国内外を問わず津々浦々のいろんな温泉に入ってきた私。年々その訪問数を増やしており、2000湯目を迎えたのは2014年、台湾の秘境「紅香温泉」でした。2014年ころの私は1年で200~250ヶ所の温泉を訪ねるような生活を送っており、まさに温泉に人生を捧げるような毎日でしたが、その後私を取り巻く環境が変化して温泉巡りに充てられる時間が激減してしまい、今年(2018年)に至っては下半期に入っているにもかかわらずまだ50湯に届くかどうかといったところ。マニアとしてはとても寂しくて不甲斐なくストレスフルなのですが、むしろこれで一般的な常識人に近づいたのかもしれず、ようやく私もちゃんとした真人間になれる気がします。「早く人間になりたい」と希う妖怪人間ベムの気持ちがちょっぴり理解できました。いよいよ妖怪人間からの脱却です。
そんな状況なので、最近は身も心もお湯切れ状態。もはや温泉マニア失格なのですが、辛うじて確保できる休日には細々と関東近県の温泉へ出かけるようにしており、なんだかんだで、今年(2018年)の春には2500湯(※)を迎えられることになりました。せっかくのハッピーアニバーサリーですから、印象に残るような素敵な温泉で記念すべきひと時を過ごしたいと考え、4月の某日、温泉ファンから人気が高い西伊豆の桜田温泉「山芳園」で一晩お世話になりました。
(※)自己紹介のページでもご説明しておりますが、この数は対象の入浴施設に初めて訪れた時の回数をカウントしております。源泉数でも温泉地数でもなく、入浴施設数(野湯を含む)を単純にカウントしています。
●外観
なまこ壁の港町「松崎」へ注ぎ込む那賀川沿いに伸びる長閑な田園地帯。
谷あいのささやかな耕作地は、田植えシーズンを迎えるまで、可憐なお花畑へと姿を変えます。
そんな田んぼの北側に今回お邪魔した桜田温泉「山芳園」があります。周囲には他にお宿が無い一軒宿です。
いかにも松崎らしいなまこ壁に包まれた建物の間を進んで玄関へ。
アプローチの途中には池が水を静かに湛えていました。
また傍らにはまん丸い夫婦タヌキの置物が飾られており、その愛嬌のある容貌は実に微笑ましく、思わず写真を撮ってしまいました。
ステップを上がって玄関へ。
おじゃまします。
玄関を上がって左手のロビーには大きな囲炉裏があり、また本棚には書籍が用意されているので、赤く燃える炭の温もりを感じながら読書をしてゆっくり過ごすことができます。
●客室
人気のお宿ですから、希望のお部屋を予約するのは至難の業。できれば客室内に温泉のお風呂があるお部屋を利用したかったのですが、あいにく満室だったので、この日唯一残っていたベッドのお部屋を予約しました。本館からちょっと離れた新館2階の「蓮華」という部屋。このお宿でベッドの客室はここだけなんだそうです。しかも全客室の中では最も広い14畳もあるんです。ゆったりとした空間でのんびりとしたひと時。お祝いの日にふさわしい贅沢な過ごし方だと自分で満足しちゃいました。
窓からの眺めはこんな感じ。
宿の敷地や目の前の耕作地を一望できます。
●食事
旅館の大きな楽しみといえばお食事ですよね。
ささやかながらもお祝いの日ですから、2食付きでお願いしました。
この日の夕食の献立は・・・
赤卵の厚焼き
シイタケの山椒煮
伊豆鹿源泉ロースト
地魚皮湯引き
地魚うろこ煎餅
お造り(駿河海の幸 カツオ・スズキ・ヒラメ・イサキの昆布締め 松崎産本山葵)
深海ニギス桜葉焼き
フキノトウ 素焼きタケノコ
本日の魚皿、野菜の煮物
桜田温泉アイガモ農法米
焼き塩鯖
伊豆野菜と地魚出汁 スープ仕立て
(一部省略)
このような数々。地のものや旬のものを多く使って丁寧に料理してくださった品々は、どれもが美しく、上品、そして美味しい! 思わず会話が弾み、お酒も進みます。
ちなみに、桜田温泉アイガモ農法米とは、目の前の田んぼで収穫されたお米なのですが、その名の通りアイガモさんたちが除草してくれることにより農薬を使わない稲作を実現しているんだそうです。体に優しく美味しいお米ですから、普段おかわりしない人でも、ここに来れば2膳3膳と食が進むこと間違いありません。
なおアイガモさんたちは、私が泊った日にも姿を見せてくれました。帳場で餌を売っているので、餌付けも可能です。それぞれ個性があり、臆病な子もいれば積極的な子もいて、そんなカモたちを観察してると、人間社会を投影しているようでもありました。
こちらは食後のデザート。小夏葛餅 松崎フランボワーズ みかんケーキ。伊豆らしく柑橘類のスイーツです。
朝食はアジの開きや温泉卵など、いかにも和の献立がお膳の上に並びます。これもまた美味しく、気づけばペロっとすべてを平らげていました。夏みかんのジュースも美味!
さて、次回記事からはお風呂を取り上げてまいります。
次回に続く・・・
コメント
Unknown
大記録達成おめでとうございます! 自分はまだその半分ですが。東北に住んでると、近くの温泉で満足してしまって数が増えません(笑)
いつかご一緒したいですね!!
