洞爺湖温泉 洞爺山水ホテル和風 後編

北海道

「洞爺湖温泉 洞爺山水ホテル和風 前編」の続編です

●清水の湯
 
夜9時の切り替え後(切り替え作業があるので、実際は夜9時半以降)、前回取り上げた「灯心の湯」は女湯となるかわり、今回取り上げる「清水の湯」が男湯となります。宿泊すれば両方利用できますから、深夜にこちらのお風呂も入ってみることにしました。

 
ゆとりのある空間の中にラグジュアリ感を漂わせていた「灯心の湯」と異なり、こちらは昭和後期や平成初期の大規模温泉旅館によく見られるような、あるいは温泉浴場付きの某ホテルチェーン(ドー●ーイン)に見られる画一的デザインのような、「灯心の湯」より聊かグレードが落ちる凡庸な内装が施されていますが、清掃状態も良好で、棚も大きく、室内には十分な空間が確保されていますから、機能面では全く問題ありません。


ロシア語の注意書きが掲示されているあたりは、いかにも北海道ですね。

 
ヒノキ材ならではのぬくもりを全面に打ち出している「灯心の湯」と異なり、この「清水の湯」は石材やタイルを多用しており、特に御影石は道内産のものを採用しているんだそうです。全体的に「灯心の湯」より一世代前の、若干古さを感じさせる実用的な造りでして、換気がいまいちなのか室内には湯気が篭っていましたが、お宿側の説明によれば「サウナのような効果が感じられる」とのことで、なるほどモノも言いようだと感心させられました。


窓に面して大きな浴槽が据えられており、中央の島から四方へお湯を注いでいます。前編でも申し上げましたが、洞爺湖温泉のお湯は組合によって一括管理されており、貯湯槽で加温の上で各施設へ配湯されたお湯を、こちらのお宿ではそのまんま浴槽へ落としています。また循環加水ろ過などを行わない放流式の湯使いとなっており、内湯の浴槽からもしっかりお湯が捨てられていました。

 
こちらにも露天風呂が用意されており、簾や竹垣で四方八方をしっかり囲った玉砂利の坪庭の許、「灯心の湯」より一回り大きな岩風呂に黄土色の濁り湯が張られていました。この露天も放流の湯使いであり、浴槽の縁に沿う形で用水路のような専用排水路が確保されています。とはいえ「灯心の湯」の露天風呂と同様に、再加熱をしないままで浴槽へ注いでいるため、この日は結構ぬるくてじっくり浸かるわけにはいきませんでした。それにしても、露天風呂とはいえ、側面ばかりか頭上までエクステリア材で覆ってしまうとは、止むに止まれぬ事情(たとえば立地上の理由)でもあるのでしょうか。四方を簾で囲まれるだなんて、もやし栽培の室(むろ)に入っているかのようです。


石積みの湯口は、まるで焼けただれたように、赤く染まった温泉成分が瘤状に付着しており、そのおどろおどろしい外観は、洞爺湖温泉の濃厚さを入浴客にアピールしているかのようです。さてそのお湯に関してですが、見た目は薄い緑色を帯びた橙色に強く濁っており、状況によっては濃い目の山吹色にも見えます。なおこの濁りは、一括管理を行う貯湯槽での加温や空気との接触によって発生するものと思われます。お湯を口に含むと微かな塩味に加え、土類感の強い重炭酸土類泉的な味や匂いが感じられ、炭酸味の名残のような感覚も確認できましたが、この手のお湯にしては金気が弱く、分析表によれば総鉄量が0.05mg未満とのこと。ちなみに湯上がりに白いタオルで体を拭くと、タオルが橙色に染まってしまいました。その色からも温泉の本気が伝わってきます。
一括管理配湯のお湯は各施設ごとの割り当て供給量が決められているでしょうから、施設の思うような湯使いをするのは難しいはずですが、そんな状況にもかかわらず大きな浴槽を用意し、加温したり循環させたりせず、使い切りにしているお宿の姿勢は立派だと思います。ホスピタリティの面では金額相応かなと感じてしまう部分もありましたが、コストパフォーマンスという面で考えれば十分に満足できるお宿でした。

●花火

洞爺湖といえば、毎年ゴールデンウィークから10月末まで毎日開催されるロングラン花火大会が有名ですね。私が宿泊した晩も開催されましたので、温泉で十分に体を温めてから湖畔へ出かけることにしました。打ち上げのスタート時刻は20:45ですが、その時間に合わせて各旅館から観光客がぞろぞろと湖畔へ集まってきました。

 
 
湖面をボートが右へ左へと滑りながら、次々に花火が打ち上げられていきます。20分間のささやかな享宴ですが、毎日開催するには相当の費用を要するのでしょうから、関係各位のご尽力には頭が下がります。
この日は平日だというのに多くの観客がおり、その半分近くは台湾や香港などからやってきた中華圏の方でした。それらの地域では、冬でもダウンジャケットを纏ったりフードを被ったりする機会が少ないでしょうから、皆さんここぞとばかりに、我々から見たら大袈裟に思えるほどの防寒具で身を固め、湖上の華に歓声を上げていらっしゃいました。

洞爺6・9・12・13号、共同1・2・3・4・5・6・7号混合泉
ナトリウム・カルシウム-炭酸水素塩・硫酸塩・塩化物温泉 47.0℃ pH6.7 1430L/min(掘削動力揚湯・調査時の値)  溶存物質1.834g/kg 成分総計1.982g/kg
Na+:294.2mg(55.29mval%), Mg++:35.6mg(12.66mval%), Ca++:124.4mg(26.83mval%), Fe++:0.05mg未満,
Cl-:184.8mg(22.49mval%), SO4–:251.2mg(22.57mval%), HCO3-:775.2mg(54.81mval%),
124.5mg, CO2:148.8mg,
加温あり(洞爺湖温泉利用協同組合の貯湯槽にて加温し、配湯されたままの状態で各浴槽へ供給)
※参考:(一社)日本エレクトロヒートセンター「温泉の排水熱を利用したヒートポンプシステム」

北海道虻田郡洞爺湖町洞爺湖温泉78
0142-75-2361
ホームページ

日帰り入浴14:00~20:00(受付19:00まで)
1000円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★

コメント

タイトルとURLをコピーしました