「湯の里」というわかりやすく微笑ましい名前が冠されたこの浴場は、雲仙温泉に3軒ほどある共同浴場の中では最も古い共同浴場らしく、温泉街からちょっと奥まったわかりにくい場所に立地している地元のためのお風呂。その立地ゆえに私は辿りつくまで迷ってしまいました。切妻の正面は玄関が男女別に分かれていて、いかにも銭湯らしい佇まいです。
建物前には5ナンバーの車が2~3台ほど停められる駐車スペースがあるので、そこへレンタカーを突っ込んでいざ中へ。100円という素敵な料金を券売機で支払い、その券を番台に座っているおばちゃんに手渡します。やはりいかにも銭湯らしい板の間の脱衣所は、外観から受ける印象を覆し意外にも広い空間。
浴室内にはちょっと深めの小判型浴槽が据えられていました。塩ビの湯口からドボドボと源泉が投入されています。弱く白濁したお湯からは、活発な火山活動の息吹を感じさせる硫黄臭と焦げたゴムのような匂い、そして口腔を収斂させる酸っぱいレモン味と塩味が感じられました。
他の温泉ファンの方のレポートを拝見していると、しばしば「ぬるかった」という記述が見られますが、運が良かったのか訪問時は絶妙な湯加減でして、思わず長湯しちゃいました。また典型的な硫酸のお湯ですが、溶けている成分がそんなに濃くないためか他の明礬・緑礬泉によくある刺激は程々に抑えられ、優しい質感が得られました。
シンプルな造りだからこそお湯の質感に真正面から向き合えるお風呂。白濁の硫黄泉に100円で入れるなんて、当地の方が本当に羨ましい限りです。
酸性・含鉄(Ⅱ・Ⅲ)・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩泉 44.0℃ pH2.3 自噴(量不明) 溶存物質1.470g/kg 成分総計1.616g/kg
長崎県雲仙市小浜町雲仙303 地図
0957-73-2576
9:00~23:00
100円
備品類なし
私の好み:★★★
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