前回記事の続編です。
急坂を下りきり、渓流を遡って、岩をよじ登った先に、断崖絶壁が白と緑で覆われている、言葉では形容しがたい摩訶不思議で且つ美しい光景が目に入ってきました。駐車場から歩いて35分、目的地である「台湾で最も美しい野湯」栗松温泉に到着です。台東県の観光案内公式サイト(繁体中文)によればここは標高1075mなんだそうですから、高地の茶畑が広がっていた摩天地区(1546m)から500メートルも下ってきたことになります。
新武呂渓の右岸で垂直に落ち込む断崖の裂け目や孔から、温泉が噴き出て滴り落ち、その飛沫が広範囲に亘って飛び散って、断崖の表面を炭酸カルシウムで覆っているのです。美しいこともさることながら、その圧倒的な迫力に気圧されそうになります。
細かな鱗状の模様を形成しながらドーム状にこんもりと盛り上がる白い石灰華。その繊細な模様の表面をエメラルドグリーンの苔が覆い、なんとも神秘的な美しさを生み出していました。
更に上流の崖からも温泉が自噴して、岩の表面を白く染めていました。辺りには硫黄の匂いが漂っています。この源泉群も、これから長い年月を掛けて、白と緑の自然芸術を創りだしてゆくのでしょう。
見上げると崖の上のあちこちから温泉が噴き出ており、それらが集まって湯の滝をなしている他、落ちる過程で他の岩にぶつかって、飛沫が飛び散り湯霧となって、陽光をキラキラ煌めかせていました。
エメラルドグリーンの苔は、崖下の石灰華のみならず、垂直に落ちる崖の断面にも生えており、その様はアイボリーホワイトとエメラルドグリーンを織り交ぜた巨大なカーテンのようです。
滝壺にあたる崖の直下には土嚢が積まれ、広い湯だまりがつくられています(左or上画像)。ちょっと浅いのですが、寝そべれば肩まで湯浴みでき、川水が程よくブレンドされて40℃前後の入りやすい湯加減となっていました。またその下流側にも土嚢でお湯を堰き止めた小さな湯船があり、こちらは川面よりちょっと高い位置にあるため加水できずに43~4℃のやや熱い温度だったのですが、混じりけのない源泉100%ですから、お湯の濃さがはっきりと実感できました。
上から滴ってくるお湯はかなり熱く、霧状に降るお湯の熱さに耐えながら、岩肌を流れるお湯に温度計を伸ばしてみたところ、53.5℃と計測されました。湧出時点ではもっと熱いはずです。この時一緒にpH計でも計測したのですが、表示されたpH8.3という数値はあまり正しくないような気がします(実際にはpH7.5~8.0の間ではないかな)。
お湯からははっきりとしたタマゴ味&臭の他、石膏味も含まれていました。湯中では白い湯の華が舞っている他、川水が混ざる湯だまりではお湯が薄いグレーに濁っていたのですが、これは川上から流れてくる砂鉄と温泉の硫黄が反応して硫化鉄が発生しているものと推測されます。
私が訪れた時は、河原でキャンプをしていた親子連れ、そして台北からバイクでツーリングしてきたおじさん2人が既に湯浴みを楽しんでいらっしゃり、一人でここまでやってきた日本人の私に、皆さん興味津々のご様子。現地では一緒に湯浴みしつつ、片言の中国語や英語でお喋りし、ついでに果物やお菓子などたくさんご馳走になっちゃいました。台湾の方はみなさんフレンドリーです。お互いに写真を撮り合ったので、念願叶って栗松温泉で入浴できた記念の写真を、台北のおじさんに撮ってもらいました。
帰り際、岩によじ登って全景を撮影。おじさん二人がこちらへ向かって手を振って、別れを惜しんでくれました。温泉で鋭気を養えたからか、あるいは目的を無事達成できて心身が軽くなったのか、帰路は登り一辺倒ですが、下りより10分多いだけの45分で駐車場まで戻ってこられました。
「台湾最美麗的野渓温泉」の称号に文句なく納得。台湾の自然の美しさと迫力を存分に体感できる、素晴らしい野湯でした。
台東県海端郷 地図
入場料や入山許可など不要。いつでも行けますが、増水期は渡渉が困難になるため、11月~4月の渇水期がおすすめ。
私の好み:★★★
コメント
これは凄いっ!
