(黒石)岩木温泉

青森県

青森県には岩木温泉と称する温泉が二つあり、ひとつは岩木山神社の境内に、もうひとつは黒石市街の外れの河岸にそれぞれ位置しています。今回取り上げるのは黒石市街にある後者の方です。前者なら岩木山の象徴的な存在の傍にあるので岩木の名前を冠しても不思議ではありませんが、黒石の方は岩木山から離れていますし、目の前に流れている川は岩木川ではなく浅瀬石川ですし(岩木川の上流には違いありませんが)、なぜ岩木を名乗っているのか、よくわかりません。見晴らしの良い川沿いにあって岩木山がよく眺望できるってことなのかしら。名前はともかく、お湯の質は良いので紹介させていただきます。

 
上述のように市街地のはずれに立地し、あたかも民家のような浴場らしくない地味な外観であるため、予め場所がわかっていないと見逃してしまいがち。たったひとつの電照看板、そして隣接しているローソンが、探し当てる目印になるかと思います。駐車場は意外と広め。

 
外観も内部もまるで昭和から時が止まっているかのような雰囲気。玄関の上がり框とその奥の薄暗い休憩スペースとの間は、薄曇りのアクリル板のようなものを嵌め込んだ引き戸で仕切られており、これが独特の鄙び感を醸し出していました。
男女別の入り口の先には脱衣所があり、それを挟むように番台が据えられています。伝統的な銭湯スタイルですね。脱衣所には棚が無いので、積んである籐の籠に服を入れたら、それを床に置きっぱなしにします。ロッカーは無いので、貴重品は番台へ。


質実剛健と言うべきか、いかにも昭和30~40年代的銭湯のような中間色タイル貼りの浴室。洗い場と浴槽の他、サウナと水風呂があって、このサウナが人気を集め、土曜夕方で常時6~8人が出たり入ったりしていました。銭湯に必須なカランは、青森県では一般的な古いタイプの押しバネ式スパウトと固定式シャワーが、浴室の左右と中央の島に計23ヶ所設けられています(うち2ヶ所はシャワー無し)。洗い場の奥に据えられた浴槽は仕切りで2分割されており、広い左側は一般的な深さ、狭い右側は3~4人サイズでちょっと深く、立ち膝でちょうどよい感じです。両者は仕切り底の穴でつながっています。

津軽平野のお湯はえてして大なり小なり塩味を帯びていることが多いのですが、こちらのお湯はこの地域には珍しく無色澄明無味無臭で全く癖が無く、スベスベや引っかかりのような特徴的な浴感があるわけでもなく、ごくごく普通のお湯なのです。しかし、見惚れるくらいに綺麗に澄みきっており、しかもオーバーフローの量がかなり多く、洗い場はちょっとした洪水状態になっていました。知覚や浴感こそ没個性かもしれませんが、新鮮で清らかなお湯が大量掛け流されており、とっても爽快な湯浴みができました。湯巡りをして津軽の個性的なお湯に飽きたら、あえてここのお湯をワンクッションに置いて感覚をリセットさせるのも良いかと思います。日常の入浴でしたら、成分の濃い温泉より、ここのような味も匂いも無い薄いお湯の方が使い勝手が良いでしょうね。主張の強い温泉が良いとは限らないことを再認識させてくれた温泉です。

黒石岩木温泉(再分析)
単純温泉 43.5℃ pH8.02 湧出量不明(動力揚湯) 溶存物質0.304g/kg 成分総計0.306g/kg
(試験日平成20年12月18日)

弘南鉄道弘南線・黒石駅より徒歩15分(約1.1km)
青森県黒石市袋井2-33-34  地図
0172-52-3658

9:00~21:30
350円
ドライヤー有料、その他の備品なし、石鹸等は販売

私の好み:★★

コメント

  1. 匿名 より:

    週末はいろんな銭湯に行ってます!!
    基本的に金曜日の夕方は様々な温泉に行ってますが岩木温泉はまだでした。こみせ通りを端から端までまっすぐ行って東奥信金の交差点を右折して黒石市役所とセブンイレブンの交差点を左折して坂を降りてローソンの交差点を右折してすぐとはわかっていても営業時間がわからなくてスルーしてました。この記事で黒石の岩木温泉についてわかったので週末でも週末以外でも時間があれば行ってみたいです…

  2. K-I より:

    Unknown
    >金曜日の夕方は様々な温泉に行ってます
    羨ましいです。そんな環境で暮らしてみたいです。
    岩木温泉は、津軽の温泉では珍しくさっぱりして癖のないお湯ですが、それだけに優しく飽きが来ないかと思いますし、黒石の市街地という便利な立地にありますので、是非ともお出かけになってみてください。

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