上山温泉はいくつかのエリアに分かれていますが、今回は葉山地区にある共同浴場「寿荘」を取り上げることにします。上山の他の共同浴場は湯屋が単独で建てられていますが、こちらの浴場は市の老人福祉施設に内包されており、一見するだけではここに共同浴場があるとは思えません。
玄関を入って右手にある受付窓口にある缶の中へ湯銭を納めてから館内へ上がります。応接セットが置かれた玄関ホールの右手に行くとデイサービスのゾーンとなり、左奥から伸びる廊下を進むと、その右側に男女別の浴場出入口が並んでいます。私はデイサービスのお世話になるほど年老いていませんから、もちろん迷うことなく浴場へと直行しました。
オフホワイト基調の脱衣室は10畳ほどの広さがありますが、ちょっとした小上がりがある以外は至って簡素で、棚と洗面台が並ぶばかりです。
2方向にガラス窓が設けられている浴室はとても明るく、その光が老朽化に伴う壁などのクスミやシミを白く飛ばしているようです。窓下に据え付けられている浴槽のお湯は、窓から差し込む外光を反射してキラキラと輝いていました。
「寿荘」の建物は小高い丘の上に建てられているのですが、特にこの浴室がある箇所は丘の先端であるため、浴室の窓からは盆地に広がる市街地や蔵王方面の山々を一望することができました。私が窓を開けると、眼下に広がる市街や田園風景の中を、山形新幹線が米沢方面へ向けて走り去ってゆきました。
室内の左右両側に洗い場があるのですが、洗髪用のシャワーが1基取り付けられている他、4つある水栓は全て水道オンリー。上山温泉の共同浴場共通のルールとして、洗髪する際には別途100円を要しますので、シャワーを使う際には、受付で追加料金を支払い、専用のハンドルを貸してもらって、お湯のコックを開く必要があります。ということで、掛け湯をする場合には桶で湯船のお湯を直接汲むことになります。
窓下の明るい場所に設けられた浴槽は1.5m×2.5mの3~4人サイズで、縁は御影石ですが浴槽内には水色のタイルが用いられています。
浴槽にお湯を供給する湯口には短い金物の樋が取り付けられており、お湯はその樋を流れてから浴槽へ落とされていました。そして黒御影石の湯口は白い析出で覆われていました。湯船に張られたお湯は無色透明で、縁からしっかりとオーバーフローしており、純然たる掛け流しの湯使いかと思われます。ただ投入時点でかなり熱く、私の訪問時は湯船の温度も50℃近くまで上がっていたため、止むを得ず多少加水してから入浴させていただきました。
室内にふんわりと石膏臭を漂わせるお湯を口に含んでみますと、薄塩味と弱石膏味、そしてほのかな芒硝風味が感じられます。そして湯船へ入る瞬間には硫酸塩泉ならではのピリッとくる刺激が脛を走ります。熱さを堪えながらゆっくり肩まで浸かると、スルスベの中に少々の引っかかりが混在する浴感が得られ、徐々に熱さにも慣れ、やがて熱さや浴感などのすべてが気持ちよくなり、気づけばこのお湯の虜になっていました。午前中でまだお湯が鈍っていないうちに利用したため、湯船のお湯は大変クリアに澄んでおり、鮮度感良好。熱くても長湯したくなるような、とっても魅惑的な良泉でした。
●足湯
湯上がりに、「寿荘」の目の前にある足湯にも立ち寄ってみました。駅や主な観光地から離れているこんなところに、なぜ足湯が設けられているのでしょう…。
足湯槽に注がれているお湯は「寿荘」のお風呂と同じ源泉です。この足湯は盆地の底にある市街中心部から葉山地区の丘へ上がって行く途中にあるため、利用しながら市街や山々を一望できますし、屋根掛けされていますから、日差しを気にせず足湯を楽しめますね。はじめ見たときには、こんな場所で誰が利用するのだろうと疑問を抱いていたのですが、私がここにいると、近辺を散策中と思しき女性二人がやってきて、とても慣れた感じで靴下を脱ぎ始め、何の躊躇いもなく自然な感じで湯に足を入れて、景色を眺めながらおしゃべりに花を咲かせていたのでした。おそらくこちらへ何度も訪れている地元の方かと思われるのですが、足湯を使うのは別に観光客であるとは限らず、地元の方々の憩いの場として、共同浴場のような側面もあることを認識させられました。
