台湾新型特急EMU3000型の騰雲座艙 乗車レポート

台湾

(2025年5月乗車)
前回記事で取り上げた金崙温泉に宿泊した翌朝、台東駅前の営業所でレンタカーを返却し、台東駅から台湾鉄道(台鉄)の南廻線を走る特急で高雄へ向かいました。
拙ブログではいままで南廻線の名物列車である旧型客車の普通列車を二度取り上げましたが、定期列車としては運行が取り止められ、現在は観光列車化しています。その観光列車に乗ってのんびりと移動しても良かったのですが、できればその日のお昼頃には高雄へ到着していたかったので、台東から特急列車「自強号」を利用しました。
「自強号」に使用される車両には何種類かあるのですが、台湾鉄道の最新鋭特急型(※)車両であるEMU3000型には「騰雲座艙」と称された特別車両(日本で云うグリーン車に相当)が連結されているので、今回はその「騰雲座艙」に乗って高雄まで乗ってみることにしました。

(※)最新鋭と言っても、2021年末登場してから既に4年以上経っていますが、まぁその辺りは大目に見てください。

まずはチケットを予約しなきゃ。
台湾鉄道の公式サイトには日本語版がありますので、下調べや予約の際に言語の壁を気にする心配はありません。もちろん日本から予約も可能です。公式サイトから予約の画面へ移り、パスポート番号・日付・乗車区間・人数などを入力して検索を掛けると、次の画面で候補となる列車が列挙されますから、ご自身が乗りたい列車を選択し、支払い方法を入力して予約を確定させます。そして台湾へ渡航した後に、予約確定の際に表示される予約番号やQRコードを使って、駅の窓口や自動券売機で紙のチケットに引き換えれば完了です。ネット上には詳しく説明して下さっているサイトがありますので、具体的な手順についてはご自身で検索してみてください。

さて私が予約した列車は「自強372次」です。台湾鉄道の公式サイトで列車を検索した際、列車名に「自強(3000)」と表示された場合、その列車は最新型のEMU3000型で運行されており、もれなく「騰雲座艙」が連結されています。ここで「騰雲座艙」を予約する際の注意をひとつ。台湾鉄道の日本語版サイトで予約する際、普通車を予約するならば表示された画面に必要事項を入力すれば良いのですが、「騰雲座艙」を利用する場合は、画面上部に表示されているタブを「一般車両」から「ビジネス車両」に切り替えた上で、必要事項を入力する必要があります(「一般車両」のタブのままでは「騰雲座艙」を予約できません)。日本のグリーン車に相当する車両等級を台湾では「商務車」と呼んでいるため、これを日本語訳して「ビジネス車両」と表示させているのかと思われます。「騰雲座艙」は「商務車」の一種なので、「ビジネス車両」の画面で予約するわけです。
「騰雲座艙」の予約画面を進めてゆくと、車内で提供されるサービスを選択する画面が現われます。現在は改善されているかもしれせんが、私が予約した2025年4月時点ですと、このサービス選択画面は中国語表記になってしまっていたかと記憶しています。繁体字中文なので漢字を読めば大まかな意味は把握できるかと思いますが、不安な方はGoogle翻訳などを活用しながら予約を進めてください。なおここで選択するサービス内容は、お弁当とドリンクです。具体的な内容は後程ご説明します。

(画像加工済)
上画像のチケットは、予約完了時に発行されるPDF上のQRコードを台鉄の駅の券売機にかざして発券させたもので、左側が「騰雲座艙」の座席指定乗車券、右側が座席と一緒に予約した車内サービスの引換券です。
「葷便當」(弁当)とは、文字通りに解釈すればお肉やニンニク・ニラなど匂いを発する野菜などが含まれる弁当となりますが、実質的にはいろんな食材が使われているごく普通のお弁当であり、台湾の一般的な駅弁だと解釈して間違いありません。日本でも禅寺の山門には「葷酒山門に入るを許さず」と書かれていますが、この「葷」と同じ意味ですね。なお対義語は素食(ベジタリアンメニュー)になるかと思います。
一方、「(無糖)星巴克派克市場黒珈琲」は文字通り無糖の「スターバックス・パイクプレイスロースト」です。カタカナで書けば日本でもおなじみの商品だとわかりますね。

台東駅です。南国らしく空の碧さが濃いですね

駅の出発案内表示には、これから乗車すべき自強372次が既に表示されていました。
EMU3000型で運転される自強号は、ネット検索やチケット上では「自強3000」と表記されますが、駅の出発案内では「新自強」と異なって表示されるので、少々ややっこしいですね。

