川内高城温泉 川内岩風呂

鹿児島県

 
川内高城温泉で営業している湯治宿はそれぞれが内湯を有しており、入浴のみの利用も受け付けていますが、どの宿のお風呂もコンパクトであるため、大きな風呂でのびのび寛ぎたいという方にはちょっと不向きかもしれません。そんな当地にあって、随一の大きさを有する日帰り入浴専門の施設が「川内岩風呂」です。前回記事で取り上げた「竹屋旅館」の向かいには「竹屋旅館別館」があり、更にその奥に「川内岩風呂」が位置しているのですが、そんな立地からもわかるように、この施設は「竹屋旅館」で管理運営しています。

 
別館にある専用窓口で湯銭を支払ってから、湯屋へと向かいます。湯屋の屋根からは白い湯気がもうもうと上がっていました。竹屋の本館に先立ち、この岩風呂も2013年にリニューアルされ、本館と同じような色合いの、周囲の環境に馴染むシックな外観に生まれ変わりました。

 
現代的和風の出入口を入ると、下足場には木彫りの仏様が祀られていました。

 
脱衣室は綺麗で広々しており、施錠できる棚も多く用意されていますので、大勢で利用しても大丈夫。腰掛けやシーリングファンなど、入浴後の体を休めるための設備もしっかり用意されていました。

 
まるで体育館のように広くて天井も高い浴室。リニューアルしたのは外観のみならず、内部も全面的に手が加えられており、屋根には新品の建材が用いられ、それを支持する梁や斜交いなどの鋼材も綺麗に塗装されていました。一方で、浴槽など入浴に関する部分は以前のままの姿を残しているらしく、岩風呂と称しているように男女両浴室を仕切る塀には岩が荒々しく積み重ねられており、その岩の下に古いタイル張りの浴槽が二つ設けられています。この仕切り塀の一番奥には、娘がお婆さんを労わりながら連れ沿う像が立てられているのですが、つまり昔はこのようにして湯治をしていたということなのでしょうか。

 
壁に沿って配置されている洗い場には、シャワー付きカランが4基と、お湯と水がペアになっているカランが2組取り付けられており、前者と後者の間には、水色のタイル張りで半円形の水風呂が据えられていました。

 
上述の全景画像で見えた2つのタイル張り浴槽のほか、浴室に入ってすぐ右手のちょっと下がったところには、上画像のような3~4人サイズの檜風呂があり、浅い造りで40℃くらいのぬるい設定となっていました。寝湯のような感覚でゆっくり浸かるために設けられているのでしょうか。


檜風呂の上には旅館主作と記された自作と思しき民謡の詞が掲示されており、この詞によれば檜風呂の木材は台湾檜なんだとか。歌詞が書かれたこのプレートにも、お婆さん(お母さん)を連れる娘の姿のイラストが描かれていますね。

 
2つの浴槽は歪なヒョウタンみたいな形をしており、くびれた部分に仕切りがあって両浴槽を隔てていますが、この仕切りにはスリーブがあけられており、小さな浴槽から大きな浴槽へお湯が流れて、大きな槽から洗い場へお湯が溢れるような造りになっているのでした。

  
左(上)画像は大きな手前側の浴槽で、10人以上は同時に入れそうな容量があり、湯加減は万人受けする41~2℃に維持されています。一方、右(下)画像は奥の小さな浴槽で、おおよそ4~5人サイズ。後述する湯口から直接お湯が注がれているため、43℃くらいのやや熱い湯加減になっていました。
時間帯や気候、そしてお客さんの利用状況など、諸々の要因によって湯加減は容易く上下してしまうらしく、こちらのお風呂の場合は、開店時間である6時の一時間半前から、その日の天気等を推測しながら湯加減の調整をはじめるんだそうです。しかも、このお風呂は加水できない構造であるため、投入量の多寡はもちろんのこと、窓の開閉、熱交換器の使用など、いろんな手段を用いながら湯加減調整に苦心なさっているんだそうです。

  
岩の上を這ってきた緑色の配管からお湯が二手に分かれて吐出されており、一方はその配管から直接、もう一方は竹の筒を通りながらシャコ貝の貝殻へと落とされていました。前回記事にて、川内高城温泉では一部を除くほとんどの宿及び施設で、2つの源泉を集めて一旦ストックしてから各施設へ分配しているとご紹介しましたが、この施設はご覧のように大きなお風呂を擁しているため、この2源泉から供給されるお湯だけでは賄いきれず、もう一つの源泉を加えた3源泉混合のお湯が使われています。お湯は無色透明でふんわりとしたタマゴ臭が香り、マイルドながらも焦げ渋のタマゴ味が感じられます。イオウ感は若干おとなしいかもしれませんが、ツルスベの滑らかな浴感が大変気持ち良く、大きなお風呂で存分に羽を伸ばすことができました。
私は夜8時頃と朝6時過ぎの計2回利用したのですが、夜は7~8人、朝は2~3人の利用客がおり、人気の高さが窺えました。地元の方から愛され続け、そして地元の方を癒し続ける、素敵なお風呂でした。

川内3・16・19号
単純硫黄温泉 46.9℃ pH9.0 溶存物質325.7mg/kg 成分総計325.9mg/kg
Na+:71.4mg(95.69mval%),
Cl-:10.8mg, HS-:2.1mg, S2O3–:3.7mg, SO4–:22.6mg(13.70mval%), HCO3-:95.2mg(45.48mval%), CO3–:27.0mg(26.24mval%),
H2SiO3:88.4mg, CO2:0.2mg,
(平成21年4月10日)

JR川内駅もしくは西方駅より薩摩川内市の北部循環バス(南国交通が運行)「湯田西方循環線」で「竹屋前」下車、徒歩1分
鹿児島県薩摩川内市湯田町6489  地図
0996-28-0865

6:00~21:00
350円
ドライヤー(有料20円/3分)・ロッカーあり、他備品類なし(お風呂道具販売あり)

私の好み:★★+0.5

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