草津町役場から国道292号を熱帯植物園方面へ東進してゆくと、民家ばかりで観光とは縁の無さそう馬場地区を通過しますが、この地区の消防小屋に隣接している湯屋が今回取り上げる共同浴場「巽の湯」です。草津の共同湯にしては建物が大きく、国道に面しており、ポスト等の目印もあるので、外湯ビギナーでも比較的容易に見つけられるはず。他の共同浴場と同様に番台は設けられておらず、常時無人の施設ですが、私が玄関の戸を開けて中に入ろうとすると、防犯目的のチャイムが鳴りました。私が入った男湯のチャイムの音色は「ピーンポーン」でしたが、お隣の出入口、すなわち女湯では「ピンポン×4回」であり、男女で音色が分けられているんですね(同じ音だったら、どっちに動きがあったのか、判別できませんもんね)。
脱衣室も草津の共同浴場では大きな方で、棚(枠)の数も多く、広さだけなら近隣の旅館と比べても遜色ないかも。内装は木造で、茶色い塗装床の上に茣蓙が敷かれ、ベンチも備え置かれています。綺麗に維持管理された室内からは、地元の方々の愛情がひしひしと伝わってきました。
浴室も脱衣室同様に木造で、床面積は15畳ほどあるでしょうか。浴槽周りの三方は洗い場で、水道の蛇口は2つ。シャワーなどの設備はありません。前回取り上げた「白嶺の湯」と同じく、お湯が常に掛かりやすい床や側壁の立ち上がり約1mは、モルタルの上にオパールグリーンの防食塗装が施されています。壁には湯もみ板が立てかけられていましたが、もちろん湯もみショー用ではなく、熱いお風呂を入りやすくするための備品であります。
浴槽はほぼ3メートル四方。槽内はコンクリですが、縁には木材が用いられています。奥の壁に這っている配管から注がれているのは、草津ではお馴染みの湯畑源泉。前回記事の「白嶺の湯」と同じ源泉であり、お湯からは強い収斂酸味が感じられ、明礬臭がプンと香り、ヌルヌル感を伴うツルスベ浴感が大変気持ち良いのですが、投入量の影響なのか、この「巽の湯」の方がちょっと熱く、それでいて幾分こなれた感覚もあり、湯華は少なめでした。言わずもがな完全掛け流しです。
観光名所や旅館群から離れている一方で、住宅に囲まれた立地であるため、利用者のほとんどは地元の方であるらしく、訪問時も常連さんが次々にやってきて、世間話に花を咲かせながら汗を流していらっしゃいました。
湯畑源泉
酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉 51.3℃ pH2.1 自然湧出 溶存物質1.65g/kg 成分総計1.69g/kg
H+:8.91mg(36.54mval%), Na+:56.0mg(10.06mval%), Mg++:36.3mg(12.33mval%), Ca++:73.5mg(15.16mval%), Al+++:43.8mg(20.14mval%), Fe++:17.5mg,
F-:9.9mg, Cl-:311mg(35.63mval%), Br-:1.3mg, SO4–:640mg(54.16mval%), HSO4-:192mg(8.04mval%),
H2SiO3:216mg, H2SO4:4.3mg, CO2:36.7mg, H2S:7.1mg,
(平成25年5月15日分析)
加温加水循環消毒なし
草津温泉町内循環バスのC循環で「巽の湯」バス停下車すぐ
群馬県吾妻郡草津町
24時間開場(ただし朝9時頃から2時間弱は清掃)
備品類なし
私の好み:★★
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