EMU3000型の自強372次は台東始発で、高雄廻りの台中行です。

列車は12両編成で「騰雲座艙」は6号車です。ドア付近に小さくロゴが付けられています。EMU3000型は全て山口県下松市にある日立の工場(笠戸事業所)で製造されました。私が乗ったEM3363の車内には日立のロゴと製造年(2023)が表示されています。

一般車両は日本の在来線特急と同じく2+2列の座席配列ですが、「騰雲座艙」はグリーン車と同様に1+2列です。私のチケットで指定された座席は1人掛けの座席でした。内装は暖色系を多用していた従来の台鉄とは一線を画すモノトーン基調。シートは少々硬めですがゆったりとした造りで、前の座席背面に大型のテーブルが備え付けられているほか、ひじ掛けにも回転させて出す小さなテーブルがあり、用途に応じて使い分けることできます。また各座席下部にはコンセント(AC110V)と充電用USBも完備。車内ではWifiも利用可能です。

シートポケットには車内で提供される「騰雲座艙」限定のメニューが差し込まれています。料金にはこのサービスが含まれており、ミールを5品の中から1つ、ドリンクを4品の中から1つ、それぞれ予約時に選択します。実際に私もネット予約時に選択しましたので、その内容がチケットに印字されて発券されたわけです。

このメニューに書かれている内容を翻訳しながら以下に列挙します。あくまで2025年5月時点の内容ですから、現在とは異なっているかもしれませんが、もしご利用の際は参考になさってください。

【フード】
・台湾優格餅乾学院(台湾中部の彰化にある焼き菓子をテーマにした観光工場)の「千層棒餅乾盒」(スティック状のビスケット)6本。
・微熱山丘のパイナップルケーキとアップルケーキ(各1個)
・ベルギーLotusの「比利時蓮花脆餅」(ビスコフ)16枚入
・台鉄弁当(騰雲座艙限定)(乗車前日の17:00までに要予約)
・哈根達斯(ハーゲンダッツ)のアイスクリーム(100ml)(乗車前日の17:00までに要予約)

【ドリンク】
・騰雲座艙限定の炭酸水
・EMU3000型がラベルにプリントされたミネラルウォーター
・アップルジュース(果汁100%)
・スターバックスのダブルショットエスプレッソ(甘いクリーム入り)

軽い物からしっかりしたものまで選べますね。ただ、軽いお菓子もしっかりとしたお弁当も同じ料金内で提供されるサービスなので、提供対価の設定がどのようになっているのか、ちょっと不思議です。そんな小難しいことはさておき、要予約のもの以外は車内で購入可能。車内を巡回している販売員に直接注文するほか、専用のアプリから注文することも可能です。
そういえば、上記のメニューには私が予約した無糖のスタバ・パイクプレイスローストが含まれていませんが、あれってネット予約限定のメニューだったのかしら。

列車は定刻通りに台東駅を出発しました。
台東から南下する列車は、温泉で有名な知本などを通過し、やがて紺碧の海に沿って快走します。この海の碧さは、日本を走る鉄道の車窓からでは眺められません。いかにも南国らしい景色です。

出発して30分経ったころに、予約していたお弁当とドリンクが私の座席へサーブされました。一緒に配られた紙ナプキンやウエットティッシュもEMU3000型オリジナル仕様です。お弁当はいかにも台湾の駅弁らしい内容で、豚のスペアリブ、フライ、煮卵、温野菜といったものが丼になってご飯と一緒に丸い紙の器に盛られています。このお弁当は台東の台鉄弁当工場で作られたとのこと。台鉄には6ヶ所の弁当工場があり、「騰雲座艙」で提供される弁当の基本的な内容はどの工場も似たり寄ったりですが、どうやら七堵工場製は人気があるらしいので、今度機会があれば食べてみたいものです。一方、スタバの缶コーヒーはなんと韓国産。日本人が台湾の列車で韓国産のスタバを飲むという、実に国際色豊かなひと時でした。

本を読んでいたり、車窓を眺めていたり、夢の世界をウロウロしたり・・・
ゆったりと寛げる「騰雲座艙」のおかげで、約2時間半の移動はとても快適で疲れることなく、いつの間にやら高雄に到着していました。やや硬めのクッションは、むしろ長時間座っていても腰が痛くならないような設計なのでしょうね。この新型EMU3000型の「自強号」は台鉄の西部幹線でも東部幹線でも走っていますので、皆さんも是非「騰雲座艙」を利用してみてください。

2018年に地下化された高雄駅を降りた私は、地下鉄でその日に泊まるホテルで荷物を預けた後、或る場所へ向かったのでした。

次回に続く。

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