キュタフヤ県 ヨンジャル温泉 ヨンジャル・テルマル・オテル 前編(客室・食事・周辺)

トルコ

 
前回の記事で取り上げたギョベル温泉で、地元の方々の篤い人情に触れた後は、幹線道路D230をキュタフヤ市内へ戻る感じで東進し、今晩の宿泊地であるヨンジャル(Yoncalı)温泉へと向かいます。途中の交差点には、標茶色字白抜き字でヨンジャル温泉と記されている標識が立っていましたので、これに従って右折します(キュタフヤ市内方面から来る場合は左折になりますけどね)。

 
曠野のまっ只中に伸びる田舎道をひた走ります。ギョベルでちょっとのんびりしちゃったため、本来は明るいうちにヨンジャルへ到着できるはずだったのですが、既に辺りは暗くなりはじめており、フロントガラスの先に広がるなだらかな丘の向こうへ、まさに夕陽が落ちようとしていました。
曲がった交差点から約3キロほど進んで右カーブへ入ってゆくと、これまで何も無かった田舎に突如として集落が現れるようになりました。ヨンジャル地区に辿り着いたようです。このメインストリート沿いには、ミナレットが天高く聳えるジャーミー(モスク)の他、インターネットカフェ、食料品店、小規模な宿、そして比較的規模の大きな病院などが並んでおり、それなりに街としての体をなしているようでした。

 
集落の西端へ抜けようかという辺りに、今晩の宿である「ヨンジャル・テルマル・ホテル(Yoncalı Termal Otel)」がありました。この界隈では最も大きな温泉ホテルであるらしく、某大手宿泊予約サイトを通じて予約することもできたので、この日はこちらでお世話になることにしたのです。駐車場に車を停めると、作業着みたいな地味な色合いのジャケットを羽織ったお爺さんがやってきて、ハッチバックに入れていた私の荷物をフロントへ運んでくれました(画像右(下))。こちらへ近づいてきたときは、てっきり挨拶してくれるだけかと予想していたのですが、まさか爺さんがベルボーイだっとは…。
なお画像左(上)の全景画像は、朝の早い時間帯にモロ逆光の状態で撮ったので、全体的に白く飛んでしまいました。見づらくて恐縮です。ホテルの建物が駐車場を囲むようなコの字型になっていることをお伝えしたく、この失敗画像を敢えて掲載しました。


コの字型の建物の正面にはフロントやロビーがあるのですが、右手にも別の入口があり、日帰り入浴や夏季プールを利用する際は、こちらの専用玄関から出入りします。

 
フロントのスタッフは英語がほとんど通じないのですが、私は事前に予約していますので、予約確認のメールを提示しながらパスポートを差し出して「チェックインをお願いします」と簡単な英語で伝えた所、スムーズにチェックインできました。

この日は私の他にも宿泊客がいたのですが、なぜか全館の照明を徹底的に節約しており、ホテルというより公共機関の窓口のような、やや殺風景な感と古臭さが否めないロビーは、日中ですら画像左(上)のように薄暗く、日没後(画像右(下))に至ってはここがロビーであると信じられないほど一部を除いて真っ暗になっちゃいました。震災直後の節電に迫られていた4年前の日本だって、ここまで暗いホテルは無かったはずですが、ホテル側にしてみれば、最低限の灯りでも問題ないじゃん、ということなのでしょうか。合理的というか何というか…。


チェックインを済ませると、先程のお爺さんベルボーイが再び私の荷物を持ち、階段を上がって2階へと案内してくれました。明らかに自分よりも体力の劣る人に自分の重い荷物を持たせることって、ものすごい罪悪感に駆られてしまうので、途中から荷物は自分が持って、お爺さんには部屋の案内だけをお願いすることにしました。
ホテルの顔であるロビーが暗ければ、その先にある廊下は輪をかけて暗く、一応人を感知するセンサーによって自動的に点灯するものの、感知しない奥の方は真っ暗のままで、ちょっと不気味でした。お化けが出るわけでも、怪しい輩が出没するわけでもないのですが、このホテルって本当に大丈夫なのと、ちょっと首を傾げたくもなります。

●部屋
 
今回通されたお部屋は、駐車場に面したバルコニー付きのダブルルームです。室内は充分に広く、冷蔵庫・テレビ・セイフティボックスなど一通りの物が備え付けられており、Wifiも使えます。その一方、室内には空調機器らしきものが見当たらなかったので(ファンコイルの吹き出し口はおろか、ヒーター的な物も無し)、夏や冬はどうなっちゃうのか、ちょっと不安になります。また建物の全体的な老朽化が進んでいるのか、特に水道の水が金気臭くて参りました。給水管の錆びが相当悪化しているのでしょうね。

 
お部屋のバルコニーから、夕方と朝にそれぞれ表を眺めてみました。長閑で静かなところです。静かと言っても、当地はイスラム圏ですから、お祈りの時間になるとジャーミー(モスク)から大音響でアザーンが流され、早朝でまだ眠たくても、外から響くこの大音響によって否応なく起こされてしまいます(このホテルのみならず、イスラム圏ならどこでもそうですけど)。

 
部屋のバスルームにはゆったり寛げるサイズのバスタブがあり、カランを開けると38.8℃の泉が出てきました。次回記事で紹介する大浴場は水着着用ですが、大きさこそその足元にも及ばないものの、お部屋のお風呂には一糸まとわぬ姿でお風呂に浸かれますから、しっかり入浴できたという実感が得られ、旅の疲れも吹き飛びました。


