前回記事の「久田旅館」を出た後はそのまま寄り道せずに帰ろうかと考えていたのですが、川渡温泉に差し掛かった時、無性に川渡の湯に浸かりたくなったので、久しぶりに当地の共同浴場へ立ち寄ってみました。拙ブログでは2009年以来、6年ぶりの再登場となりますが(以前の記事はこちら)、私個人ではその間にも何度か利用しております。こちらの温泉の素晴らしさは温泉ファンのみならず多くの方によって語り尽くされていますので、半可通な私が下手なことを申し上げて藪蛇にならないよう(半可通が露呈しないよう)、今回記事ではサクサクっと簡潔に述べてまいります。
駐車場は付近にある公民館のものを使えますので、くれぐれも路駐はしないようにお願いします。
こちらの共同浴場は無人ですので、脱衣室に括りつけられた料金箱へセルフで湯銭を納めます。湯気や湯浴み客の息吹が長年にわたって染み込んでいる総木造の湯屋からは、独特の風情が感じられます。脱衣室内にある備品といえば棚と時計ぐらいで、至って質素なのですが、扇風機がないかわりに手動扇風機こと団扇が用意されており、湯上がりにありがたく使わせていただきました。
脱衣室と浴室を仕切る壁にはガラス窓が嵌められており、双方を見通すことができるのですが、こうすることによって脱衣室の狭隘感を払拭すると同時に、防犯としての機能も期待されているのでしょう。
総木造の浴室には湯気とともに川渡温泉ならではの湯の香が漂っていました。総木造とはいえ、お湯がかかりやすい床や、床から立ち上がり1m強の壁はタイル貼りで、御影石で縁取られた浴槽もタイル張りです。水栓の類は壁に沿って水道の蛇口が2つあるばかりで、シャワーなんて贅沢なものはありません。浴槽上の壁にはルーバーが取り付けられていますが、これは硫化水素中毒を防ぐための換気口かと思われます。
浴槽は2.5m×3.5mで10人以上は入れそうな容量があり、角のRがビジュアル的に柔和な印象をもたらしています。このお風呂は浴槽にお湯を注ぐ湯口が特徴的で、パイプから吐出されたお湯は一旦木枡へ落とされ、水道で加水されてから、湯船へと流れ込んでいます。湯使いは加水した上での放流式であり加温循環消毒は行われていません。浴槽を満たしたお湯は間断なく縁の上を溢れ出ており、縁直下に刻まれた溝へ落ちて浴場外へ排出されていました。
綺麗な淡いウグイス色のお湯は底が見えないほど濁っているのですが、その濁りをもたらしているのは湯中で無数に舞う湯の花。溶き卵を細かくしたような白や黄色の湯の花がたくさん浮遊しているんですね。湯船に浸かるとツルスベの滑らかな浴感が大変気持ち良く、お湯を口に含むといかにも川渡温泉らしい焦げたような感覚やアブラ感を伴うタマゴ味とタマゴ臭が感じられました。また湯上がりには体からスッと粗熱が抜けて心身爽快になりました。硫黄泉でありながら、重曹泉的な知覚的感覚がはっきりと存在感を主張しているところが、川渡温泉を名湯たらしめている大きな特徴と言えるでしょう。
ところで、私の個人的感覚で申し訳ないのですが、川渡の共同浴場はピリッと熱くて体が赤くなるいう先入観があるんです。しかしながら、この時のお風呂はどちらかといえばぬるめであり、しかも加水も殆ど行われていませんでした。常連さんに声をかけてみましたが、異口同音に「今日はぬるいなぁ」とおっしゃっていました。温泉は自然の恵みですからコンディションは常に変化するものであり、この時はたまたまぬるめに湧出していたのでしょう。でもそのおかげでじっくり長湯でき、湯船から出ようと思っても後ろ髪を引かれて出るに出られず、かなり長湯してしまいました。硫化水素と重曹のハーモニーが絶妙な素晴らしい名湯であることを、改めて実感させていただきました。
川渡支所前源泉
含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩温泉 52.6℃ pH7.6 107.7L/min(掘削自噴) 溶存物質1128.3mg/kg 成分総計1155.8mg/kg
Na+:223.4mg(79.09mval%), Ca++:31.6mg(12.86mval%),
Cl-:31.8mg, HS-:8.5mg, S2O3–:8.5mg, SO4–:43.6mg, HCO3-:589.6mg(81.31mval%),
H2SiO3:166.4mg, H2S:2.7mg,
(平成20年12月5日)
JR陸羽東線・川渡温泉駅より徒歩16~7分
宮城県大崎市鳴子温泉字川渡 地図
鳴子温泉郷観光協会公式サイト
6:00〜22:00
200円(湯めぐりシール使用不可)
備品類なし
私の好み:★★★
コメント
Unknown
こんばんわ^^。
今回は宮城県、鳴子回りの旅でしたか。
新幹線だと、確か古川でローカル線に乗り換えですかね。
川渡温泉、美味しそうな色合いが興味をそそりますね^^b
宮城県も色々な温泉があるようですね。
と言うか、同じ温泉地でもお湯の種類が違うとか、
どう考えても不思議ですよね。嬉しいですけど。
「こんなお湯はどうですか?」との地球の好意でしょうか(笑)?
地球の優しさを感じます^^。
Unknown
ぬる湯マスターさん、こんばんは。
川渡の共同浴場を最後に訪れてからもう1年半も経っていたことに、記事の日付を見て驚きました。この浴場は何度か利用させていただいてますが、本当に大好きなお湯のひとつです。鳴子界隈は狭い範囲を東西へ移動してゆく中で、泉質が次から次に変わってゆくので、湯めぐりをしていて飽きることがありません。まさに地球の優しさですね(^^)