前々回の記事で取り上げた朝日町の「りんご温泉」を出た後は、さらに湯めぐりをすべく、大江町の西部にある「奥おおえ柳川温泉」を目指しました。私がこの地域を訪れたのは厳冬期の只中でしたが、運の良いことに冷え込みが緩やかで降雪の少ない日が続いていたため、山間部の道路も雪がすっかり消えており、安心して運転できました。
玄関前に設置された岩のモニュメントでは、湯気を上げながらアツアツのお湯が落とされており…
その一角は飲泉所になっていました。ちゃんと保健所からの飲泉許可を得ているんですよ。陶器のカエルの置物に見つめられながら、柄杓でこのお湯を飲んでみますと、甘い塩味とはっきりとしたタマゴ味が口の中に広がりました。カエル君の足元では、白い湯の華がユラユラと揺れていました。
駐車場の端っこに設けられてる屋根付きの立派な足湯には、冬だというのに律儀にもお湯が張られていましたが、さすがに寒風の中で利用しようとする人はいないようで、人影は見られませんでした。この足湯が活躍するのは、きっと冬以外でしょうね。
この温泉を利用する方の多くは車でアクセスするかと思いますが、JR左沢駅から発着する大江町営の路線バスで行くこともでき、実際に上画像のバスにはお風呂から上がって帰宅すると思しきお婆ちゃんが乗り込んでいました。車体に黄色い三角のステッカーが貼られているこのバスの実態は「スクールバス」なのですが、路線バスと同じく一般客の利用も可能であり、日曜以外の毎日6往復(土曜は5往復)運転されます。
既にメディアや温泉ファンの皆さんによって伝えられていますが、この柳川温泉では3.11の震災時に湧出量が激減してしまったため、新たに源泉井を掘削したところ、その年の8月に見事新源泉を掘り当て、営業再開を果たしています。新しい源泉は「大江4号源泉」。旧源泉の泉質名は含食塩芒硝泉でしたが、新源泉では含食塩-芒硝硫化水素泉となっており、硫化水素の量が増えたようです。
受付前のホールでは餅や飲料といった農産物加工品や、パン・乾物などが所狭しとたくさん並べられていました。季節的に生鮮の農産物は難しいのでしょうけど、夏になればきっとご当地で採れた新鮮な農産物が並ぶことでしょう。ホールの奥には食堂もありますので、お風呂あがりに食事してゆっくり過ごすこともできますね。
広くて備品も一通り揃っており、使い勝手の良い脱衣室。マッサージチェアも1台用意されていました。なおロッカーは室内に無く、脱衣室に入る手前に設置されています。
安物のカメラで撮っているため、窓外で輝く白い雪と室内の照度の間でホワイトバランス調整がうまくいかず、室内が暗く写ってしまい申し訳ございません。2方向がガラス窓になっている室内には、外光がしっかりと降り注いでいるのですが、床に黒い石材を用いているためか、全体的な照度は抑え目であり、窓からの景観を確保しつつも落ち着いた雰囲気が保たれています。室内には湯気とタマゴ臭が互いに絡み合うように漂っていたほか、石膏臭や芒硝臭も弱く香っていました。
右手の壁に沿ってシャワー付きカランが6基並んでいました。なおカランから出てくるお湯は多分真湯だったはず。
窓の下に設けられた内湯の岩風呂は、15人ほど同時入浴できそうな容量を有しており、底に敷き詰められた石板は瀝青色に鈍く輝いていました。2方向の窓が交わるコーナー部には岩の湯口が立っており、絶え間なくお湯を吐出しています。湯使いは完全放流式で、加水されていないためか、湯船ではピリッとくる熱さがありました(体感で43~44℃)。
日本庭園風の露天風呂。女湯との仕切り上は屋根掛けされていますが、殆どの部分は屋根がなく、開放的な環境のもとで、美しい銀世界を眺めることができました。露天の岩風呂は20人近く入れちゃうそうな大きさがあり、底に敷かれた明るい青色を有する石材が、お湯の新鮮さをビジュアル的に際立たせているようでした。もちろんこちらも完全掛け流し。
お風呂の最奥に湯口があり、最上段で噴き上がった熱いお湯が、段々を流れ落ちてゆく過程で自然冷却されながら岩風呂へ注がれる仕組みとなっていました。この自然冷却のおかげで露天の湯船は丁度良い湯加減(42℃前後)が保たれています。お湯の流路の岩表面はライトグレーに染まっており、顔を近づけて観察してみますと、カルシウムと思しき小さな鱗状の模様が形成されていました。
お湯は無色透明で、湯中では白く小さな湯の華がチラホラ浮遊しています。焦げたようなタマゴ臭と弱石膏臭・弱芒硝臭が香り、甘塩味とタマゴ味が感じられました。なおタマゴ感に関しては、玄関前の飲泉所で明瞭に感じられました。内湯・露天ともに完全掛け流しのお湯はフレッシュ感が良く、食塩泉らしいツルスベ浴感と品の良いタマゴ感が、温泉気分を高揚させてくれます。個人的には、湯船に入って腰を下ろし、鼻が湯面に近づいた刹那、湯面からプンと香ってくる焦げたようなタマゴ臭に、思わずニンマリしてしまいました。「温泉に入っているんだ」と実感させてくれる、嬉しい瞬間です。