足湯の左側にはお地蔵さん、そして上山三号源泉の記念碑が建てられています。お地蔵さんの足元には温泉が流されており、そのお湯をお地蔵さんにかけて拝むんだとか。足元のお湯受けには白い析出がこびりついており、れっきとした温泉であることがわかります。一方、三号源泉の記念碑は昭和53年11月に建立されたもので、「高松、葉山、河崎、三源泉をと烏合してここに移す」という碑文が刻まれており、高さ1m弱のお湯受けにはアツアツの源泉が注がれていました。上山温泉では複数ある源泉からお湯を集めて統合管理していますが、その中でも葉山地区を中心とするこのエリアでは、3号泉としてまとめられるようになった、そのタイミングが昭和53年だったんですね。ちなみに上山市では温泉の安定供給を図るべく、2010年に2本の新しい源泉を掘り当てています。そのうちに一本は上山3号源泉、そしてもう一本は葉山2号源泉です。くわしくは「広報かみのやま」2010年4月15日号(PDF版)をご覧ください。新源泉の掘削だけでなく、昨年には、葉山地区で温泉管理の負担軽減に効果をもたらすと期待される源泉管理システムが導入されたんだそうです。上山温泉はより良い方向を目指して着実に頑張っているんですね。
(以下、「寿荘」のデータです)
葉山地区1号源泉・2号源泉
60.5℃ pH8.1 蒸発残留物2261mg/kg 溶存物質2180mg/kg
Na+:527.5mg, Ca++:218.9mg,
Cl-:712.6mg, Br-:1.9mg, SO4–:591.6mg,
H2SiO3:55.5mg, HBO2:12.0mg,
(平成25年8月3日)
山形県上山市葉山5-70 地図
上山市観光物産協会公式サイト
6:00~21:00 月曜および正月三ヶ日定休
150円(洗髪の場合は別途100円)
備品類なし
私の好み:★★★
コメント
Unknown
コストコ行った後に温泉2個入りたいなと思ってたので最初はこちらに。
温泉の券を買う機械を導入したみたいで初めてですと言ったら丁寧に教えてもらいました。
前に入ってた人のお陰で入れそうではありましたが水を入れました。
浴槽も脇にある水道から水が入ってたんですが水量が増えないようにプラスチックロックが。
上が激熱下半分がぬるくて余裕。そんな状況でした。
熱いからなのか肩までつかったら1件目でもよくなりそうな感じに。満足しましたが、そんなこと言ってるとはしご湯と思い20分位楽しみました。
Unknown
コストコ行った後に温泉2個入りたいなと思ってたので最初はこちらに。
温泉の券を買う機械を導入したみたいで初めてですと言ったら丁寧に教えてもらいました。
前に入ってた人のお陰で入れそうではありましたが水を入れました。
浴槽も脇にある水道から水が入ってたんですが水量が増えないようにプラスチックロックが。
上が激熱下半分がぬるくて余裕。そんな状況でした。
熱いからなのか肩までつかったら1件目でもよくなりそうな感じに。満足しましたが、そんなこと言ってるとはしご湯と思い20分位楽しみました。
Unknown
>シンコウさん
この施設も券売機を導入したのですか。知りませんでした。
>上が激熱下半分がぬるくて余裕
お湯をかき混ぜる湯もみ棒のような物が欲しくなる状況ですね。加水しすぎて他のお客さんが困ってしまう例は全国的にみられるので、プラスチックのロックは致し方ないのかもしれませんね。
Unknown
>シンコウさん
この施設も券売機を導入したのですか。知りませんでした。
>上が激熱下半分がぬるくて余裕
お湯をかき混ぜる湯もみ棒のような物が欲しくなる状況ですね。加水しすぎて他のお客さんが困ってしまう例は全国的にみられるので、プラスチックのロックは致し方ないのかもしれませんね。