(2025年6月訪問)
灯台下暗しという言葉の通り、私は都内で毎日生活しているくせに、都内の温泉施設には非常に疎く、それゆえ拙ブログでもこれまであまり取り上げておりません。そんな私が2025年6月の某日、諸般の都合によりほぼ徹夜の状況で日付を跨ぐこととなり、せっかくなら鉱泉の銭湯で汗を流そうと考えて向かったのが、東急池上線蓮沼駅の至近にある銭湯「はすぬま温泉」です。昭和19年創業という古い銭湯ですが、2017年にリニューアルされており、ファサードはもちろん、館内も綺麗に改装されています。またカウンター形の番台で湯銭を支払う際は、現金のほか各種キャッシュレス決済も対応しており、当世風の便利さも兼ね備えています。
その一方で、全館にレトロな内装が施されている他、下足箱には松竹錠(木の板)が使われていたり、番台でコーヒー牛乳が売られていたりと、昔ながらの銭湯らしさもしっかり残っているのが面白いところです。
ちなみにこちらの湯銭は、お風呂のみ利用の場合は550円で、サウナ利用の場合はプラス300円くらいだったかと記憶しています。銭湯料金は物価統制令によって各都道府県で定められており、同じ都道府県内でしたらどこでも同じ料金です。あらゆる物価が高騰する中で、物価統制令により入浴料金が決められちゃっている銭湯経営のご苦労たるや、想像を絶するものがあるでしょう。
さて湯銭を支払うと、番台の方から小さな木の板が渡されました。木札の片側には花の絵が、反対側にはひらがな一文字が書かれているのですが、番台の方はこの板で現在の利用人数を把握しているのだとか。浴場内のスペースは限りがあるため、このような措置をとっているようです。もちろん退館時にその板を番台へ返却します。デジタル機器を使っても管理できるところを、敢えて昔ながらの木札で管理するところに、昭和から地元に愛されてきた銭湯としての矜持が感じられます。
ちなみに、更衣室はエアコンが効いており、快適に着替えることができました。
浴室内の画像はございません。室内の様子をご覧になりたい方は、お手数ですが公式サイトをご参照ください。
浴室は左右シンメトリーの造りで、中央に浴槽が3つ設けられ、その浴槽群を挟むような形で左右に洗い場が配置され、それぞれカランとシャワーの組み合わせが9カ所ずつ設けられています。シャワーは壁に固定された銭湯おなじみのスタイルで、カランも銭湯らしく押しバネ式ですが、水栓自体はあまり見られない新しい製品かと思われます。私が驚いたのは、銭湯なのに無料で使えるボディーソープやシャンプーが備え付けられているところ。今時の銭湯はサービスが良いですね。またシャワーの横には60度ほどの傾きで斜め上を向いている掴み棒が取り付けられており、滑りやすい浴室内での安全を図っています。
浴槽は手前・中央・奥の3つがあり、奥の主浴槽で7~8人ほど入れそうな大きさがあり、冷鉱泉の源泉を加温循環させたお湯が張られています。こちらのお風呂で特徴的なのが、道後温泉の共同浴場を思わせる円柱形の湯口「湯釜」が存在感を放っている点であり、この「湯釜」から奥の浴槽へとお湯が注がれています。「湯釜」には鯉の絵が掘られており、その後ろに広がる大きな壁絵は滝を描いているので、湯口の石の彫刻と壁絵が一体となって鯉の滝登りを表現しているのでしょう。
中央の浴槽は3~4人サイズの炭酸風呂で、こちらは冷鉱泉ではなく普通の白湯だったように記憶しています。炭酸風呂ってぬるめだから長湯できるし、しかも炭酸の温浴効果や泡風呂ならではの爽快感があって、病みつきになりますよね。
マニア的に注目すべきは3~4人サイズの手前側浴槽です。こちらは冷鉱泉の源泉を用いた水風呂となっており、非加温の冷鉱泉が循環されることなくかけ流されています。大田区の鉱泉といえば黒湯を連想しますが、こちらの鉱泉は薄い麦茶色を呈しており、先入観を覆す淡い色合いです。分析表によれば食塩・重炭酸泉のようですが、鉱泉をちょっとテイスティングしたところ食塩らしさは感じられなかったものの、重曹のほろ苦さは認識できました。特筆すべきは浴感で、鉱泉が張られている浴槽に浸かると程々のツルスベ浴感が得られるのですが、湯船から上がった後のさっぱり感はなかなか良く、特に源泉かけ流し水風呂を出た後の清涼感は素晴らしいものがありました。ただどの浴槽もカルキ臭が強く、お風呂上がりの肌にもその臭いが残ってしまったのは残念でした。銭湯は不特定多数のお客さんが入浴するので衛生管理上やむを得ません。
昭和から続く銭湯らしさを活かしてレトロ感を演出しつつ、現代のニーズをしっかり取り入れ、しかも源泉の冷鉱泉を掛け流しているという、大変面白い鉱泉銭湯でした。
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉 19.8℃ pH7.7 湧出量44L/min(掘削動力揚湯) 溶存物質1.173gg/kg 成分総計1.186g/kg
Na+:304.2mg(82.28mval%), Mg++:16.3mg, Ca++:20.7mg,
Cl-:298.6mg(53.02mval%), HCO3-:374.6mg(38.66mval%), SO4–:60.1mg,
(令和6年9月18日)
加温あり:入浴に適した温度に保つため
循環あり:温泉資源保護と衛生管理のため
消毒あり:衛生管理のため塩素系薬剤を使用
東京都大田区西蒲田6-16-11
03-3734-0081
ホームページ
15:00~24:00 火曜定休
550円(サウナは別料金)
ロッカー(無料)・シャンプー類あり
ドライヤー有料(2分10円。3台あり)
私の好み:★★

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