アイスランドの夏は絶好の観光シーズンだけあって、宿泊施設はどこもかしこも高い料金設定となっており、ただでさえ物価が高い国なので予算をやりくりするのが結構大変です。そこで今回の旅行では、ファーム・ホリディ、すなわち農家民宿を利用することにより、一般的なホテルより宿泊費を少しでも安くあげ、かつ普通のホテルでは味わえないアイスランド独特の雰囲気にちょっとだけでも触れられたらいいなと考え、実際に何箇所かで利用してみました。なお国内のファーム・ホリディは各施設によって組織・運営されている“Icelandic Farm holidays”で検索および予約することができます。私もここを利用しました。
今回取り上げるのは、ロイガルヴァトン(Laugarvatn)から東へ数キロ離れた小高い丘の上に建つ牧場兼一軒宿の”Farmhotel EfstiDalur”です。ゲイシール・セルフォス・シリグヴェトリル国立公園など、アイスランドの超定番観光地を結ぶ「ゴールデンサークル」のルート上に位置しているので、立地の良さは抜群。そして温泉好きの私にとって何より重要なのが…
↑このマーク。上述の”Icelandic Farm holidays”をはじめ、観光地図や道路標識など、アイスランド国内で統一して用いられているマークなのですが、これはホットタブ、つまり温浴槽がその施設に設けられているよ、という意味でして、大抵の場合このホットタブには温泉が引湯されています。従ってファーム・ホリディの選定に当たって、私は特にこのマークの有無を重要視しました。”Farmhotel EfstiDalur”は好立地である上にホットタブも完備されているので、これはもう選ぶしかないと決め、ネット経由で予約したのでありました。
37号線道路沿いのちょっと小高い丘の上に建つこのお宿。37号線から100~200mほど砂利道を上がり、畜舎の手前を左に曲がった先に駐車場があります。レセプションのある本棟の2階にはレストラン、1階にはゲストハウス(客室)が配され、離れにはロッジ棟が建てられていました。本棟の入口前には鶏が何羽も戯れており、とっても長閑な雰囲気です。
レセプション前のウッドデッキにはお目当てのホットタブが設置されています。使用していない時はお湯が冷めないように蓋が閉じられていますが、宿泊客は蓋を開けて自由に利用することができます(確認していませんが、日帰り利用はおそらく不可でしょう)。ホットタブからは果てしない緑の大平原が一望でき、とっても爽快です。(画像には写っていませんが)草原の奥では白い湯気が上がっていましたが、これはおそらくこの界隈で生活や農作業に用いるための地熱採取所でしょう。
今回私が宛がわれたのはレセプション直下(1階)にあるダブルベッドの部屋。こんなデカいベッドを一人占めするなんて、ちょっと贅沢ですね。いかにもヨーロッパの田舎らしい、可愛らしく牧歌的な内装です。室内にはお湯が出る洗面器が設けられています。客室内では無料でWi-Fiが利用できます(レセプションでパスワードを教えてもらってください)。
なおトイレやシャワーは共用で各2室ありました。アメニティ類(シャンプーなど)やドライヤーは見当たらなかったので、各自で持参した方がよろしいかと思います。
いきなりお風呂に入ってもよいのですが、花より団子、まずは腹ごしらえから。この宿のように、街から離れた宿泊施設には大抵の場合レストランが併設されており、農家民宿の場合はその農家(畜産農家)で生産された食材をいただくことができます。この晩はマッシュルームスープ、ビーフステーキ、そしてチョコレートケーキを注文しました。食堂内はかわいらしい小物が並べられ、窓からも眺望も抜群。遠くにロイガルヴァトン湖が望めました。食器はIKEAで統一。
お腹一杯になったところで、いざホットタブへ。これも宿泊者の共用ですから、水着着用は必須です。八角形の浴槽は、4~5人サイズ(5人だと窮屈かも)、中央の底から温泉水が供給され、湯面に位置する横穴から排水されていきます。おそらく掛け流し。無色透明で明瞭なタマゴ臭が感じられます。明らかにアルカリ性のお湯でして、ヌルヌルツルツルスベスベの気持ちよい浴感です。お湯の中には白い小さな浮遊物がちらほら待っていました。
私が入ろうとした時には還暦近いと思われるデンマーク人夫婦が既に入浴して寛いでいたので、この夫婦に挨拶した上で一緒に入らせていただくことに。
私が日本人だとわかると「津波は恐ろしかったでしょう」とそのご夫婦は先日の大震災のことを心配してくださり、一方で私の片言の英語も何とか通じて、旅の四方山話をさせていただいたのですが、そのご夫婦はなんだかんだで2時間近く入浴しつづけていたかと思われます。湯温が37.6℃という不感温度帯だったので、いくらでも長湯できちゃうのです。かくいう私も同じくらい長湯してしまいました。曇天だったものの遠くまで景色が見晴らせ、しかもお湯の浴感が良いので、本当に夢心地なのです。私が写っている画像は件の夫婦が撮ってくださったのですが、時刻はなんと夜11時。高緯度&7月下旬なので、夜中でもボンヤリ明るいのです。
ここで当ブログでは初お目見えとなるpH測定器”佐藤計量器製作所SK-631PH”の登場です。実は旅行の数日前に秋葉原の総武線ガード下で購入したばかりでして、買ってから調整を兼ねて何度か使用しましたが、実践使用はこれが初めてです。さっそくホットタブのお湯を測ってみると、案の定、pH9.2というアルカリ性の数値を示しました。
なおこのお湯はシャワーや洗面台の蛇口からも出てきます。蛇口を捻れば温泉が出てくるんですから、羨ましいことこの上ありません。
翌朝は早々からしとしと雨が降り続いていたため、動物たちはみな畜舎へ戻ってしまい、敷地内は雨が地面を叩きつける音だけに支配されていましたが、そんな中で唯一客の心を和ませてくれたのが、玄関で雨宿りをしていたこのワンちゃん。とっても人懐こくておとなしく、ワンちゃんと接すると誰もが笑顔になっていました。
なお朝食は欧州標準のスタイルで、パン・ハム・チーズ・シリアルが用意されたバッフェですが、パンは焼き立てなのかとってもホカホカ、セルフで作るワッフル焼き器もあって、美味しくいただくことができました。夕食の配膳や朝食の食材補給、そしてレセプション対応など、あらゆる業務は農場の家族が担っています。家族経営ならではの温もりが嬉しい、とっても長閑な民宿でした。
Efstidalur 2, Laugarvatn 地図
+354-486-1186
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