途中でアクセントを加えたり、あるいは感覚をリセットするには良いかもしれませんね。また200円という廉価で利用できるのも大きな魅力かと思います。


お湯の知覚や浴感なんてどうでもいいと思えるほど、こちらのお風呂で気になったのが、なぜか両方の浴槽に漬物石が沈められていることです。何の目的で沈められているのかしら?

弱食塩泉 52℃ pH7.4 1200L/min 固形物総量1463.366mg/kg 成分総計1529.069mg/kg
(昭和49年8月9日)

青森県上北郡東北町大字大浦字境の沢4-110  地図
0176-56-3680
ホームページ

10:00~21:00
200円
ドライヤーあり、他備品類あし

私の好み:★★

コメント

  1. 花柄 より:

    懐かしい!
    いつも楽しみに読ませていただいております。

    30年ほど前に七戸町に住んでおり、この温泉は年に数回利用しておりました。
    本館横の建物は温室・温水プールで、年中営業でした。

    夏も寒いことが珍しくない当地のこと、この温水プールは重宝しました。
    浴室よりは温度が低かった記憶があるので、源泉そのままでは無いように思いますが
    今となっては確かめようがありません。泉質もどうだったか…。

    温室内はバナナの木が植えられておりました。

  2. K-I より:

    Unknown
    花柄さん、こんばんは。いつもお読み下さりありがとうございます。この記事の画像を撮った日は、全国的には残暑が厳しい気候でしたが、三八上北地方はやませの影響なのか、朝晩は肌寒く冷え込んでおりました。

    >本館横の建物
    なるほど、そういうことだったんですか。だから大きく高い屋根なんですね。しかも年中無休だったとは驚きです。無色透明で癖の無い温泉だからこそ、温水プールとして利用できたのでしょうね。温室のバナナも北国では決して見られないものだったでしょうから、プールととも子供たちの目を輝かせてくれた存在だったのだろうと想像します。
    貴重なお話をありがとうございます。

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