温泉巡りに傾倒している者が、公衆浴場や温泉旅館など入浴できて当然の施設よりも、どういう訳か湯浴みできてしまう、あるいは本来別の用途を目的としているのだけれども副次的営業として温泉入浴も可能である、という場所や施設に強い関心を抱いてしまうのは、深みやプレミア感を求めてしまう趣味人ならではの、逃れられない一種の軌轍であります。野湯はその典型例ですが、たとえば食事すれば入浴可能な食堂とか、買い物をすればお風呂に入れる農産物直売所などもそうした部類に含まれるでしょう。「○○すれば」という条件を付さなくても、単に料金を支払えば利用可能な施設もあって、温泉地の老人福祉施設はその好例ですが、今回は財団法人が運営するスポーツ研修施設でありながら、立ち寄り入浴もできちゃう「岩木青少年スポーツセンター」を利用してまいりました。こちらは上述のような志向で温泉めぐりをしている先達ファンの皆さんによって既に紹介されており、私も以前から存在は知っていたのですが、これまで訪問を後回しにしてしまい、遅ればせながらようやく昨年秋に立ち寄ることができました。
岩木山腹の爽快な高原に広大な敷地を有しており、建物の後背には霊峰岩木富士が聳えています。建物の南側にはパークゴルフ場が広がり、天気に恵まれたこの日は、数組のお客さんがプレイを愉しんでいました。
ひと昔前の学校や公的機関を思わせる佇まいの受付窓口。ホールに置かれた応接セットも昭和風ですね。公式サイトには「日帰り入浴料金」が明示されているのですが、事前に仕入れた情報によれば必ずしも入浴できるわけではないらしく、玉砕を覚悟の上で入浴利用したい旨を申し出たところ、松木安太郎をおばさんにしたような感じのスタッフさんが、快く朗らかに対応してくださいました(失礼な表現でごめんなさい)。
ロビーから浴場へと向かう廊下には、この施設で合宿・練習を重ねてきたと思われるラガーマンたちの寄せ書きやシャツなどがたくさん展示されていました。この建物の上層は宿泊用の客室が並び、廊下の先には体育館が棟続きになっているそうです。
マーズれい郎さんのブログ記事によれば「手前が第1浴場、奥が第2浴場で男女別になっており、男女入れ替え制になってます」とのことですが、今回は奥の第2浴場へ案内されました。その際、案内して下さったスタッフの方から「ちょうど今お湯が溜まったところです。一番風呂ですよ」と嬉しいお言葉が。何とも素晴らしい好機ではありませんか。ちなみに私が伺った時間はお昼をちょっと過ぎた13時頃でした。今後こちらで入浴利用を検討中の方はご参考までに。
いかにも昭和の公共施設らしく無機的で飾り気はありませんが、体育会系メンタリティのなせる業と言うべきか、館内はどこもかしこもピッカピカに清掃されています。棚の一つ一つにランドセルが入っていても不思議ではないような、まるで教室の後部のように画一的な棚が並ぶ脱衣室も、質実剛健というべき地味な佇まいで、温泉風情は一切ありませんが、下手な旅館よりも余程清潔感にあふれており、気持ちよく使うことができました。室内掲示によれば、タオルやボディーソープ・シャンプーなどが一式になっている入浴タオルセットを受付で販売しているとのこと。これを購入すれば手ぶらでも利用できますね。なおロッカーは受付に隣接している応接コーナーに設置されています。
岩木山に面した窓から燦々と陽光が降り注ぐ明るい浴室には、ツーンと鼻孔を刺激する温泉由来の酸っぱい臭いが漂っています。全面タイル貼りの室内は、寮や工場の大浴場のような、無機的で実用本位な造りですが、館内の他部屋と同様にこちらも綺麗に維持されており、腰掛けや桶もきっちり整然と積み上げられていました。洗い場にはシャワー付きカランが9基並んでおり(うち1基はシャワーホースが外されていてスパウトのみ)、カランからはボイラーで沸かした真湯が出てきます。
浴槽は長方形の手前側に円弧をくっつけたような形状をしており、全面白系のタイル貼りで、おおよそ10人サイズ。円弧の部分はステップとなっており、座湯の際にも使えそうな感じです。窓側から立ち上がっているパイプよりお湯が投入されており、パイプの表面には硫黄の黄色い結晶が付着していました。
