新北市金山区 南屏公共浴室

台湾


前回記事で取り上げた台北近郊の陽明山エリアから北上して金山の街に下り、街はずれの漁港にやってきました。


金山の漁村集落には温泉の公衆浴場があります。
上画像にその公衆浴場が写っているのですが、どれかわかりますか?


茶色い集合住宅の真下、平屋の小さな建物がその浴場です。


浴場の名前は「南屏公共浴室」。建物こそ小さいのですが、ご覧のように立派な看板が掲出されているので、現地まで行けば比較的容易に探せるかと思います。


金山には温泉公衆浴場が複数あり、拙ブログでも既にその中のいくつかをご紹介していますが、いずれも管理人や番台など不在の無人浴場であり、また原則的には地域住民のために設けられているため無料で利用ができます。今回取り上げる「南屏公共浴室」もその典型であり、無人且つ無料の温泉公衆浴場です。
原則的に監視の目が行き届かない無人施設ゆえ、出入口には入浴上の注意が掲示されており、英語も併記されているのですが、誰も読まないためか英語表記の上から張り紙が貼られてしまい、何と書かれているかさっぱりわからない状態でした。


男女別の入口から中に入ると、いきなり浴室になります。更衣ゾーンと入浴ゾーンが一体となっている構造は、大分県別府の公衆浴場みたいですね。浴室内にあるのは、浴槽と・・・


棚だけ。至ってシンプルです。


四角い浴槽は4~5人サイズ。洗い場のカランはありませんので、掛け湯の際は湯口から汲むことになります。


浴槽には温度計が設置されており、訪問時は42.2℃と表示されていました。台湾の温泉施設にある温度計は得てして故障しており、実際とは全然違う数値を表示していることが多いのですが、私の体感で申し上げるならばこの温度計は比較的正確だったかと思います。温度計の横には注意書きが掲示されており、曰く「天然温泉であるため温度をコントロールできません。入浴者は温度に注意し、45℃を超えた場合は入浴を中止してほしい」とのことです。もっとも、45℃もあれば、注意喚起しなくても普通の人なら熱くて入れないでしょうけどね。


たしかに天然温泉ですからコンディションによって温度が上下するかと思いますが、湯口にはバルブがついていますからこれを開閉することで湯加減を多少調整することが可能です。先述のように室内にはお湯のカランが無いので、掛け湯する場合もここから吐出されるお湯を直接桶で受けることになります。
金山エリアで湧出する温泉は、金気が多いか酸味が強いか、どちらかのタイプに分かれますが、こちらのお湯は後者であり、酸っぱく且つしょっぱいお湯がバルブからふんだんに吐出していました。もちろん完全放流式ですが、誰もいない時には溜め湯されたままになっているため、利用するタイミングによってはお湯がちょっと鈍っているかもしれません。なお、私が利用した時にはバルブをしっかり開けて新鮮源泉をドバドバ投入させてもらいました。


肩まで湯船に浸かってしっかり温まり、軽くのぼせかけたので、風呂上がりに波止場をブラブラしながら潮風に当たってクールダウンしていると、沖から漁船が戻って入港してきました。それとほぼ同じタイミングで、お風呂へ東南アジア系漁業労働者が入っていきました。日本では肉体労働系のお仕事に日本人が就労しようとしないため外国人労働者に依存せざるを得ない状態が続いていますが、この台湾でも同じ事情を抱えており、諸外国からやってきた労働者たちがご当地の第一次産業を支えているようです。彼らは異国の地で公衆浴場に入り、掛け流しの温泉でその日の汗を流しているのでしょう。こちらの温泉は入浴者の出身地を問うことなく、無言で優しく人々の疲れを癒しています。


新北市金山区磺港路11号
利用可能時間の明記無し
無料
備品類なし

私の好み:★★+0.5

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