磐梯熱海温泉の公衆浴場「錦星」を利用して参りました。夕方4時から4時間半しか開いていないため、なかなかタイミングが合わずに訪問できないままでしたが、先日ようやく都合がついて初訪問と相成りました。湯泉神社前の通り(越後街道)に面しており、駅からも近く、意外にも便利な立地なんですが、残念ながら駐車場が狭いので、外来客にとってはそこが難点でしょうか。ちなみに私は駅から歩いて来ちゃいました。
外観からして明らかに元々は宿泊業を営んでいただろうと思われる、公衆浴場らしくない上品な佇まいですね。玄関を入ると、上がり框の右手に茶の間があり、訪問時はお爺さんがテレビでデーゲームの巨人戦を観戦しながら、その茶の間の中央に置かれたちゃぶ台の前に座っており、私が入浴料金として1000円札を差し出すと爺様は懐から小銭入れを取り出して、その中から釣り銭を私に返してくれました。その様子から察するに、こちらは常連さんの利用が多くて釣り銭を多く用意する必要が無いってことなのかもしれませんね。更に推測すれば、釣り銭を切らすことも大いに考えられるわけですから、本来は事前に小銭をきっちり用意しなきゃいけないのかもしれませんね。
玄関から廊下をまっすぐ進んですぐ右側に男女別の浴室が並んでいるのですが、廊下の一角は広縁のようなちょっと休憩ができる空間となっており、さらには窓の外には石灯籠や水鉢などで飾られた坪庭が配置され、公衆浴場という語句が抱くイメージからは掛け離れた品の良さが漂っていました。これらは明らかにこの施設が宿であったことを示す名残でしょう。
脱衣室は比較的広いものの、公衆浴場らしく余計な備品類はほとんど無く、客が使える物と言ったら、くくりつけの棚に置かれている大きな籐の篭と、壁際に据え付けられている腰掛けぐらいなもんです。洗面台もありません。尤も、常連さんのための施設だからそれで充分なんですけどね。この室内も公衆浴場というよりは宿のそれといった造りといえるかもしれません。備品類があまり用意されていない一方で、なぜか懐かしい2槽式洗濯機が2台も置かれていました。
浴室の戸を開けたその瞬間、鼻孔をほんのりとしたタマゴ臭がくすぐってきたので、早くも私は心の中でガッツポーズを決めちゃいました。室内は目が覚めるような鮮やかなコバルトブルーのタイル貼りで、潰れたような扇形をした浴槽がひとつ据えられています。
洗い場はシャワー付き混合水栓が1基、そして湯&水の蛇口が1組、それぞれ設置されており、お湯のコックを開けるとぬるめの源泉が出てきました。
磐梯熱海の多くの旅館に供給されている市営源泉と異なり、こちらに引かれている源泉は湯泉神社の境内で湧出しているものであり、その質感は全く異なっています。見た目は無色透明で、室内に漂うタマゴ臭は湯口においてより明瞭に嗅ぎ取ることができ、口に含んでみるとタマゴ味とほろ苦みが感じられます。
湯船に体を沈めると肌へうっすらと気泡が付着し、その肌をさするとはっきりとしたツルツルスベスベ感が得られ、まるで天然の化粧水で満たしたお風呂に浸かっているような、非常に気持ちよい浴感に包まれました。源泉温度が低いために加温した上で湯船へ供給しているそうですが、ほどほどの加熱に抑えられているため(私の訪問時は40℃くらい)、その湯加減とお湯由来の浴感が相俟って、湯船から出ようとしても出られなくなるほど、後を引いてしまう夢心地のお湯でした。
磐梯熱海温泉保護組合泉
アルカリ性単純温泉 33.1℃ pH9.1 300L/min(動力揚湯) 溶存物質0.3009g/kg 成分総計0.3009g/kg
Na+:77.9mg(94.96mval%),
Cl-:20.3mg(15.20mval%), SO4–:65.4mg(36.27mval%), HCO3-:74.3mg(32.53mval%), CO3–:13.6mg(12.00mval%),
H2SiO3:40.6mg, H2S:0.0mg, CO2:0.0mg,
源泉が低温のため入浴に適した温度を保つため加温
磐越西線・磐梯熱海駅より徒歩3分(約300m)
福島県郡山市熱海町熱海1丁目80 地図
024-984-2159
16:00~20:30
200円
備品類無し
私の好み:★★★
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