十和田大湯温泉 花海館

秋田県

 
 
昨年(2014年)秋の某日、十和田大湯温泉の「花海館」で立ち寄り入浴致しました。上の湯十字路付近にあり、国道103号を走っていると看板が必ず目に入ってくるので、一度訪れてみたかったのでした。私が訪れたのはすっかり日が暮れた夕方6時頃だったのですが、ちょうどその時、玄関のガラス越しに見える帳場では、チェックインなさっているお客さんがいらっしゃったので、一旦駐車場の車に戻ってちょっと待ち、(お宿の方の)来客対応が済んだ頃を見計らって、入浴をお願いしました。既に暗かったので外観はよくわかりませんが、暖色系の照明に照らされた和風の館内は家庭的な雰囲気に包まれ、ぬくもりと優しさが伝わってきます。ロビーにかかっている「仙臺屋」は、こちらのお宿のかつての屋号。


帳場から右へ進み、スリッパを脱ぐ上がり框の先に伸びているのがお風呂場ゾーン。手前から「家族風呂」「花座の湯」「万座の湯」と称する3つの浴室が並んでおり、「花座の湯」と「万座の湯」は男女入れ替え制の大浴場。各浴室の出入口を連絡する廊下は、足元爽快な畳敷きで、マッサージチェアや腰掛けなども置かれており、ちょっとした休憩室を兼ねているようでした。

 
「家族風呂は貸切風呂」とのこと。利用の際は帳場へ申し出るそうですが、宿泊客がお使いになる時間帯かと思われましたので、日帰り入浴の私は利用を遠慮させていただきました。

 
この日は「万座の湯」が男湯、「花座の湯」が女湯となっていました。生物学的にオスである私は、当然ながら前者の暖簾を潜ります。

 
さすが旅館だけあって、脱衣室はとっても綺麗。清潔感が漲っており、大変気持ち良く利用できました。宿泊なさるお客さんは、さぞ満足なさることと思います。壁に沿ってL字形に棚や籠が並び、洗面台は3台、そして中央に畳表が張られた腰掛けが置かれています。扇風機やドライヤーも備え付けられていました。
 

 
お風呂は内湯のみ。浴室のすぐ下に川が流れており、窓の外側には目隠しの塀が立ちはだかって視界を遮っているのですが、塀の下には川面が覗いていて、夜間でもせせらぎの輝きを見ることができました。お風呂は岩風呂で、床は石敷き、そして壁には木材が用いられおり、これらの天然素材と湯面から立ち上る湯の香によって、和の温泉風情たっぷり。落ち着いてゆっくりと湯浴みできました。


壁に沿ってL字形に配置されている洗い場。カランは混合水栓ではなく、単水栓とシャワー専用水栓のペアが6組ほど並んでいます。カランから出てくるお湯は源泉100%で、どういう仕組みになっているのか、ややぬるめでした。

 
岩風呂は8人近く同時に入れそうなサイズを有し、湯口の上では信楽焼のタヌキがひっくり返って天井を見上げていました。お酒を飲んだ後にお風呂に入って、逆上せちゃったのかな。そんな湯口からはお湯がふんだんに注がれており、洗い場側の縁から惜しげも無く溢れ出ていました。
こちらで使われているお湯は、共同浴場にも引かれている上の湯源泉の他、花海泉と称する自家源泉を所有しており、両者をブレンドして浴槽へ投入しているんだそうです。無色透明のお湯は透明度が大変高く、澄み切ったお湯を通して、槽内の岩が美しく映えていました。甘塩味と弱い石膏味&臭が感じられ、湯口に鼻を近づけると、配合肥料と磯の香を足して2で割ったような、形容の難しい独特の香りが香ってきました。信楽焼の下を流れ出た時点では、直に触るのが躊躇われるほど熱い(50℃以上)なのですが、投入する湯量の塩梅が絶妙であるため、湯船では「ちょっと熱いかな」という程度(43~44℃)に収まっており、実際に湯に浸かってみますと、意外にも熱さがすぐに気にならなくなるほど、マイルドな浴感がやさしく全身を包み、食塩泉的なツルスベ感が肌をしっとり滑らかにしてくれました。鮮度感も良く、身も心もシャキッとします。
不特定多数の人が次々に利用する共同浴場は、時間帯によってどうしても湯疲れ(鈍り)が生じてしまいますが、宿泊客と立ち寄り入浴利用者しか入らないこちらのお風呂は大変綺麗なコンディションが保たれており、お湯本来の清らかさと優しさ、そして力強さを思う存分堪能することができました。大湯温泉では廉価な入浴施設がいくつも営業していますが、施設は風情があって綺麗ですし、お湯も良好ですから、若干余計に料金を支払う価値が十分にあるかと思います。できれば今度は宿泊してゆっくり過ごしたいものです。

花海泉・上の湯の混合泉
ナトリウム-塩化物温泉 54.2℃ pH8.0 溶存物資1327.6mg/kg 成分総計1333.3mg/kg
Na+:367.3mg, Ca++:59.9mg,
Cl-:580.5mg, SO4–:104.1mg, HCO3-:56.4mg,
H2SiO2:84.6mg, HBO2:59.2mg,
加水加温循環消毒なし

秋田県鹿角市十和田大湯温泉上の湯34-1  地図
0186-37-3221
ホームページ

日帰り入浴→7:00~16:00/400円、16:00~21:00/500円
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★

コメント

  1. Dan より:

    Unknown
    大湯温泉の良さを感じるいい湯使いする旅館ですよね
    立派な旅館だと若干お湯使いは二の次なんて
    思ったら大間違いですよね
    そこは大湯温泉の旅館ですからね(^_^)
    我々が最初に訪問した時は仙台屋さんでした
    また行ってみたいっす^_^

  2. K-I より:

    Unknown
    Danさん、こんばんは。
    >立派な旅館だと…
    まさに仰るとおりのことを、私もこのお風呂で思いました。さすが大湯温泉は湯量豊富だけあって、他の温泉地と一緒にしてはいけないんですね。Danさんが昨日記事をアップなさった「湯瀬ホテル」も然りです。鹿角の温泉には恐れ入りました。
    今度大湯を訪れたら、先日ご紹介くださった「龍門亭千葉旅館」に行かなくては!

  3. Dan より:

    Unknown
    大湯温泉はいいっすよね
    温泉街の半分でお湯が違うんかいって
    思う時があります
    湯瀬もそうですが、儲からんかいって
    考えたら、お湯は死んじゃいますよね
    いい湯を是非提供してもらいたい
    東鳴子の若旦那衆は温故知新って感じで
    意識改革している人達も多いっす
    これからもITと融合して変わっていくかもね
    楽しみです*\(^o^)/*

  4. K-I@台湾 より:

    Unknown
    >Danさん
    いろんな温泉を巡っていると、それぞれ土地の個性や温泉の持ち味を活かした在り方を模索し、実践しようとする努力が伝わってきますよね。是非応援したいという意味で、自分のブログで取り上げているところもあります。
    温泉業者の頑張りだけでなく、保健所など行政サイドも、「何が何でも消毒薬入れなきゃダメ」みたいな形式的な処置にこだわらず、実態に則した柔軟な対応をしてほしいな、なんて思っています。県によって対応が異なるのも変な話です・・・。

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