神秘的と言いたくなるほどの光景ですね!
この空間での国際交流というのがとてもほほえましいです。
素敵なレポをありがとうございました。
これは凄いっ!
神秘的と言いたくなるほどの光景ですね!
この空間での国際交流というのがとてもほほえましいです。
素敵なレポをありがとうございました。
これは凄いっ!
神秘的と言いたくなるほどの光景ですね!
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素敵なレポをありがとうございました。
Unknown
台湾にこんなすごい野湯があるとは!
これぞ秘湯ですね。
アプローチもすごいけれど、しっかり整備されているとは台湾人の温泉好きも筋金入りですね。
行ってみた~い(けど、車がないとここは難易度高すぎです)。
Unknown
台湾にこんなすごい野湯があるとは!
これぞ秘湯ですね。
アプローチもすごいけれど、しっかり整備されているとは台湾人の温泉好きも筋金入りですね。
行ってみた~い(けど、車がないとここは難易度高すぎです)。
Unknown
台湾にこんなすごい野湯があるとは!
これぞ秘湯ですね。
アプローチもすごいけれど、しっかり整備されているとは台湾人の温泉好きも筋金入りですね。
行ってみた~い(けど、車がないとここは難易度高すぎです)。
Unknown
hiroさん、こんばんは。
意を決して出かけた甲斐があり、素晴らしい光景に出合うことができました。台湾の旅先で会う方はみなさん本当に優しく、この時もこんな秘境にもかかわらず、お腹がいっぱいになるほどの食べ物をいただきました。
Unknown
hiroさん、こんばんは。
意を決して出かけた甲斐があり、素晴らしい光景に出合うことができました。台湾の旅先で会う方はみなさん本当に優しく、この時もこんな秘境にもかかわらず、お腹がいっぱいになるほどの食べ物をいただきました。
Unknown
hiroさん、こんばんは。
意を決して出かけた甲斐があり、素晴らしい光景に出合うことができました。台湾の旅先で会う方はみなさん本当に優しく、この時もこんな秘境にもかかわらず、お腹がいっぱいになるほどの食べ物をいただきました。
Unknown
Luntaさん、こんばんは。無鉄砲な私は一人で行っちゃいましたが、本来は原住民のガイドを雇った方が良いらしいです(笑)。このあたりは車かバイクが無いとアクセスできませんよね。
私は野湯訪問に際して、台湾の野湯ファンのブログを拝見するのですが、彼らの行動力と温泉愛には驚くべきものがあり、この栗松温泉よりもっと険しく奥深い山奥にある温泉を探索しており、そうしたブログを見るたびに感心させられます。もちろん野湯だけでなく、私が言うまでも無く、ちゃんとした温泉旅館の人気も相変わらずで、宜蘭県の礁渓温泉では乱開発で源泉が枯れちゃって大騒ぎしているしているそうですね。おっしゃるように、台湾人の温泉好きは日本人に引けを取らないように感じます。
Unknown
Luntaさん、こんばんは。無鉄砲な私は一人で行っちゃいましたが、本来は原住民のガイドを雇った方が良いらしいです(笑)。このあたりは車かバイクが無いとアクセスできませんよね。
私は野湯訪問に際して、台湾の野湯ファンのブログを拝見するのですが、彼らの行動力と温泉愛には驚くべきものがあり、この栗松温泉よりもっと険しく奥深い山奥にある温泉を探索しており、そうしたブログを見るたびに感心させられます。もちろん野湯だけでなく、私が言うまでも無く、ちゃんとした温泉旅館の人気も相変わらずで、宜蘭県の礁渓温泉では乱開発で源泉が枯れちゃって大騒ぎしているしているそうですね。おっしゃるように、台湾人の温泉好きは日本人に引けを取らないように感じます。
Unknown
Luntaさん、こんばんは。無鉄砲な私は一人で行っちゃいましたが、本来は原住民のガイドを雇った方が良いらしいです(笑)。このあたりは車かバイクが無いとアクセスできませんよね。
