鳴子温泉 大江戸温泉物語 幸雲閣(前編 本館)

宮城県

(2025年8月訪問)
8月のお盆休みに急遽鳴子温泉で宿泊することになり、直前でも予約できるリーズナブルなお宿を宿泊予約アプリで探していたら、ヒットしたのが今回取り上げる「大江戸温泉物語 幸雲閣」でした。根っからの判官贔屓である私は、できるだけ大きな資本ではなく地元に根差した中小零細経営の宿に泊まるよう心がけているので、これまで大江戸温泉物語グループの利用は敬遠していたのですが、たまにはいつもと方向性の異なる大手の施設を利用して、人気の高さや安さの秘訣を探るのも勉強になるかと考え、今回は食べず嫌いしないで利用することにしました。

現在の「大江戸温泉物語 幸雲閣」は以前「鳴子ビューホテル」として営業していましたが、経営が傾いて「鳴子湯乃里 幸雲閣」となり、更に2016年には大江戸温泉物語グループが買収して現在の形に落ち着いています。

基本的に「鳴子ビューホテル」時代の建物がそのまま使われており、要所要所を細かく改修しているようですが、全体的な古さは隠しきれず、綺麗に維持しつつも改修を必要最低限に留めることによって安さを実現させているものと思われます。
また食事は夕朝ともにバッフェスタイルなのですが、ご当地らしい食材や料理が少ない一方、子供連れのファミリー層に喜ばれそうな冷食のハンバーグ・スパゲッティ・マカロニ・安いお寿司や刺身などに重点が置かれており、工場で大量製造される食材や料理をマニュアル通りにサーブすることで、廉価な料金設定と効率的な客捌きを実現しているのでしょう。
ちなみに今回宛がわれた客室は一人客向けのシングルルームで、室内のアコモディションはビジネスホテルのシングルルームそのもの。温泉風情はありませんが、使い勝手に問題は無く、綺麗に維持されていますので、一晩寝て過ごすだけなら十分かと思います。

さて肝心のお風呂へ参りましょう。エレベーターで6階へ上がると、やや仰々しさが否めない「温泉テーマパーク」と表現したくなるような浴場入口が我々を出迎えてくれます。といっても過剰な演出があるのはここだけで、入口を進んだ先にある脱衣場は使い勝手が優先されている、明るくて開放的な空間です。

鳴子ビューホテル時代のお風呂を流用している大浴場は、高い天井、広い空間、立派な柱、そしてプールみたいな大きい浴槽が我々利用客に非日常的な高揚感をもたらしてくれます。大きなT字形の浴槽は浴槽内が黒く染まっており、それゆえホテルではこのお風呂を黒湯と呼んでいます。この浴槽で私が良いなと感じた点は、浴槽の縁に枕になるような梁が設けられており、そこに頭を乗せて入浴するとリラックスできる恰好で入浴できるところです。

温泉マニア的に目を奪われるのは、主浴槽にお湯を注ぐこの湯口です。こんもりと析出が付着したその姿はまるでモンスターのようであり、長年にわたって付着し続けることで、このような印象的なビジュアルに成長したのでしょう。このモンスターから熱々のお湯が注がれていますが、湯使いとしてはしっかり加水循環消が行われており、源泉が有しているはずの本来の特徴は、湯船に於いてかなり薄くなっているようでした。上述したようにこのお風呂は黒湯と称されていて浴槽自体は確かに黒いのですが、お湯自体はほとんど黒くなく、ほぼ無色透明といっても差し支えない状態です。

余談ですが、ネットで見つけた過去の記録によれば、以前の「鳴子ビューホテル」時代は浴槽の周りにスノコが敷かれていて大量のお湯は溢れるほどかけ流されていたそうですが、現在スノコは撤去されており、オーバーフローも全く見られません。

一応露天風呂もあるのですが、大きな内湯浴槽とは対照的に4~5人が精一杯といった小さなものですから、おまけ程度と捉えるべき存在かと思います。とはいえ岩風呂チックな浴槽にはトゲトゲした析出が付着していたり、湯船のお湯が暗い鼈甲色に笹濁っていたり、湯の花らしき浮遊物もちらほら舞っていたりと、内湯と比較すると源泉由来の特徴がまぁまぁ出ているので、お湯の質を重視したければこの小さな露天メインで入ると良いのかもしれません。
湯口からは激熱のお湯が、車湯エリアの源泉によくあるアブラ臭を放ちながらチョロチョロと注がれていますが、内湯同様に露天風呂も源泉を注ぎつつ加水循環の湯使いかと思われます。ただ加水の程度が少ないため源泉の特徴が残っているのかもしれません。

霊泉湯A
ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩温泉 98.8℃ pH8.2 溶存物質2025.6mg/kg 蒸発残留物1740mg/kg
Na+:380.5mg(73.00mval%), Ca++:67.6mg(14.87mval%),
Cl-:151.8mg(18.58mval%), SO4–:579.8mg(52.41mval%), HCO3-:406.3mg(28.92mval%),
H2SiO3:354.6mg, HBO2:36.4mg, CO2:105.5mg,
(平成28年4月22日)
加温なし
加水あり(源泉が高温のため浴槽温度が高い時に加水)
循環あり(浴槽衛生管理のため)
消毒あり(浴槽衛生管理のため塩素系薬剤を使用)

次回記事では別館のお風呂「白湯」を取り上げます。
次回に続く。

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