前回取り上げた六窟温泉の近くに七窟温泉があるらしいので、ざっくりと調べた地図を片手に行ってみることにしました。
まず六窟から湖底路を南下、紗帽山西麓の坂をどんどん下っていきます。まっすぐ南へ下りていた道が途中で思いっきりグイっと曲がって北西へ向きを変え、更に下ってしばらくすると、左から陽投公路が合流する交差点に突き当りました。辺りは傾斜地を耕作した棚田が山裾に段を作っており、とても長閑な田園風景が広がっています(画像に写っている煙は単なる焚火です。湯けむりじゃありません)。この辺りに目的地があるらしいのですが、それらしきものはどこにも見当たらない…。
うろうろしていたら、上述の交差点の前方(北投側)に北側の斜面を登る一本の路地が分かれており、その分岐点に「七窟」と書かれた看板が立っているのを発見(左画像)。せっかく下ってきたのに、また坂を登らなきゃいけないのかと落胆しつつ、看板に従い路地の坂を登ります。すると左手に祠が建つ分岐が現れ、再び「七窟」の看板が。しかも看板に書かれた矢印はそこから分岐する急坂を登れと示しているではありませんか(右画像)。
自分に鞭打って這うように登坂すると、まもなく目の前に立派な門が聳え立っていました。六窟から歩いて15分程、公路の分岐から大した距離じゃないのに、急勾配のおかげでエラく歩いた気がします。
門をくぐった目の前に建つ母屋でおばちゃんに料金を支払います。するとおばちゃんは背後から下りる階段を指さしました。母屋は食堂棟のようで、お風呂は階下の半地下っぽい別棟に設けられているわけです。
七窟温泉「餐廳」と称しているからレストラン業も主要営業項目なんでしょうが、夕方だというのにお客さんは誰一人おらず、経営者ファミリーと思しき婆さんが家族と談笑していました。どうやら家族団欒を邪魔しちゃったみたい…。
そそくさと階段を下りてお風呂の方へ。パッと見た感じでは、浴室というより病院か何かの廃墟みたいな冴えない外観で、本当にお風呂があるのか疑わしくなっちゃいましたが、軒下にはちゃんとドライヤーやミラーが取り付けられているので、やっぱりここで間違いないみたいです。入り口は二つ、右側がトイレで左側が浴室。大浴場的なものはなく、全て個室風呂です。薄暗い一本の廊下に個室の入り口が並ぶ無機質な光景は、さながら古い大きな病院の女子トイレのよう。個室は15室あります。
個室内部は台湾の一般的な個室風呂同様、2人が入れる程度の狭い空間にただ浴槽が据え付けられているだけ。でもここは各室に窓があるので、他の施設よりも密閉感が少なく明るい点が嬉しいところ。浴槽を洗ってお湯を溜めます。湯口から出るお湯は48℃弱。当ブログで既に取り上げている行義路温泉・川湯や六窟温泉など紗帽山周辺の温泉は火山性の酸性硫黄泉なので、ここも同様かとばかり思っていたら、全然違う!
薄ら赤茶色を帯びて弱く濁っているのですが、いわゆる硫黄っぽい匂いや酸っぱさが殆ど無いのです。金気味+石膏的味+炭酸味+甘味が混じった複雑な味覚、うすい油臭+金気臭。分析表が見当たらなかったので断言できませんが、おそらく重炭酸系を兼ねている石膏泉ではないでしょうか。なお個室内に掲示された活字の入浴説明には手書きで「pH6.4」と記されていました。
北投や陽明山界隈は酸性泉ばかりと思っていたので、ここ七窟温泉はその先入観を見事に覆してくれました。陽明山って湧出箇所も量も豊富、泉質も多様、奥がとても深い温泉郷だったんですね。
昔は上州草津の強烈な酸性泉で湯治したら、川原湯や沢渡などの優しいお湯を上がり湯にしたそうですが、七窟温泉も同じように、紗帽山・陽明山周辺の強い酸性泉に疲れたら、ここのお湯で仕上げるのもいいかもしれません。それにしても六窟や七窟があるってことは、八窟や九窟も存在してるんでしょうかね…。
MRT北投駅からミニバス「小25」、あるいはMRT石牌駅からバス「535」で「頂北投」下車。バス通りをバスが進む方向へ10分程道なりに歩くと「七窟」の看板が立つ分岐があるので、そこから看板に従い路地の坂を登る。「頂北投」から徒歩15分。
なおMRT北投駅からバス「230」に乗り「紗帽橋」で降りると、上述の路地分岐すぐそばまで行けるみたいです。
・ミニバス小25の路線図・時刻表
・バス535の路線図・時刻表
・バス230の路線図・時刻表
(↑各リンク先において、時刻表は「發車間距」右の「固定班次」をクリック )
(いずれのバスも均一料金区間)
台北市北投区湖底路7-1 地図
02-2861-1135
七窟温泉を紹介している台湾のサイト(周辺の温泉施設も沢山掲載)
平日10:00~22:00、休日10:00~翌2:00 無休
100元
ドライヤー10元×2枚
私の好み:★★
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