私は野湯訪問に際して、台湾の野湯ファンのブログを拝見するのですが、彼らの行動力と温泉愛には驚くべきものがあり、この栗松温泉よりもっと険しく奥深い山奥にある温泉を探索しており、そうしたブログを見るたびに感心させられます。もちろん野湯だけでなく、私が言うまでも無く、ちゃんとした温泉旅館の人気も相変わらずで、宜蘭県の礁渓温泉では乱開発で源泉が枯れちゃって大騒ぎしているしているそうですね。おっしゃるように、台湾人の温泉好きは日本人に引けを取らないように感じます。
Unknown
本当に美しい温泉ですね。でもかなり険しい処を歩くみたいですね。この写真を見ていると行きたくなります。もし行く時は詳しい情報お尋ねします。
Unknown
本当に美しい温泉ですね。でもかなり険しい処を歩くみたいですね。この写真を見ていると行きたくなります。もし行く時は詳しい情報お尋ねします。
Unknown
本当に美しい温泉ですね。でもかなり険しい処を歩くみたいですね。この写真を見ていると行きたくなります。もし行く時は詳しい情報お尋ねします。
Unknown
渡部さん、こんばんは。
本当にここは美しく、またその規模にも圧倒されました。お湯も川の水も綺麗なので、某所のような泥臭さは無く、安心して入浴できます(笑)。確かに高低差のある登山道で、以前一緒に行った東埔温泉の奥の方に似た険しさがありますけど、私が現地へ行ったときには小学生の子供を含むファミリーが川原でキャンプしていましたから、意外と大丈夫だと思います。
もし行かれる際は、アクセス方法など委細をお伝えしますので、ご連絡ください。
Unknown
渡部さん、こんばんは。
本当にここは美しく、またその規模にも圧倒されました。お湯も川の水も綺麗なので、某所のような泥臭さは無く、安心して入浴できます(笑)。確かに高低差のある登山道で、以前一緒に行った東埔温泉の奥の方に似た険しさがありますけど、私が現地へ行ったときには小学生の子供を含むファミリーが川原でキャンプしていましたから、意外と大丈夫だと思います。
もし行かれる際は、アクセス方法など委細をお伝えしますので、ご連絡ください。
Unknown
渡部さん、こんばんは。
本当にここは美しく、またその規模にも圧倒されました。お湯も川の水も綺麗なので、某所のような泥臭さは無く、安心して入浴できます(笑)。確かに高低差のある登山道で、以前一緒に行った東埔温泉の奥の方に似た険しさがありますけど、私が現地へ行ったときには小学生の子供を含むファミリーが川原でキャンプしていましたから、意外と大丈夫だと思います。
もし行かれる際は、アクセス方法など委細をお伝えしますので、ご連絡ください。
阿里山から栗松温泉
こんばんは。今年の夏(7・8月)に台湾に行く予定なので、栗松温泉にぜひ行ってみたいと思っています。台湾はまだ不慣れで、移動手段をどうするか、ガイドをお願いすべきなのか等を調べているところです。K-Iさんは、レンタカーで行ったんでしょうか。その場合グーグルマップ頼みでたどり着けるものですか?入り口はすぐ分かりましたか?ガイドをお願いしたほうがいいのか迷っています。お手数ですが、教えていただけたら幸いです。
阿里山から栗松温泉
こんばんは。今年の夏(7・8月)に台湾に行く予定なので、栗松温泉にぜひ行ってみたいと思っています。台湾はまだ不慣れで、移動手段をどうするか、ガイドをお願いすべきなのか等を調べているところです。K-Iさんは、レンタカーで行ったんでしょうか。その場合グーグルマップ頼みでたどり着けるものですか?入り口はすぐ分かりましたか?ガイドをお願いしたほうがいいのか迷っています。お手数ですが、教えていただけたら幸いです。
阿里山から栗松温泉
こんばんは。今年の夏(7・8月)に台湾に行く予定なので、栗松温泉にぜひ行ってみたいと思っています。台湾はまだ不慣れで、移動手段をどうするか、ガイドをお願いすべきなのか等を調べているところです。K-Iさんは、レンタカーで行ったんでしょうか。その場合グーグルマップ頼みでたどり着けるものですか?入り口はすぐ分かりましたか?ガイドをお願いしたほうがいいのか迷っています。お手数ですが、教えていただけたら幸いです。