ルームサービスで缶ビールを調達。
風呂あがりのビールは美味いですね。

●食事
ヨンジャルはキュタフヤ県屈指の温泉地なのですが、所詮は田舎町ですから、満足に食事できる飲食店が現地にあるかどうか、当地での宿泊を計画した段階ではとても不安でした。しかしながら、ホテルの予約画面には、部屋のグレードを問わずどの部屋でもハーフボード(夕食・朝食付き)となっていましたから、こちらで宿泊すれば少なくとも食いっぱぐれることは無さそうです。旅行の立案段階で食事の不安面が払拭されたことも、このホテルを選んだ大きな理由のひとつなのでした。


先述のように節電なんてもんじゃない、本格的な暗さの中にある館内を歩き、夕食を摂るために館内の食堂へと向かいます。なお夕食は19時からです。

 
  
夕食・朝食ともにバッフェ式です。古くて暗い館内の雰囲気から、食事に対してはあまり期待を抱けなかったのですが、意外にも全てを食べ尽くせないほどの料理が用意されており、オードブル系だけでも上左および上右の画像のように、かなりの品数が並んでいます。またメイン系となるお肉料理(この日は煮込み料理や鶏の手羽など)は、厨房のコックがお皿によそってくれます。もちろんスープやピラフもありますよ。

 
フルーツやスイーツも充実。特にスイーツ系は、右(下)画像に写っているように、種類豊富で選り取り見取りです(いずれも甘さがかなり強い)。

 
この日の私は、昼間をパンひとつで済ませてしまい、夕方辺りから腹の虫が鳴き止まず、お腹がペコペコでしたので、ついつい欲張って上2枚の画像のようにたくさんお皿に盛ってしまいました。どの料理も結構美味しく、こまめに補充してくれるので、食事に関しては充分に満足でき、実はこの写真以上の量を胃袋に掻き込んでしまいました。それほど育ちは悪くないと自認しているのですが、バッフェ式のお食事では己の貪婪性を制御することができず、苦しくなって呻くほど食べ過ぎるまで、歯止めが効かなくなってしまうのです。


翌朝の食堂は前夜と全然違う姿を見せており、朝日が差し込んで穏やかに明るい館内には、キュタフヤ名産のタイル製品も飾られ、古色蒼然とした館内の佇まいですらも味わい深く感じられるほどでした。なかなか良いホテルじゃないですか。これなら、夜間ももう少し明るくしてくれたら良いのになぁ。

 
朝の食堂はこんなに明るくて広々としており、芝生のガーデンに面した窓から眺められる景色も牧歌的で美しく、天候に恵まれてとっても爽快でした。とても昨夜の薄暗い食堂と同じ空間だとは思えません。
朝食もバッフェ式であり、トルコの他ホテルと同様に、基本的にはパン・ハム・サラダといったシンプルなラインナップですが、いずれも数種類用意されていて、選択できるバリエーションは意外と多いかと思います。しっかり美味しくいただけました。

●近所の公衆浴場

夕食ではつい欲張って、お腹が痛くなるほど食い過ぎてしまったので、食後に腹ごなしと運動を兼ねて、夜のヨンジャルを軽く散歩することにしました。メインストリートに沿って東へ向かうと、道路の南側には地域医療の拠点となっていると思しき規模の大きな病院があり、北側には小規模な宿やキオスク(売店)、飲食店、インターネットカフェ、そしてジャーミー(モスク)などが建ち並んでいました。上画像のようなタクシースタンドもあるので、当地へのアクセスでタクシーを利用することも可能。なお病院のゲート前にはCIRRUSやPLUSにも対応しているATMが設置されていました。県屈指の温泉地だけあり、旅人に必須なものはひと通り揃っているようです。

 

メインストリートに沿って建つ、怪しい明かりに照らされた横に長い平屋の施設は「セルチュクル・テルマル・ハマム(Selçuklu Termal Hamamlari)」というヨンジャル温泉の公衆浴場。プールではなくローカルなハマムや温泉入浴を楽しみたい方は、ホテルではなくこちらの利用が良いかも。
東西に長い建物の東側は男湯となっており、浴場名が記された大きなゲートのすぐ目の前に入口があって、駐車場には車が沢山とまっていましたから、この時の浴室は多くの利用者で賑わっていたのでしょう。この日はもうお風呂に入りたくなかったので、残念ながら館内の様子はわかりません。

 
真ん中の玄関を挟んで…

 
反対側(西側)が女湯でした。賑やかそうな男湯とは対照的に、女湯側には車が一台も止まっていなかったのですが、時間帯の問題なのか、はたまた何か特別な事情があるのか、どうしてこんなにガランとしていたのかは、よくわかりません。日本では共同浴場の利用形態から、その地域の生活を窺い知ることができますが、この浴場でも男女の利用差の事情を探れば、現地の生活洋式を理解する糸口になるのかもしれません。

本当はもっとこの温泉地を散歩したかったのですが、ハマムの外観を撮影した後、カメラに不具合が発生してしまい、しかも野良犬が近づいてきて私を威嚇し始めたので、仕方なくホテルへ戻ったのでした。

「ヨンジャル・テルマル・オテル」ご自慢の大浴場については、後編にてご紹介します。

次回に続く

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