帯広市街 ローマの泉

北海道


帯広市街に数多くある温泉銭湯のひとつです。帯広駅の北側駅前から南11丁目の通りをまっすぐ東へ進んでゆけば到着です。交差点を曲がることもないので、方向音痴でも辿りつけるでしょうけど、氷点下二桁まで冷え込んでいる極寒の帯広の夜を、わざわざ往復3~4kmも歩いて温泉まで行く人間なんて、私以外にいるんでしょうか。我ながら自分の行為が奇行に思えてなりません。


こちらには一般的な公衆浴場と貸切の家族風呂があり、ネットを拝見しますと温泉ファンのみなさんの多くは公衆浴場を利用なさっているようですが、たとえお風呂が小さくても温泉を独り占めしたい欲求に駆られた私は、家族風呂へ向かうことにしました。
公衆浴場は「ローマノ福の湯」という名称で、由来や意味はよくわかりませんが「ノ」の表記がカタカナであるのがミソ。食堂が併設されています。

 
公衆浴場や食堂の隣には家族風呂「ローマの泉」の入口。


受付で料金を支払い、個室の番号札を受け取ります。今回あてがわれたのは8号室です。

 
廊下には個室がズラリ。狭い間隔で無機質なドアが並ぶ様は、風俗店の内部みたいですね(あくまで喩え表現でして、至って健全な施設ですよ)。空いている個室のドアは開けっ放しになっていました。

 
廊下の右側はお風呂で、左側はサウナの個室が配されているようです。各室のドアには「温泉利用許可証」がひとつずつ律儀に貼られていました。


さて、こちらが今回利用した8号室です。部屋の入り口まで土足でOKです。浴室がガラス張りなんですね。ちょっとエッチ(なんてね…)。

 
室内には、古い診察室に置かれているような長椅子がひとつ、洗面台1台、扇風機1台、インターホンが備え付けられています。同じく帯広の「たぬきの里」の貸切風呂に似たような、無味乾燥としたお部屋です。壁には食堂のメニューが貼られており、けだしインターホンで注文できるのでしょうけど、窓が無くて圧迫感のあるこの空間で食事して、はたして美味しく感じられるのかしら…。


分析表も掲示されていますが、文字が潰れちゃって判読が難しい…。


家族風呂というだけあって、浴室は本当に一般家庭のお風呂みたいです。でも家庭のお風呂はこんな模様のタイルなんて貼らないかぁ…。

 
古いタイル貼りの室内には四角い浴槽がひとつ据えられています。浴槽は一人サイズで膝を折って詰めれば二人は入れそうな大きさ。湯面には泡が浮かんでいますね。これを見るだけで胸がときめいちゃいます。
浴槽にはかつて湯口や排水口だったであろうと思われる跡が残っていますが、いずれも封栓されており、使われていません。


錆びた金属配管に直結した蛇口からはノンストップで源泉が出っ放しにされており、惜しげもなくジャブジャブとオーバーフローしています。家族風呂ってこういう無駄な贅沢な湯使いで独り占めできるのがいいんです。入浴すると、豪快な音を響かせながら、あたかも洪水が発生したかのようにドバーっと浴槽のお湯が溢れ出ていきます。
浴槽にはふつう加水するための水道蛇口が設けられているものですが、この浴槽には水の蛇口の取っ手が外されており、水で薄めることができない状態になっていました。でも源泉そのままの温度が絶妙な湯加減ですので、加水する必要は全くありませんでした。


カランはシャワー付き混合栓がひとつ。カランから出てくるお湯は源泉です。公衆浴場も家族風呂もはたまたカランまで、徹底的に源泉を使い捨てているんですから、湧出量は相当豊富なんでしょう。うらやましいです。
お湯は紅茶色透明、モールの薫りに混じって微かな金気臭や弱鉱物油臭と茹で卵臭が漂い、口に含むとほろ苦みと微金気味そして卵黄味が舌に伝わってきました。

 
湯加減は40℃くらいで、いつまでも長湯したくなる微睡みのお湯。しかもモールの温泉らしいツルツルスベスベの爽快な浴感ですから、入浴中はまさに天国、夢見心地です。湯上りもさっぱり爽快。
特筆すべきはお湯に入った途端にたちまち全身を覆う大量の気泡です。入りしなは細かな泡が肌をつつみ、長湯してゆくうちに気泡が大きくなって、気付けばいつの間にやら全身が大きな泡で覆われていました。
所定の1時間なんてあっという間に過ぎてしまい、もうすぐ時間なので出なきゃいけないとわかっているのですが、浴感の良さと程よい湯加減に、体が言うことを聞いてくれず、なかなかお湯から出ることはできませんでした。あぁ、こんなお湯に毎日入りたい…。

アルカリ性単純温泉 46.2℃ pH8.6 溶存物質0.497mg/kg 成分総計0.497mg/kg 
Na:127.4mg(94.38mval%),
Cl:48.7mg(23.10mval%), HCO3:234.2mg(64.76mval%),
H2SiO3:53.0mg, 遊離CO2:ND,
(昭和55年8月7日)

JR帯広駅より徒歩20分(1.6km)、または十勝バスの東8条線(光南福祉センター行)で柏小学校下車・徒歩1~2分
北海道帯広市東9条南12丁目4-2  地図
0155-25-5202

11:00~24:00 第2水曜定休
600円(17時以降の一人利用時は50円加算)、10分延長毎に100円追加
ドライヤーは廊下にあり、他の備品類なし(販売あり)

私の好み:★★★

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