前回記事の続編です。
総木造のモダン和風でシックな佇まいの内湯も素晴らしいのですが、露天風呂も負けず劣らず大変魅力的。温泉街からちょっと離れている立地が幸いし、人工物に視界を邪魔されることなく、蔵王連峰を一望できるんですね。初めてこの露天に足を踏み入れたとき、そのパノラマに感動して、しばし立ち尽くしてしまいました。蔵王温泉に数ある露天風呂の中でも屈指の開放感ではないでしょうか。
前回記事でも述べましたが、「離れ湯 百八歩」には2つの浴室があり、日替わりで男女を交互に入れ替えており、私の訪問時には右側浴室に男湯の暖簾が掛かっていました。左右両浴室は、基本的な造りはシンメトリなのですが、内湯の浴槽の形状や露天のレイアウトが若干異なっており、右側浴室の露天では、岩風呂を主体に構成されていました。湯船の半分ほどには屋根が掛かっていますので、多少の雨や雪なら凌げるかと思います。
この日は文句なしの秋晴れ。蔵王連峰の上には真っ青な空が広がり、山々は紅葉で彩られていました。そうした蔵王の自然美と足元の白濁湯とのコントラストが非常に美しく、まるで風景画の中で湯浴みをしているかのよう。極楽にいるようなひと時でした。「四季のホテル」という名前のように、この露天風呂では四季折々でいろんな景色に出逢えるのでしょうね。
右側浴室の露天には2つの湯口があり、ひとつはチョロチョロと、もう一つはしっかりとした量のお湯が注がれていました。そこそこ大きなお風呂ですので、全体的な湯温均衡を図るために湯口を複数箇所設けているのかと推測されますが、投入量に関してはその時々の湯加減に応じて調整されるのでしょうね。おかげさまで、絶妙な湯加減が維持されており、この大絶景を眺めながらのんびりと湯浴みすることができました。
●もう一つのお風呂の露天
実は私の訪問時に浴場施設のメンテナンスが行われており、開場時間が通常より遅かったにもかかわらず、その事実を知らなかった(注意書きを見落としてしまった)私は「多分こっちが男湯でねぇべか?」と勝手に推測し、この日は女湯に指定されるはずであった左側の浴室に入ってしまいました。尤もその時はまだ作業中でしたので、他のお客さんと遭遇することなく、幸いに作業員の方が声をかけてくださったおかげで大事には至らなかったのですが、転んでもタダで起きるわけにはいきません。せっかくの機会ですので、簡単に内部を見学させていただくことにしました。
上述しましたように左右両浴室は基本的にシンメトリーな造りになっているのですが、内湯の浴槽や露天のレイアウトに若干の違いがあります。私が入浴した右側浴室では、内湯の浴槽が一般的な四角形でしたが、左側浴室ではホームベースのような五角形となっていました。
露天も岩風呂である点に変わりはないのですが、右側浴室が大きなひとつの浴槽であったのに対し、こちらは段差で隔てた2つの浴槽に分けられており、浴室に近い小さな浴槽は屋根で覆われ、その奥のちょっと小高い場所に設けられた浴槽は屋根がなく、容量もそこそこ大きなものとなっていました。
使用源泉は左右両浴室とも同一で、近江屋1号泉と2号泉の混合泉です。その源泉名からもわかるように、温泉街の上湯共同浴場前に建つ老舗旅館「おおみや旅館」(私は訪問済みですが拙ブログでは未掲載)がこのホテルの経営母体であり、その敷地内で湧く源泉をここまで引いているんでしょうね。各浴槽においても、湯船のお湯は青白色を呈しながら弱く濁っているのですが、浴槽の底面など湯中には大量の湯の花や沈殿が存在しており、お湯に動きを与えるとこの湯の花が一気に撹拌されて、底面が目視できなくなるほど強く濁りました。いかにも蔵王のお湯らしく、ミョウバン系の収斂酸味が強くて湯面からイオウの香りをプンプン漂わせており、強い酸性泉ならではのヌメリを伴うツルスベ浴感もはっきりと肌に伝わったのですが、引湯距離が長いためか、「おおみや旅館」で入るよりも幾分こなれてマイルドになっているような気がしました。とはいえ完全掛け流しであり、浴場としての完成度も高く、露天の景色も素晴らしいため、総じて高評価、大満足の一湯となりました。今度は是非宿泊利用してみたいものです。「蔵王でおすすめのお風呂は?」と訊かれたら、真っ先に紹介したくなるような、ブリリアントなお風呂でした。
近江屋1号源泉・近江屋2号源泉
酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉 47.9℃ pH1.8 蒸発残留物2702mg/kg 溶存物質2805mg/kg
H+:16.0mg, Na+:51.9mg, Mg++:58.6mg, Ca++:84.6mg, Al+++:129.8mg, Fe++:11.7mg,
F-:15.1mg, Cl-:349.4mg, Br-:3.7mg, HSO4-:624.2mg, SO4–:1169mg,
H2SiO3:230.7mg, H2SO4:25.0mg, CO2:401.8mg, H2S:8.9mg,
(平成23年1月28日)
加水加温循環消毒なし
山形県山形市蔵王温泉1272 地図
023-693-1211
ホームページ
日帰り入浴時間要確認
800円(もしくは「湯めぐりこけし」シール2枚)
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★★
コメント
蔵王屈指の穴場ですね
日によって左右交替になるのですね。