Unknown
2500湯達成、おめでとうごさいます。
K-Iさんに感化され温泉巡りを始めて1年ほどになりますが、私はいまだ50湯を目指しているところです。
これからも記事を楽しみにしています。と同時に、また思う存分温泉巡りに没頭できる環境に戻れますように。
蛇足ですが、共同浴場の常連さんたちって皆さん肌艶が良いですね。
K-Iさんはじめ温泉マニアの方々もさぞ良い肌の持ち主だろうとお察しします。あ~、お湯につかりたくなってきました!
Unknown
2500湯おめでとうございます!
私は東北に転勤して半年。
K-Iさんが★★★判定された温泉をトレースして
40湯ほど巡りました。
引き続きK-Iさんの背中を追いかけて温泉巡り
頑張ります!
2500湯の偉業達成
素晴らしいの一言です。もはや先を走るのは温泉神郡司さんただ一人ですね!これからも頑張ってください。
自分なんかはK―I様の3分の1未満の入場数で恥ずかしい限りです…。
皆さまありがとうございます
>ぬまさん
ありがとうございます。昨年の夏頃までは比較的フレキシブルに時間が作れたので、東北にも年に何度かは足を運べたのですが、最近はそのような自由がきかなくなり、ぬまさんのように近所に温泉がある東北という場所がとても羨ましく思っています。特に私は自分の血の4分の2が東北なので、東北の温泉には思い入れが強く、行けないことがストレスになっています。
機会を見つけて是非ご一緒したいですね。
これからもよろしくお願いいたします。
>おもちさん
ありがとうございます。
私が言っても説得力はありませんが、温泉巡りは数ではなく中身ですから、ご自分のペースでゆっくりしっかり印象に残る温泉を訪ねて楽しんでくださいね。その訪問先の選定に拙ブログが多少なりともお役に立てれば幸いです。そして素敵な温泉に出会えたら、教えてくださると嬉しいです。
おっしゃるように共同浴場の常連さんは、みなさんお肌がツヤツヤですよね。やっぱり毎日温泉に入っていると違うんでしょうね。かく言う私も肌がモチモチだと知人に言われたことがあります(笑)。
今後ともよろしくお願いいたします。
>転勤族さん
ありがとうございます。
半年で40湯ですか! 今年の私のペースを上回っています! 東北は良い温泉が多いので、何度巡っても飽きることがないですよね。そして温泉にグルメを加えると、本当に出かけるのが楽しくなり、次の休みが待ち遠しくて仕方なくなりますね。私の評価はあまりアテにはならず、ご迷惑をおかけしているような気もしますが、東北という地の利を生かし、これからもどんどん楽しんでください。そして私にも良い温泉の情報を教えてください。
今後ともよろしくお願いいたします。
>たちかわ某さん
ありがとうございます。
いやいや、競馬に例えるならば郡司さんはG1で私は500万条件の駄馬ですし、いわゆる温泉同好の方々が集まるようなグループにも属していないアウトサイダーなので、諸先輩方に対して大変畏れ多いのですが、これからはペースがガクンと減るので、数ではなく中身で楽しんでいきたいと考えています。実際、たちかわ某さんの方が私よりもいろいろな温泉の事情などをよくご存知でいらっしゃるので、数ばかりの私は決して偉そうな顔ができません(笑)。これからも謙虚にひっそりとブログを書いてまいります。
これからもよろしくお願いいたします。
2500湯おめでとう
逍遙さん
記念すべき2500湯達成おめでとうございます。
頑張る自分へのご褒美のようないい宿
、いい部屋、いいベッドに出会えよかったですね。食事も丁寧に作ってあり、アイガモでの米作りって、凄く自然農法でホノボノしますね。
それにしても2014年まで温泉に年間に200湯~250湯は入っておられたとは・・びっくりです。
それが今年は年間50湯になっただけでストレスマックスとは・・逍遙さんさんは、よほどの温泉カッパですね。
私は、2009年~2013年が
年間100湯くらい入っていて最高で、あとは年々80湯→60湯→40湯→20湯と減っていき・・今年は、なっなんとまだ6湯しか入れていません。もう完全に温泉カッパは干上がって瀕死の状態です。
やっと9月の月末に北近畿の温泉宿3つに行ける予定が立ち、しれだけを励みに生きております(オーバーですが、こんな状態です)
年間50湯になられた逍遙さんおめでとうございます。やっと常人に近づきましたね。
そして、改めて2500湯達成おめでとうございます!
すべて、ご自分で計画されての温泉旅・本物温泉ばかり・素晴らしいです。これからもお元気で温泉旅を計画・実行して下さり、そしてまたこのブログで報告してください。お願いいたします。多くの温泉好きの読者が旅計画の参考に、これからも閲覧・訪問させていただきます。
我が家も温泉旅の計画担当の夫も、東北や九州などの温泉旅計画時によく逍遙さんのブログを読ませて頂いていたようです。
お元気で、益々の当ブログの発展をお祈り致してます。
Unknown
>hitareriさん
ありがとうございます。昨年の秋頃から温泉巡りのペースが急激に落ち、そろそろこのブログもネタ切れ状態に陥りそうですが、出かけられる時間を見つけて、決して途絶えさせないよう、細々ながらも温泉巡りを続けております。
主観ばかりで偏りがあり、文量の割には中身が足らずあまりお役に立てていないかと存じます。また最近は更新ペースが落ちており情報鮮度もいまいちですが、今後とも宜しくお願い致します。