お湯は嶽温泉の各旅館に配湯されている組合の混合泉で、嶽らしい強い酸味と硫黄臭が感じられます。湯口に鼻を近づけたところ、なぜか配管の奥の方から有機肥料を想像させるアンモニアのような匂いも嗅ぎ取れたのですが、この匂いって何から発せられているのかな。見た目は灰白色の微濁を呈しており、底には湯の華が沈殿しているものの、底面のタイル目地が明瞭に見えるほど高い透明度があり、湯中で沈殿が舞っても若干濁りが増す程度でした。清掃してお湯を張った直後ですから、沈殿が少なかったのでしょう。引湯距離が長いためか、完全掛け流しでありながら、嶽の温泉街で同じお湯に浸かるよりも幾分マイルドでこなれており、いつまでもじっくり長湯したくなる若干ぬるめの湯加減でした。
窓からは雄大な岩木山が一望。窓を開けながら湯浴みしていると、高原を吹くそよ風が室内に流れ込み、半露天風呂のような雰囲気で実に爽快でした。地味な建物ながら綺麗で清潔、しかも嶽温泉のお湯が掛け流しという、穴場的存在のお風呂でした。
嶽温泉旅館組合4・5号集湯槽、6~8号集湯槽(再)
酸性・含硫黄-カルシウム-塩化物温泉 48.2℃ pH2.03 湧出量測定不能(自噴) 溶存物質2.314g/kg 成分総計2.991g/kg
H+:9.4mg(23.08mval%), Na+:128.5mg(13.83mval%), Mg++:59.5mg(12.12mval%), Ca++:275.8mg(34.04mval%), Al+++:53.2mg(14.64mval%), Fe++:5.5mg, Fe+++:1.5mg,
Cl-:1130mg(81.09mval&), Br-:2.0mg, I-:0.2mg, S2O3–:2.6mg, HSO4-:90.8mg, SO4–:289.0mg(15.32mval%),
H2SiO3:213.1mg, HBO2:20.5mg, H2SO4:2.1mg, CO2:676.6mg, H2S:0.8mg,
(平成24年12月10日分析)
青森県弘前市常盤野字湯段萢1-2 地図
0172-83-2338
ホームページ
日帰り入浴時間は施設へお問い合わせください(午前中からお昼までは清掃中のことが多いようです)
350円
ロッカーあり、ドライヤーは受付貸出、タオル等販売あり(石鹸類の備え付けなし)
私の好み:★★+0.5
コメント
どうも~
青森の温泉廻ってたんですねー。っても秋頃でしたか(笑)
嶽スポーツセンターは初でしたか!?
ま、こんなところに入るのはマニアか地元の人かスポーツ利用の人くらいでしょうが。
スポーツで汗かいた後に硫黄泉に入るのはどうかと思いますが(笑)、ここのお湯も悪くないですよね。
どうも~
青森の温泉廻ってたんですねー。っても秋頃でしたか(笑)
嶽スポーツセンターは初でしたか!?
ま、こんなところに入るのはマニアか地元の人かスポーツ利用の人くらいでしょうが。
スポーツで汗かいた後に硫黄泉に入るのはどうかと思いますが(笑)、ここのお湯も悪くないですよね。
どうも~
青森の温泉廻ってたんですねー。っても秋頃でしたか(笑)
嶽スポーツセンターは初でしたか!?
ま、こんなところに入るのはマニアか地元の人かスポーツ利用の人くらいでしょうが。
スポーツで汗かいた後に硫黄泉に入るのはどうかと思いますが(笑)、ここのお湯も悪くないですよね。
Unknown
マーズれい郎さん、こんばんは。
昨年秋に津軽をウロウロしていました。ちなみに今年はまだです(笑)。
岩木スポーツセンターは初めてでした。廻れる時間は限られていますし、行きたい所は多いので、いままで後回しになっていました。建物はいかにも公共施設って感じですけど、ここはとっても清々しい環境なんですね。お風呂もお湯も良いのですが、岩木山を間近にのぞむロケーションが気に入りました。
Unknown
マーズれい郎さん、こんばんは。
昨年秋に津軽をウロウロしていました。ちなみに今年はまだです(笑)。
岩木スポーツセンターは初めてでした。廻れる時間は限られていますし、行きたい所は多いので、いままで後回しになっていました。建物はいかにも公共施設って感じですけど、ここはとっても清々しい環境なんですね。お風呂もお湯も良いのですが、岩木山を間近にのぞむロケーションが気に入りました。
Unknown
マーズれい郎さん、こんばんは。
昨年秋に津軽をウロウロしていました。ちなみに今年はまだです(笑)。
岩木スポーツセンターは初めてでした。廻れる時間は限られていますし、行きたい所は多いので、いままで後回しになっていました。建物はいかにも公共施設って感じですけど、ここはとっても清々しい環境なんですね。お風呂もお湯も良いのですが、岩木山を間近にのぞむロケーションが気に入りました。