私が行った時は左側でしたが、画像を拝見すると、右側の露天風呂の方が開放感があるように感じました。
混み合わないので、私もこの絶品の湯を独占することができました。
蔵王の中でも屈指の穴場ですよね♪
トラバさせてください。
蔵王屈指の穴場ですね
日によって左右交替になるのですね。
私が行った時は左側でしたが、画像を拝見すると、右側の露天風呂の方が開放感があるように感じました。
混み合わないので、私もこの絶品の湯を独占することができました。
蔵王の中でも屈指の穴場ですよね♪
トラバさせてください。
Unknown
hiroさん、こんばんは。
「たとえ蔵王であっても、どうせ大きなホテルのお風呂は私の心の琴線を擽ってくれないだろう」という先入観があったので、いままでここを敬遠してきたのですが、いざ入ってみてビックリ。こんな素晴らしいお風呂を食わず嫌いしていた自分を恨みました(笑)。おっしゃるように、屈指の穴場だと思います。誰かに紹介したくなるお風呂でした。
Unknown
hiroさん、こんばんは。
「たとえ蔵王であっても、どうせ大きなホテルのお風呂は私の心の琴線を擽ってくれないだろう」という先入観があったので、いままでここを敬遠してきたのですが、いざ入ってみてビックリ。こんな素晴らしいお風呂を食わず嫌いしていた自分を恨みました(笑)。おっしゃるように、屈指の穴場だと思います。誰かに紹介したくなるお風呂でした。
Unknown
こんばんわ^^。
一週間の万座滞在、まさに至福の時間でありました。
しかし、女湯に突入するとは何とも豪儀でありますな^^b
私も見習わねばならぬと痛感しております。
それにしても、やはり濁り湯は非常に魅力的です。
蔵王も一度、行かねばならぬと考えておりまして、
何度も検索しているのですが中々ヒットせず(><)
例えば、冬季休みの12月28日~30日の三泊で、
検索してみては「朝食のみ」ばかりで涙しております。
私は基本、二食付きで泊まりたい派なのです^^。
温泉に入りながら、地元の食材で夕食を食べる。
これほどの幸せは中々ありませんよね^^。
いつもこのブログを見た後は、特にコメントした記事の宿は、
「ここ、良さそうじゃないか!?」
と思っているわけでして、当然検索してみるんですが、
該当日には宿泊できない場合が多いのです(TT)
旅館すがわらもダメでしたし。しばらくは硫黄泉もお預けですかね^^;
Unknown
こんばんわ^^。
一週間の万座滞在、まさに至福の時間でありました。
しかし、女湯に突入するとは何とも豪儀でありますな^^b
私も見習わねばならぬと痛感しております。
それにしても、やはり濁り湯は非常に魅力的です。
蔵王も一度、行かねばならぬと考えておりまして、
何度も検索しているのですが中々ヒットせず(><)
例えば、冬季休みの12月28日~30日の三泊で、
検索してみては「朝食のみ」ばかりで涙しております。
私は基本、二食付きで泊まりたい派なのです^^。
温泉に入りながら、地元の食材で夕食を食べる。
これほどの幸せは中々ありませんよね^^。
いつもこのブログを見た後は、特にコメントした記事の宿は、
「ここ、良さそうじゃないか!?」
と思っているわけでして、当然検索してみるんですが、
該当日には宿泊できない場合が多いのです(TT)
旅館すがわらもダメでしたし。しばらくは硫黄泉もお預けですかね^^;
Unknown
ぬる湯マスターさん、こんばんは。
万座のお湯を満喫なされたようで何よりです。お湯の良さは言わずもがなですが、万座は高地で涼しいですから、あの冷涼な快適さを味わってしまうと、猛暑の下界には戻りたくなくなりますよね。
>中々ヒットせず
それは残念です(涙)。ご希望の日程がちょうど年末の繁忙期ゆえに、検索かけてもヒットしにくいのかもしれませんね。2食付で泊まりたいお気持ち、よくわかります。大手予約サイトで希望のプランが表示されない場合、私はその宿へ直接電話して交渉しちゃうのですが(あるいは宿の公式サイトから予約)、そうすると結構希望に沿ったプランで予約できちゃうんですよね。冬に山形県の温泉旅館へ泊まると、結構な確率で芋煮を出してくれるのですが、これが実に美味いんです。この冬も山形の温泉に泊まるつもりです。ぬる湯マスターさんもぜひぜひ予約をゲットなさってください。
Unknown
ぬる湯マスターさん、こんばんは。
万座のお湯を満喫なされたようで何よりです。お湯の良さは言わずもがなですが、万座は高地で涼しいですから、あの冷涼な快適さを味わってしまうと、猛暑の下界には戻りたくなくなりますよね。
>中々ヒットせず
それは残念です(涙)。ご希望の日程がちょうど年末の繁忙期ゆえに、検索かけてもヒットしにくいのかもしれませんね。2食付で泊まりたいお気持ち、よくわかります。大手予約サイトで希望のプランが表示されない場合、私はその宿へ直接電話して交渉しちゃうのですが(あるいは宿の公式サイトから予約)、そうすると結構希望に沿ったプランで予約できちゃうんですよね。冬に山形県の温泉旅館へ泊まると、結構な確率で芋煮を出してくれるのですが、これが実に美味いんです。この冬も山形の温泉に泊まるつもりです。ぬる湯マスターさんもぜひぜひ予約をゲットなさってください。
Unknown
こんばんわ^^。
帰還してから今日で4日目ですが、
先ほど風呂で頭を洗ってみると、いまだに硫黄匂が^^。
久々の出社日が、まさに地獄へ落ちて行く様な気分でしたね(苦笑)
確かに、直接宿に電話するのも手ですね!
