犬も歩けば温泉に当たるほど温泉銭湯が密集している三沢市街。平畑温泉もその密集をなしてる銭湯のひとつでして、私は2009年に一度訪問しております。その後の2010年に大掛かりな改修工事が行われ、工事前後でかなり様子を異にしたという情報は得ていたのですが、改修後は利用機会に恵まれず、先日ようやく再訪することができましたので、Before and After を比較しながらレポートしてみます。
まずは改修前(2009年10月)の様子です。
外観はこんな感じ。玄関のオデコに掲げられている温泉マークが愛らしいです。画像からはわかりませんが、こちらの施設は駐車場が広いので多少混雑していてもストレスありません。実は2009年訪問時には既に改修工事が一部開始されており、画像をよく見ると壁際にはブルーシートが置かれています。
館内に入るとスピーカーからは演歌が流れていました。また広い脱衣室には分煙が求められるご時勢に合わせてか、喫煙ブースが設けられていました。
浴室内は典型的な銭湯そのもので、高い天井はドーム状。奥の左手にはサウナと水風呂が設けられています。入口と浴槽の間には洗い場のカランがいくつかの島に分かれてズラリと並んでいます。カランは青森県の銭湯ではおなじみの、古典的な押しバネ式水栓と固定式シャワーの組み合わせです。後述する大きな浴槽からはお湯が常にオーバーフローしているのですが、浴槽から洗い場、そして浴室入口へ向かって下り勾配となっており、溢れ出たお湯が絶え間なく洗い場の床の泡などを洗い流してくれる合理的な造りになっていました。
これまたわかりにくい画像で恐縮ですが、大きな浴槽は二分されており、湯口がある右側の小さな槽は深い造りで湯加減は熱め、一方、広い左側の浴槽は深さ・湯加減ともに丁度よく、槽内ではジェットバスやジャグジーがボコボコと勢いよく泡を立てていました。
タイル貼りで箱状の湯口は長年の温泉成分の付着によるものか黒く変色しており、44~45℃くらいの源泉が(多少の加水はあったのかもしれませんが)掛け流しで投入されていました。お湯はごく薄い黄色透明でほぼ無味無臭、弱いツルスベ感を有しています。また湯面には気泡が塊となって浮かんでいました。
次に改修後(2012年初秋)です。
隣接している「やまびこ」を含め、外観はほとんど変化ありません。今回は日曜のお昼に訪問したのですが、玄関に近い第一駐車場にはたくさんの車がとめられており、こちらの浴場の人気のほどが窺えました。券売機で料金を支払い中へと入ります。館内の基本的なレイアウトにはあまり変化がないようでしたが、内装材は暖色系の新しいものに換えられており、館内のあらゆる箇所が「リフォームしました感」に満ち溢れていました。
浴室も基本的なレイアウトはそのままですが、内装材はすっかり更新されており、縄で結わかれた模造の竹の壁材を多用して和風なテイストを演出したり、ドーム状の天井には白系のペイントを施す一方で洗い場周りには赤系の石板タイルを用いて色調にはっきりとしたコントラストを生み出すなど、意匠面での刷新を図ろうとする意気込みが感じられました。またサウナや水風呂も利用でき、訪問時には多くのお客さんがサウナを楽しんでいました。
浴場を更新しても水栓に関しては昔ながらのスタイルを貫くのが青森県銭湯文化の面白いところであり、リニューアル後の平畑温泉においても押しバネ式カランと固定式シャワーが計44組設置されていました。尤もシャワーは短いホースが接続されているタイプに変わっており、以前より使い勝手は向上しているかと思います。お湯の水栓からは源泉が出てきました。
大きな浴槽やその周りは、以前とかなり造りが異なっていました。以前はタイルの壁が立ちはだかっていた浴槽背面には大きな窓が設けられ、これによって浴室全体が明るくなるとともに開放感がもたらされました。
浴槽は以前と同じような大きさで二分されていることも同様ですが、両方とも熱くもぬるくもない丁度よい湯加減に調整されており、深さも一般的なものになっていました。広い浴槽にはジャグジーが、その隣の副浴槽には電気風呂が稼動しています。また以前の黒ずんでいた湯口は撤去され、そのかわりに御影石のような見た目の小さな湯口が設けられました。浴槽の縁から間断なくお湯が溢れ出ているのは以前と同様です。
大きな変更点は、内湯のガラス窓の裏手に露天風呂が増設されたことでして、そのことを知らずに利用した私は露天の存在にビックリしてしまいました。近年は公衆浴場でも露天風呂を設けるところが多くて、設備面の充実ぶりには驚かされます(それだけ浴場経営は競争が激化し、厳しい運営に迫られているのでしょう)。周囲は日本庭園風で浴槽は岩風呂となっており、岩組みの湯口から落とされた源泉は湯船を満たした後に、岩の隙間やステップからしっかりとオーバーフローしていました。
露天エリアの奥には打たせ湯の設備があり、訪問時には冷水が落とされていましたが、お湯と水の各バルブがあるので、任意の温度に調整できるのかもしれませんね(確認しておりません)。
お湯は薄い黄褐色透明、微かに重曹のような味が感じられますが、ほぼ無味無臭といってもよく、弱ツルスべ浴感で僅かに気泡の付着があり、露天の湯面では白い泡が浮いていました。お湯のインプレッションは3年前と同じですね。温度調整のために加水されているそうですが、加温循環消毒は行われていません。銭湯料金で掛け流しのお湯に入浴でき、しかも内湯やサウナの他、露天風呂まで楽しめちゃうんですから、とってもお得ですね。こんなお風呂に通える三沢市民が羨ましい…。
平畑温泉(再分析)
アルカリ性単純温泉 45.6℃ pH8.70 湧出量測定不可(動力揚湯) 溶存物質0.687g/kg 成分総計0.696g/kg
Na+:181.7mg(95.64mval%),
Cl-:189.4mg(65.52mval%), HCO3-:93.2mg(18.77mval%),
H2SiO3:156.7mg,
源泉温度が高いため加水
青森県三沢市岡三沢8-83-2 地図
0176-57-4045
6:00~23:00
300円
ロッカー・ドライヤーあり(いずれも無料)、各種入浴道具販売あり
私の好み:★★
コメント
こんにちは。
こんにちは。
ここは、石渡さんのHPの写真と比べると、隔世の感がありますね。
http://machispa.la.coocan.jp/html_aom_s/hirahata.htm
明るくて清潔そうな施設で良さげですね。
隣りにある、「やまびこ」は何ですか?
温泉成分表を撮ってありましたら、配信して頂ければ幸いです。