(2025年8月訪問)
2025年8月の某日に私は山形県の月山で登山を計画しており、山形県内で宿泊して早朝から山を登るつもりだったのですが、予定していた日はあいにくの天気になってしまったため、急遽温泉や鉱泉を巡ることにしました。その日私が向かったのは、湯殿山参籠所の御神湯です。
月山・羽黒山・湯殿山で構成される出羽三山は古来より山岳信仰の地ですが、登山者やスキー客で賑わい世俗との距離が近接している月山とは対照的に、湯殿山は現在でも宗教色が強いように思われ、宗教やスピリチュアルな世界が苦手な私はいままで湯殿山へ立ち寄ることを避けていました。でも湯殿山参籠所の御神湯なら信仰の有無を問わず誰でも利用可能とのことですので、苦手意識を克服するためにも今回訪問することにしたのです。車で月山道路を走行して途中で逸れて湯殿山有料道路に入り、プレハブ小屋の料金所400円を支払って一本道を進んでゆくと、俄然大きく赤い鳥居が現われました。この大きな鳥居の下には、駐車場、レストハウスとお土産屋さん、そして本殿へ向かうシャトルバスのバス停があります。これから目指すお風呂は駐車場から見て鳥居の左斜め上にある参籠所に設けられているのですが、しかし私が到着した時は大雨沛然で、傘が全く役に立たない土砂降り。崇高な信仰の地に不躾な私が物見遊山で訪れたため、山の神様が怒ってしまったのでしょうか。仕方ないのでしばらく車の中で待機し、雨脚が若干弱くなったタイミングで目指す湯殿山参籠所へと向かいました。
こちらがその参籠所。いわゆる宿坊兼食堂みたいな施設なのでしょう。私が訪問したときには白装束を着た人が続々とそこへ入っていったので、信仰の無い私のような人間が入って失礼にならないのか不安になりましたが、玄関を入った左側のところで入浴したい旨を伝えると快く対応してくださり、初めての訪問だと伝えると、お風呂場へのルートの簡単な説明してくれました。なお入浴料金は1000円です。館内にはwifiが飛んでいて意外にも現代的。お風呂の他、食堂も信仰の有無を問わずに利用できるようです。
玄関や食堂と同じフロア(1F)の奥の方には、普通の沸かし湯の明るいお風呂場(上画像)がありますが、こちらにはお目当ての鉱泉が引かれていないため、今回は利用しておりません。
鉱泉のお風呂は廊下を進んで階段を下り、ボイラー室のようなところの脇を抜けていった先の薄暗いところにあります。
男女別更衣室及び浴室の手前にある空間には、貴重品用ロッカーと飲泉所が設けられていますが、飲泉所は現在使われていないようです。脱衣室は非常に狭く、棚しかない質素な造りです。
浴室は木造で非常に質素で、更衣室から浴室の引き戸を開けるとすぐ目の前に浴槽が据えられており、2~3人入ったらいっぱいになるような構造です。しかも洗い場となるようなスペースは本当に狭く、しかもシャワーなど無いため、体を小さくしながら桶で掛け湯をするだけになります。そもそも、このお風呂は神様のお湯であり、体を洗ってサッパリするところではないため、シャンプー、石鹸、カミソリ、髭剃り等は使用禁止という張り紙が貼ってあります。
さすが神のお湯だけあって、浴槽の上には神棚が設けられています。ここで祀られているのは、天照大御神の妹神と言われている丹生都日女神なんだそうです。普段信心とは無縁な私も、さすがにこの時ばかりは条件反射的に神棚へ手を合わせ一礼したのでした。
その神棚直下には湯口があり、加温された鉱泉がかけ流されています。源泉は本殿へ向かう途中の参道に建つ「丹生水上神社」にあるんだそうです。事前にネットで仕入れていた情報によればこの鉱泉は酸性とのことでしたが、施設内に掲示されている分析表によればpH3.8ですので、弱酸性といったところでしょうか。お湯を口に含んでみますと、たしかに酸味を確認できるのですが、さほど強くありません。また炭酸泉とのことですが、加温の影響なのか特に気泡の付着等も見られません。浴槽内のお湯には赤茶色の浮遊物や沈殿が見られましたが、泉質由来の湯の花的存在なのか、はたまた浴槽の材質である木の繊維なのか、そのあたりはよく分かりません。なんだか分からないことだらけの記述で申し訳ございません。お湯の特徴が神隠しによって分からなくなった、と私は無理やり解釈しておりますが、これも信心の無さゆえなのでしょう。何卒ご了承ください。
お湯の質はとにかく、日本に存在する温泉や鉱泉の浴場の中でも極めて特異なお風呂であることには間違いありません。神様のお湯をありがたく入浴させていただきました。
なお湯殿山には「語るなかれ」「聞くなかれ」という禁忌があり、特に湯殿山神社の本殿には撮影禁止という厳しい掟があるそうですが、この神様のお風呂は本殿ではないので画像の掲載を伴う記事化は許していただこうかと(勝手ながら)思っております。
丹生水上神社(源泉)
含二酸化炭素・鉄(Ⅱ)-カルシウム・ナトリウム-塩化物・硫酸塩冷鉱泉
19.0℃ pH3.8 蒸発残留物2149mg/kg 溶存物質1602mg/kg
Na+:234.7mg, Ca++:215.7mg, Fe++:21.5mg,
Cl-:660.8mg, SO4–:335.8mg,
H2SiO3:35.8mg, CO2:1122mg,
(平成25年11月20日)
山形県鶴岡市田麦俣字六十里山7
0235-54-6219
ホームページ(庄交トラベル内)
日帰り入浴9:00 ~ 15:00
1000円
御神湯に石鹸類・ドライヤーなし、貴重品用ロッカーあり
(1階の非鉱泉のお風呂にはシャワー・シャンプー類などあり)
私の好み:★★+0.5

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