小学3年生の頃、ロサンゼルスのハンコック公園にあるラ・ブレア・タールピット(ページ博物館)で自然に湧出するコールタールとそこに漂う強い油臭を体験して以来、石油臭の虜になってしまった変態な私。温泉巡りをはじめてから、油臭がする温泉の聖地として有名な新津温泉には何度か足を運んでいたのですが、ここ数年ちょっとご無沙汰してしまい、先日ふと油臭が無性に恋しくなったので、久しぶりに行ってみることにしました。
相変わらず茅屋然とした建物であることに、ちょっと安堵。ここに初めて訪れた十数年前、(画像に写っていませんが)隣のショッピングセンター(現ベルシティ新津)は長崎屋でした。
玄関左側の小窓を開けてお婆ちゃんに料金を支払います。
湯屋の傍には錆びて薄汚れた源泉井のタンクが佇んでいます。中からはボコボコとお湯の踊る音が聞こえてきます。
廊下を歩いて玄関から浴室へ。大広間の前の廊下にはポットが沢山並べてありました。湯上りにいただくお茶用でしょうね。
脱衣所も以前とほとんど変わっていません。変わったところといえば、灰皿が消えている…。
浴室のガラス戸には真新しい注意書きが貼られており、「温泉の回りにガスが出ています。絶対に禁煙でお願いします」とのこと。噂によると、東日本大震災後に灰皿が撤去されたり火気厳禁の注意書きが貼られたんだとか。地震によって可燃性ガスが多く噴出するようになったのでしょうか。
脱衣所に入った時点で鼻を突いてくる油臭は、浴室では濃厚に充満しており、お湯に入る前から既に私は興奮気味。お湯は以前とあまり変わっていないように見受けられますが、かなり久しぶりで記憶が不確かなので、以前との比較はあまりできません。
塩ビのパイプから源泉が注がれ、浴槽の切り欠けから溢れて排湯されていきます。無色透明ながら若干濁って見えるお湯は、浴槽のタイルのおかげでターコイズグリーン色に見えます。タイルの目地が黒ずんでいるのは石油の影響でしょうか。湯中では微細な灰白色の浮遊物が舞っており、これが濁って見える原因かもしれません。熱くもぬるくもないちょうど良い湯加減。トロトロとしたお湯で、重曹パワーの影響なのかツルツルスベスベ感の強い浴感。濃い食塩泉ゆえにとってもしょっぱく、湯口にコップが置いてありますが、塩辛い上に油臭が強いこんなお湯をゴグっと飲む人なんているのかしら。
油臭にまみれて暫し恍惚ひとときを過ごしていたのですが、やがてこの匂いのために頭がクラクラしはじめ、軽く頭痛や吐き気を催してきたので、後ろ髪をひかれる思いでお湯から退散。非常に良く温まるお湯ですが、それ以上に油臭が全身にこびりついて、湯上り後もなかなか消えません。特に髪の毛は臭いが取れにくい。ガソリンスタンドに寄っていないのに車の中は石油の匂いに満たされ、翌日になっても残り香が漂っていました。
かつては産油量日本一を誇った新津油田の名残であるこの温泉。いつまでも私たち油臭温泉ファンを魅了し続けてほしいものです。
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉
44.7℃ pH7.6 20L/min(掘削自噴) 溶存物質13820mg/kg 成分総計13880mg/kg
(平成21年7月27日調査・同8月21日分析終了)
JR新津駅より徒歩15分(約1200m)
新潟県新潟市秋葉区新津本町4-17-13 地図
0250-22-0842
8:00~19:00
300円
備品類無し
私の好み:★★★
コメント
新津温泉
はじめまして。いつも楽しくブログを拝見させていただいております。
10月に、長年のあこがれであった、新津温泉に初めていきました。アブラ臭というものは、いったいどんなものか 初めて体験しました。そのあと 東鳴子の高友旅館にも行きましたが、新津温泉も高友もすごい温泉だと思いました。
アブラ臭
大連新世紀農産品有限公司さん
はじめまして。いつもご覧下さりありがとうございます。アブラ臭の温泉は、好き嫌いは分かれるかと思いますが、いろんな意味でインパクトがあって面白いですね。高友は異なりますが、新潟から北海道にかけてのアブラ臭の温泉は、その多くが油田掘削で失敗した副産物として発見されたという歴史が共通しており、興味深いです。
東鳴子も高友を筆頭に個性的な温泉が揃っていて、何度行っても飽きません。
ところで大連といえば、数年前に私は市内の「湯本」、そして旅順の「老鉄山温泉」へ行ったことがあります(^^)