よく温まるお湯ですので、露天の湯船から上がってもちっとも寒くなく、むしろ外気によってクールダウンしてゆく感覚がとても気持ち良かったので、湯船に何度も入ったり出たりを繰り返しながら、のんびりゆっくりと柳川温泉の湯浴みを楽しませていただきました。
入浴中、頻りに腹の虫がグゥグゥ鳴き続けていたので、お風呂上がりに、敷地内の別棟にある「柳川そば」を訪って「板そば(中)」を注文しました。田舎らしいちょっと太めの手打ち蕎麦。添え物として出された小皿のキクラゲも美味かったなぁ。
大江4号源泉
含硫黄-ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉(硫化水素型) 56.7℃ pH8.2 蒸発残留物2740mg/kg 溶存物質2758mg/kg
Na+:746.0mg, Ca++:148.6mg,
Cl-:634.2mg, Br-:2.7mg, HS-:4.6mg, SO4–:1087mg, HCO3-:69.5mg,
H2SiO3:44.2mg, H2S-:1.3mg,
(平成23年9月24日)
加温加水循環消毒なし
JR左沢線・左沢駅より大江町営バスの柳川温泉行で終点下車すぐ(町営バスはスクールバスですが一般者の利用も可能・日曜運休)
山形県西村山郡大江町大字柳川1502-3
0237-64-2151
ホームページ
3月~10月→6:00~21:00, 11月~2月→6:30~21:00 第1火曜定休(祝日の場合は営業)
300円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★+0.5
コメント
Unknown
柳川温泉は良くなりましたよね
昔の源泉も良かったけど、更にグレードアップ
した感じがあります
いい香りのお湯でねぇ~
あっこのお蕎麦も頂かれたのですね
正直、お蕎麦は味が落ちた感じがしました
中華そばも今一で(^_^;)
作ってる人が変わったのかな?
若い兄ちゃんが作ってたから
ま、とは言っても宮城のお蕎麦なんかよりは
はるかに美味しいんですけどね(^o^)
Unknown
柳川温泉は良くなりましたよね
昔の源泉も良かったけど、更にグレードアップ
した感じがあります
いい香りのお湯でねぇ~
あっこのお蕎麦も頂かれたのですね
正直、お蕎麦は味が落ちた感じがしました
中華そばも今一で(^_^;)
作ってる人が変わったのかな?
若い兄ちゃんが作ってたから
ま、とは言っても宮城のお蕎麦なんかよりは
はるかに美味しいんですけどね(^o^)
Unknown
柳川温泉は良くなりましたよね
昔の源泉も良かったけど、更にグレードアップ
した感じがあります
いい香りのお湯でねぇ~
あっこのお蕎麦も頂かれたのですね
正直、お蕎麦は味が落ちた感じがしました
中華そばも今一で(^_^;)
作ってる人が変わったのかな?
若い兄ちゃんが作ってたから
ま、とは言っても宮城のお蕎麦なんかよりは
はるかに美味しいんですけどね(^o^)
Unknown
Danさん、こんばんは。
温泉情緒を高揚させてくれる、とっても良い湯の香でした。他の温泉地とちょっと離れていますから、「行くぞ」という強い意志が無いとなかなか行きにくいのですが、また機会を見つけて再訪したいと思っています。
>お蕎麦
記事中では敢えて表現を避けたのですが(笑)、味に関しては同意見です。というか、以前の味を存じ上げないので比較はできないのですが、口にしたときに込み上げてくるはずのパッションが弱くて、あらら、という感じでした。山形県は美味しいお蕎麦屋さんが多いので、どうしても求めるレベルが高くなってしまいますね。
Unknown
Danさん、こんばんは。
温泉情緒を高揚させてくれる、とっても良い湯の香でした。他の温泉地とちょっと離れていますから、「行くぞ」という強い意志が無いとなかなか行きにくいのですが、また機会を見つけて再訪したいと思っています。
>お蕎麦
記事中では敢えて表現を避けたのですが(笑)、味に関しては同意見です。というか、以前の味を存じ上げないので比較はできないのですが、口にしたときに込み上げてくるはずのパッションが弱くて、あらら、という感じでした。山形県は美味しいお蕎麦屋さんが多いので、どうしても求めるレベルが高くなってしまいますね。
Unknown
Danさん、こんばんは。
温泉情緒を高揚させてくれる、とっても良い湯の香でした。他の温泉地とちょっと離れていますから、「行くぞ」という強い意志が無いとなかなか行きにくいのですが、また機会を見つけて再訪したいと思っています。
>お蕎麦
記事中では敢えて表現を避けたのですが(笑)、味に関しては同意見です。というか、以前の味を存じ上げないので比較はできないのですが、口にしたときに込み上げてくるはずのパッションが弱くて、あらら、という感じでした。山形県は美味しいお蕎麦屋さんが多いので、どうしても求めるレベルが高くなってしまいますね。