Unknown
fumiさん、こんばんは。
私はガイドを雇わず独りで、レンタカーで行きました。ただし、運転の終盤は未舗装悪路の坂道になります。天気の良い日に行ったので問題ありませんでしたが、悪天時などはスタックする可能性も考えられます。
場所の特定に関しては、googleマップでは不安なので、現地の方が書いているネットの記事なども参考にしました。おこがましいのですが、私は比較的台湾に慣れている方なので、ネットの情報で大体の見当はつきました。入り口に関しては、看板が立っているものの、わかりにくいかと思います。
一番の問題は時期です。私は川の増水期に入る直前にアタックしたので、終盤の川を遡る箇所も問題なく進めましたが、fumiさんは増水期である7・8月に行かれるとのことで、この点が非常に心配です。この記事で紹介している状態とは大きく異なり、な夏になると川が増水して、遡ることが困難となり、下手をすれば流されてしまいます。また、もしかしたら、温泉が川の中に消えている可能性もあります(上から落ちてくる温泉は大丈夫ですが)。毒蛇などに襲われる危険性も格段に上がります。
もし栗松温泉へ行かれるのでしたら、渇水期(秋から冬・春にかけて)がおすすめです。
Unknown
fumiさん、こんばんは。
私はガイドを雇わず独りで、レンタカーで行きました。ただし、運転の終盤は未舗装悪路の坂道になります。天気の良い日に行ったので問題ありませんでしたが、悪天時などはスタックする可能性も考えられます。
場所の特定に関しては、googleマップでは不安なので、現地の方が書いているネットの記事なども参考にしました。おこがましいのですが、私は比較的台湾に慣れている方なので、ネットの情報で大体の見当はつきました。入り口に関しては、看板が立っているものの、わかりにくいかと思います。
一番の問題は時期です。私は川の増水期に入る直前にアタックしたので、終盤の川を遡る箇所も問題なく進めましたが、fumiさんは増水期である7・8月に行かれるとのことで、この点が非常に心配です。この記事で紹介している状態とは大きく異なり、な夏になると川が増水して、遡ることが困難となり、下手をすれば流されてしまいます。また、もしかしたら、温泉が川の中に消えている可能性もあります(上から落ちてくる温泉は大丈夫ですが)。毒蛇などに襲われる危険性も格段に上がります。
もし栗松温泉へ行かれるのでしたら、渇水期(秋から冬・春にかけて)がおすすめです。
Unknown
fumiさん、こんばんは。
私はガイドを雇わず独りで、レンタカーで行きました。ただし、運転の終盤は未舗装悪路の坂道になります。天気の良い日に行ったので問題ありませんでしたが、悪天時などはスタックする可能性も考えられます。
場所の特定に関しては、googleマップでは不安なので、現地の方が書いているネットの記事なども参考にしました。おこがましいのですが、私は比較的台湾に慣れている方なので、ネットの情報で大体の見当はつきました。入り口に関しては、看板が立っているものの、わかりにくいかと思います。
一番の問題は時期です。私は川の増水期に入る直前にアタックしたので、終盤の川を遡る箇所も問題なく進めましたが、fumiさんは増水期である7・8月に行かれるとのことで、この点が非常に心配です。この記事で紹介している状態とは大きく異なり、な夏になると川が増水して、遡ることが困難となり、下手をすれば流されてしまいます。また、もしかしたら、温泉が川の中に消えている可能性もあります(上から落ちてくる温泉は大丈夫ですが)。毒蛇などに襲われる危険性も格段に上がります。
もし栗松温泉へ行かれるのでしたら、渇水期(秋から冬・春にかけて)がおすすめです。