それを忘れておりました。いざとなればその手で行きます。
やまびこ、つばさにも乗ってみたい事ですし、
ぬる湯だけでなく、芋煮もマスター出来そうですね^^。
地元の食材には、本当にムラムラしてしてしまいます。
余談ですが、万座から軽井沢へのバスが大幅に遅れ、
新幹線あさまの特急券が危うくパーになる所でした。
グランクラスを買ってたんですが、一本遅れて乗って、
車掌に相談した所、空いてるグランクラスに座れました^^;
こんな時、自分もまだまだ旅マスターには程遠いなと思い知らされます(涙)
Unknown
こんばんわ^^。
帰還してから今日で4日目ですが、
先ほど風呂で頭を洗ってみると、いまだに硫黄匂が^^。
久々の出社日が、まさに地獄へ落ちて行く様な気分でしたね(苦笑)
確かに、直接宿に電話するのも手ですね!
それを忘れておりました。いざとなればその手で行きます。
やまびこ、つばさにも乗ってみたい事ですし、
ぬる湯だけでなく、芋煮もマスター出来そうですね^^。
地元の食材には、本当にムラムラしてしてしまいます。
余談ですが、万座から軽井沢へのバスが大幅に遅れ、
新幹線あさまの特急券が危うくパーになる所でした。
グランクラスを買ってたんですが、一本遅れて乗って、
車掌に相談した所、空いてるグランクラスに座れました^^;
こんな時、自分もまだまだ旅マスターには程遠いなと思い知らされます(涙)
Unknown
ぬる湯マスターさん、こんばんは。
まだ硫黄臭が残っているのですか!? さすが万座のお湯は、硫黄の多さで日本屈指ですもんね。でも、あの匂いってそんなに強いのか…。もしかしたら私も自分で気づかないだけで、会社では周囲に硫黄臭を撒き散らしているのかもしれませんね。今度から注意しなきゃ(笑)。
>グランクラス
それは冷や汗ものでしたね。大型連休やお盆の軽井沢はめちゃくちゃ混みますが、もしかしたらバスが渋滞にはまってしまったのでしょうか。ともかく後続の列車に空席があって良かったです。通常、指定の列車に乗り遅れた場合は、追加の手続きや料金なしで後続列車の自由席に乗車できますが、グランクラスを含むグリーン車の場合は、空席がある場合に限り、車掌の判断で同じクラスの車両に乗れる特例があるんですよね。グランクラスは席数が少ないので、本当に良かったです。
Unknown
ぬる湯マスターさん、こんばんは。
まだ硫黄臭が残っているのですか!? さすが万座のお湯は、硫黄の多さで日本屈指ですもんね。でも、あの匂いってそんなに強いのか…。もしかしたら私も自分で気づかないだけで、会社では周囲に硫黄臭を撒き散らしているのかもしれませんね。今度から注意しなきゃ(笑)。
>グランクラス
それは冷や汗ものでしたね。大型連休やお盆の軽井沢はめちゃくちゃ混みますが、もしかしたらバスが渋滞にはまってしまったのでしょうか。ともかく後続の列車に空席があって良かったです。通常、指定の列車に乗り遅れた場合は、追加の手続きや料金なしで後続列車の自由席に乗車できますが、グランクラスを含むグリーン車の場合は、空席がある場合に限り、車掌の判断で同じクラスの車両に乗れる特例があるんですよね。グランクラスは席数が少ないので、本当に良かったです。