八甲田ホテル その3(温泉)

青森県

前回記事の続きです。


さて、お待ちかねのお風呂へと参りましょう。なお日帰り入浴は受け付けていないはずですので、こちらのお風呂に入れるのは宿泊客だけの特権と言えます(そのはず)。浴衣姿で通路を歩き、階下にある大浴場へ。


男女別の浴室は夕・夜・朝いずれも固定されており、時間や日による暖簾替えは無いようです。


さすがハイクラスのホテルだけあって更衣室は清潔で使い勝手も良好。各種アメニティが用意されている他、タオルは棚に積んであるものが使えるので、お部屋から持ってゆく必要ありません。


洗面台付近には冷たい八甲田の伏流水が用意されており、湯上り後に飲んだら美味しいのはもちろん、入浴で失われてゆく水分を補うため、入浴前にも飲んでおきましょう。


お風呂は内湯のみで、夜はライトアップされ、朝は日の光を受けて輝く八甲田の豪雪を窓ガラス越しに眺めながら、寒さ知らずでのんびりゆったりと雪見風呂を楽しみました。


主浴槽と窓外の景色を別アングルから。落ち着いた良い雰囲気です。窓外に広がるヒバの自然林も美しいですね。
本館に相当する酸ヶ湯温泉旅館みたいに、こちらのお風呂もヒバ材を多用しており、特に浴槽は床も含めて総ヒバ造。ヒバならではの質感や重厚感、ぬくもりがしっかりと感じられます。


サウナと水風呂も完備。


湯口からはほぼ無色透明なお湯が浴槽へ注がれ、湯船を満たした後は窓側の溝へとオーバーフローしています。酸ヶ湯と近いので同じ源泉かと想像する方もいらっしゃるかと思いますが、こちらではれっきとした独自の自家源泉を加水かけ流し使用しており、お湯を口に含むと口腔内をキュッと収斂させる強い酸味が感じられます。酸ヶ湯と同じように硫酸、鉄、そしてアルミニウムが主成分という典型的な酸性の明礬泉なのですが、白濁しやすい酸ヶ湯と異なり、上述の通りこちらはほぼ無色透明です。強い酸性のため湯船に入った瞬間は肌にもピリッとした刺激がありますが、そのまま肩までしっかり浸かると肌にしっとりと馴染み、ツルツル感も相俟って、実によい入り心地が得られます。
このお湯をすっかり気に入った私は、宿泊中に何度もお風呂と自室を往復してしまいました


なんとアイスキャンディーのサービスも用意され、お風呂上がりで火照った体を気持ち良くクールダウンすることができました。


実はこの温泉のお湯を拙ブログにおいて2014年8月に、別の形で紹介したことがあります。その時の記事タイトルは「八甲田山中 某源泉地帯のこぼれ湯」というもの。ホテルで使い切れずにオーバーフローさせている源泉のお湯があり、そのままでは熱すぎるため、沢水と混じって良い湯加減まで下がったところで野湯として楽しみました。あれから約10年が経ち、ようやくちゃんとした形でお風呂に入れたわけです。

それにしても、ホテルのファシリティー、館内の雰囲気、サービス、お食事、そしてお風呂、それらすべてが素晴らしく、わざわざここまで来て良かったと納得の一泊でした。温泉マニア的な視点から考えても、酸ヶ湯温泉旅館とは別源泉且つ良い温泉ですので、入る価値は十分にありますね。

荒川温泉(再分析)
酸性・含鉄( II・III)・アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉
72.9℃ pH1.66 自然湧出(湧出量測定不能) 溶存物質7.970g/kg 成分総計7.985g/kg
H+:22.0mg(19.65mval%), Na+:58.2mg(2.28mval%), Ca++:297.3mg(13.36mval%), Al+++:496.4mg(49.67mval%), Fe++:203.8mg(6.57mval%), Fe+++:31.8mg,
F-:8.5mg, Cl-:1431mg(33.55mval%), HSO4-:2061mg(17.65mval%), SO4–:2798mg(48.43mval%),
CO2:15.3mg,
(2024年9月24日)
加水あり
加温循環消毒なし

青森県青森市荒川南荒川山1-1
017-728-2000
ホームページ

私の好み:★★★

コメント

  1. 彼方 より:

    泊まってみたい・・・
    今更ですがあけましておめでとうございます。
    八甲田ホテルの記事、通して読みました。食事が気になったんですけど、地域にこだわらず青森全域を守備範囲にしてるみたいですね。
    地域の食文化の紹介って観光宿の重要な役目だと自分は思うので、ポリシーがはっきり伝わる宿が自分は好きです。範囲を広く取るか狭く取るかでも違いがあってそこが面白い。八甲田ホテルは「青森」を紹介したいんだなというのが伝わってきます。
    自分はそもそも青森のこの界隈自体未訪なんですが、酸ヶ湯温泉旅館ともども両方一度は泊まってみたいと思いました。

    今年もバックナンバーの旅館施設の情報をコメントに書き込むと思いますが、良かったら読んで頂けると幸いです。

  2. K-I より:

    Unknown
    彼方さん、あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願い致します。
    「地域の食文化の紹介って観光宿の重要な役目」というご指摘には私も全く同感で、そのあたりが疎かな宿は個人的な評価が思いっきり下がってしまいます。やっぱりご当地の食材や郷土料理を楽しみたいですもんね。
    そしてまた、「青森全域を守備範囲」というご指摘を拝見して私は「さすが!」と唸ってしまったのですが、仰るように津軽・南部・下北という地域にこだわらず県内だったら取り扱おうという姿勢なんだと思います。個人的には津軽に親近感があるので、けいらんやいちご煮よりけの汁の方が馴染みがあるのですが、まぁ一般的な県外の人にとって、津軽と南部の区別なんて「何それ?」という感じでしょうし、そもそもエリアを広げた方が食材も増えますしね。
    先日も名古屋方面(尾張)へ行った際、当たり前のように八丁味噌の献立が郷土料理として出されるのですが、八丁味噌は岡崎だから尾張ではなく三河じゃないのかしら、なんて考えたりしながらも、なんだかんだで美味しく食べちゃいました(笑)。

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