次なる目的地は、前回記事で取り上げた超有名野湯のゲートウェイにあたる集落の端っこでぽつんと佇むこのビニールハウスです。拙ブログとしては2009年8月以来7年ぶりの再登場となります(以前の記事はこちら)。
各部材が適宜補修されてるようですが、基本的な構造や様子は前回訪問時とほとんど同じでした。農業用のビニールハウスでつくられた簡素な施設でありながら、浴室がちゃんと男女別に分かれているのは立派です。唯一以前と明らかに違う点は、出入口の内側にこの入浴施設に関する説明が2点掲示されていることでしょうか。1点目は免責事項に関することで、この温泉は公衆浴場法で規定する入浴施設ではないから、関係者以外が入浴した場合の事件事故疾病などに関しては一切責任を負いませんよ、という内容が記されています。もう1点は施設の設立趣旨であり、この温泉は「地域の賑わいづくり」として地域住民自らが整備した施設である旨が記載されていました。
脱衣室も至って簡素ですが、室内には棚が設置され、農作業用の小さなコンテナを衣類を収める籠として活用しており、風呂としての体裁が整えられていました。この室内に料金箱があるので利用時には寸志を納めるのですが、その額の基準が書かれていないため、寸志の相場をご存知ない方は迷ってしまうでしょう。私は100円玉を数枚投入しましたが、大体2〜300円前後、少なくとも100円以上で良いのではないでしょうか。
寸志とはいえ、無銭入浴に関しては厳しく目を光らせているらしく、後述する湯船で私が湯浴みをしていると、どこからともなくお婆さんがやってきて、寸志箱の中にお金が入っていることを確認した後は、こちらへ何も言わず静かに立ち去っていきました。ということは、私の行動はどこかで監視されていたわけか…。
あいからわずこの浴室はお湯の溢れ出しがすごいですね。圧巻です。浴槽や床などお湯に触れる箇所は、悉くカルシウムに覆われ、金気で赤茶色に染まっていました。
男女の仕切り下よりシュワシュワと泡立ちながら絶え間なく湧出し続けていお湯の温度は41.1℃でした。湯口周りはサンゴ礁みたいなトゲトゲに覆われています。お湯を口に含むと、明瞭な炭酸味のほか、甘塩味や石膏甘味、そして強く金気味が感じられました。
お湯の投入口の真裏にあるこの丸い物体が源泉井なのかな。
湯船は3〜4人サイズ。湧きたての温泉が常時大量投入されているためお湯はとってもフレッシュですが、それでも外気に触れた瞬間に酸化がはじまるためか、湯船のお湯は潮汁のような微濁を呈しており、湯中では赤茶色の細かな湯の華がたくさん浮遊していました。
湯加減は40.6℃という長湯仕様ですが、食塩泉的な要素に加えて炭酸の温浴効果が発揮されるためか、じっくり湯浴みしていると、その湯温をはるかに上回るパワフルな温まりが得られ、湯上がりも長い時間にわたって体がホコホコし続けました。遊離炭酸ガス805.4mgという数値は伊達じゃありません。超有名野湯も最高ですが、こちらも負けず劣らずの素晴らしいお湯であります。
なお、私が利用したのは昨年11月であり、紅葉も終わって冬へと突入する時期でしたから、虫の被害に遭うことはありませんでしたが、炭酸ガスをたくさん放出する温泉であるため、夏季になるとアブに刺される可能性があります。吸血性の虫が発生する時季には気を付けてご入浴ください。
カルシウム・ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩温泉 41.6℃ pH6.4 溶存物質4284.9mg/kg 成分総計5090.4mg/kg
Na+:555.9mg, Mg++:94.7mg, Ca++:557.9mg, Fe++:3.9mg,
Cl-:904.2mg, I-:1.2mg, SO4–:765.5mg, HCO3-:1277mg,
H2SiO3:66.2mg, CO2:805.4mg,
(平成20年1月21日)
加温加水循環消毒なし
秋田県鹿角郡小坂町某所
入浴時間には特段制限はないようですが、地域住民のための施設ですので常識の範囲内で。
寸志
備品類なし
私の好み:★★★
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