安比温泉 (2010年夏・東北野湯めぐり)

岩手県

安比高原の奥、八幡平の北東山腹に湧く野湯「安比温泉」に行ってきました。8月半ば、猛暑が続く毎日、この上ない快晴でしたが、いかんせん日差しが強すぎた…。

 
ローソン安比高原店の十字路から高原へ伸びるまっすぐな道を進み、道なりに走って、途中の道標を確認しながら、中のまきばにある「ブナの駅」(地図)へ立ち寄りました。管理人常駐の避難小屋です。ここにはトイレがある他、管理人のおじさんから界隈の最新情報を得ることができますので、事前に安全を確認するためにも是非立ち寄っておきたいポイントです。なおここまでは舗装道ですが、先は砂利の林道(赤川林道)です。


ブナの駅から約3kmで赤川ダム前に到着(地図)。車はここまでです。途中に分岐がありますが、左側に進みます。たしかに車で来られますが、大きな凸凹があるは抉れているはで、なかなかの悪路でした。私の車は普通の2輪駆動ですから、わずか3kmではありますが、もし凸凹に乗り上げたり嵌ったりしたらどうしようかと、冷や冷やしながらの運転で、思いのほか長く感じました。
車を降り、トレッキングの準備をして出発です。なお熊除けの鈴は必須です。また長靴を履いていくことをおすすめします。


駐車スペースを出発してすぐに赤川ダム下の川を徒渉します。早速ここで長靴が活躍。

 
対岸へ渡って、すぐの分岐を右(ダムの下流側)へ折れると、安比歩道入口(登山道のスタート)です。距離を示す小さなプレートが等間隔で立てられているので、道を見失うことも距離感に戸惑うこともありません。また随所に赤リボンも結われているので安心です。


原生林の中を歩くのですが、蚊の多さが半端じゃない。肌を露出しているところが忽ち蚊に食われていきます。慌てて虫よけを噴射しましたが、もう既にあちこち腫れちゃいました。いやぁ、参った…。

 
歩道入口から約800m、12分で茶臼岳への分岐点。道しるべに従って、安比岳方面へ進みます。ここまでは緩い登りですが、この分岐点から緩い下りに転じます。

 
分岐点から5分程歩くと、水場がありました。当日はとても暑く、下界の気温は30℃以上、山でも25℃近くありましたが、この水場の清水は何と7.3℃! 天然のウォータークーラーです。実にうまい! ゴクゴク飲んじゃいました。もちろん帰路でもこの水場のお世話になりました。助かります。

 
途中路肩が崩れかかっているところがあるので、注意して進みます。晴れていれば大したことありませんが、悪天時や雨上がり後などは要注意です。また途中の道にもくるぶしまで潜っちゃう深いぬかるみがありました。だからこそ長靴が便利。

 
川へ下りて小さな沢を渡ります。ここは石などをちょちょいと飛べば問題なし。渡ったら木の幹にペイントされている赤い矢印に従って川を遡ります。

 
この辺りは川沿いに歩くだけなので、大した勾配も無くて楽ちんです。


歩道入口からちょうど30分で、安比川の徒渉点まで来れました。ここでも長靴が大活躍。石の上を飛んでいくことも可能ですが、なかなか良い石がないんだなぁ。


対岸に渡ると川沿いの道と山を登る道とに分岐しており、安比温泉は山を登れと示す道標が立っています。国土地理院25000分の1地図によれば、川沿いの道でも到達できるようですが、ルートを見つけられなかったので、面倒ですが山を登ることにしました。

 
単に川を高巻いているだけなのですが、結構な急勾配でぬかるみも多く、今まで立っていた等間隔の距離プレートも無くなり、藪も茂ってくるようになって、ちょっと難儀しました。


道を見失わないように注意しながら歩いていると、歩道入口から43分で安比岳と安比温泉への分岐点です。ここから一気に川へ下っていきます。


最後の徒渉。ゴールは目の前。


対岸へ渡ると、すぐに視界が開け、そこに目的地の安比温泉がありました。スタートして45分強で到着です。


周囲は草がちゃんと刈られており、切り株で造られた腰かけもありました。誰かが野営したのでしょう、焚き火の跡も残っていました。たしかに目の前で風呂に入れるんですから、キャンプには好立地かも。

 
木の板で組まれた浴槽は3~4人サイズ、お湯はパイプからの投入がある他、底からもプクプク泡と共に湧きだしています。足元湧出って嬉しいですよね。底には石が敷かれており、野湯にありがちな不快な腐敗物が舞いあがりにくいので、気持ち良く湯浴みできました。
お湯は無色透明、底には明るいグレーの沈殿物が溜まっています。石膏味+甘味+弱芒硝味、弱い軟式テニスボール的ゴムの匂い+石膏の匂い、硫酸塩泉にありがちなキシキシとした浴感で、トロミがあります。とても綺麗に澄んでおり、硫酸塩泉ならではの青白い光を放っていますが、底の沈殿物が舞いあがると若干濁って見えました。
湯温は41.8℃(外気温23℃)、最高の湯加減です。湧きたてのお湯が適温だなんて、まさに天の恵みですね。ここまで来た甲斐がありました。

空はこの上ない快晴、白樺の緑に囲まれ、余計なものは何一つない素晴らしい環境です。お盆が過ぎたからか虻がほとんどいなかったため、ついつい長湯してしまい、なんだかんだで1時間近く入っていました。日頃からここを管理してくださっている有志の方に心から感謝です。

ここへ行くには、徒渉や泥濘が多いのでとにかく長靴が便利です。片道1時間以内・3キロ弱ですから、長靴でも疲れません。登山ド素人の私でも一人で楽に往復できました。素晴らしい野湯を手軽に楽しめるおすすめのポイントです。

※なお、この日は近くにあるもう一つの野湯「草の湯」にも行こうと計画していたのですが、「ブナの駅」のおじさん曰く、アプローチする道が通行止とのことで、今回は断念しました。かなりぬるいそうなので、また暑くなったら再チャレンジしたいと思います。

野湯につき分析表はないが、おそらく硫酸塩泉(石膏泉)

岩手県八幡平市安比高原 地図 ←登山道もけっこう正確にトレースされています。

野湯につき無料
熊除けの鈴は必須です

私の好み:★★★

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