引き続き北海道後志エリアの温泉を巡ります。前回記事のニセコ湯本温泉からニセコ連峰をぐるっとまわって、山の裏側の日本海側へとやってまいりました。まずは岩内町の「ホテルグリーンパークいわない」から伺うことにしましょう。こちらのホテルは岩内の街を見下ろす丘の上(円山地区)に立地しており、館内に擁するかけながしの温泉浴場では、積極的に日帰り入浴を受け入れています。
フロントで料金を直接支払い、ロビーの奥へと続く通路を進んで浴場へと向かいます。
廊下の途中には下足場があるのですが、上がり框と視認できるような段差が低いため、不注意な人は下足のまま進んでしまうかもしれません。そんな廊下をどんどん進んでステップを上がった先にかかる暖簾をくぐって脱衣室へ。インストルメンタルのBGMが流れる脱衣室は、きれいにメンテナンスされており、使い勝手良好です。
海側に大きな窓が広がっている浴室はとても明るく、広々していて開放的です。厳冬期に訪れたため室内には湯気が立ち籠めていましたが、湯気とともに湯の香も充満しており、その匂いを嗅ぐと一気にお湯への期待が膨らみました。窓と反対側には洗い場が配置されており、シャワー付きカランが計14基と立って使うシャワー1基が並んでいます。
窓下の眺めが良い場所に浴槽が設けられており、温度によって2つに分かれています。手前側の小さな浴槽は3.5m四方サイズで、熱め(44℃前後)にセッティングされたお湯が張られていました。
一方、奥の大きな浴槽はqの字を横にしたような形状をしており、一番長い辺で7.5m×3.5m。こちらは万人受けする41〜2℃の湯加減となっています。
両浴槽を隔てる仕切りの上に温泉の投入口が設置されており、双方に向かってお湯がドバドバとふんだんに供給されていました。そして湯船のお湯は窓下の溝へと溢水していました。オーバーフローの多くはその溝へと流れ落ちるのですが、多少は洗い場にも溢れ出るため、床のタイルは温泉成分の付着によって茶色く染まっています。
露天風呂からは丘の麓に広がる岩内の街、積丹の山稜、そして日本海が一望でき、またお風呂の周りにも玉砂利を敷くなど日本庭園風の装飾が施されているので、和の雰囲気を感じながら、素晴らしい景色を眺めて湯浴みすることができました。露天浴槽の上には屋根が掛かっているので、多少の雨や雪なら凌げそうです。
石積みの湯口からは配管が湯船の下へと伸びており、お湯が槽内投入されていました。そして浴槽縁からしっかりと溢れ出ていました。湯加減はちょっと熱めの43℃前後でしたが、海から冷たい風が吹くので、このくらい熱い方が良いのかもしれません。
お湯はオリーブの実を思わせるウグイス色を帯びた黄土色に強く濁っています。溶存物質28.45g/kgのナトリウム-塩化物強塩温泉という点からも明らかなように、お湯を口に含んでみると非常に塩辛く、苦汁味や弱金気味、そして土類感が感じられます。また、鼻腔をツーンと刺激するようなハロゲン系の匂い、臭素臭、磯の香り、そして弱金気臭が嗅ぎとれます。館内表示によれば各浴槽とも放流式の湯使いであるものの、加水および塩素系薬剤の投入が行われていますが、多少の加水でも揺るがないほど塩辛さは強烈であり、また消毒臭に関しても気になりませんでした(いや、温泉が持つ匂いが強いため、消毒臭なんてかき消されちゃっていたのかも)。内湯も露天も投入量が多いためにお湯の鮮度感が良く、特に露天は眺めが大変素晴らしいため、気持ち良くていつまでも湯浴みしていたくなるような気分になりました・・・。が、塩辛い温泉ということは、力強く火照るわけで、たとえ寒風吹きすさぶ厳冬の日本海に面した露天風呂であっても、数分浸かるだけで徐々に逆上せ始め、やがて我慢できなくなって湯船から這い出ることになります。その温浴パワーは力強いという表現を超えて凶暴の域に達しており、氷点下にもかかわらず湯上がりにはしばらく汗が引きませんでした。入浴中に他のお客さんの入浴行動を観察していると、皆さん湯船には烏の行水で、むしろ湯船から上がった後にシャワーで丹念に温泉のお湯を漱ぎ落としていました。それゆえ、お客さんの回転が早く、私のように長く居続けている方はいませんでした。常連の方はここのお湯の特徴をよくご存知なのですね。
日本海側では、男鹿半島・新潟県下越地方・富山県氷見周辺などでも、似たようなタイプのお湯が点在していますが、この岩内の温泉もこれらと同じ系統だと考えて良いのかもしれません。お湯に癒されるというよりも格闘すると表現した方が良いかもしれませんが、そんな体験ができるのも本物の温泉だからこそ。眺めは素晴らしいですし、お湯も個性的ですので、訪れる価値は十分にあるかと思います。今回記事は紹介できませんが、この露天からは夜景が綺麗なんだそうですから、泊まるのも良いですね。
いわない温泉8号井
ナトリウム-塩化物強塩温泉 58.8℃ pH6.7 410L/min(動力揚湯) 溶存物質28.45g/kg 成分総計28.52g/kg
Na+:8482mg(76.09mval%), NH4+:8.6mg, Mg++:820.7mg(13.93mval%), Ca++:705.0mg(7.26mval%), Fe++:8.5mg,
Cl-:16000mg(92.96mval%), SO4–:1399mg(6.00mval%), HCO3-:278.7mg(0.94mval%), I-:1.5mg, Br-:34.0mg,
H2SiO3:197.8mg, HBO2:25.6mg, CO2:73.5mg,
(平成21年10月9日)
加水あり(源泉温度が高いため)
消毒あり(衛生管理のため塩素系薬剤を投入)
加温循環なし
北海道岩内郡岩内町宇野束500 地図
0135-62-8841
ホームページ
日帰り入浴8:00〜20:00
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★+0.5
コメント
Unknown
こんばんわ^^。
いよいよ冬の到来を予感させる寒波がやってきましたね。
これまた非常に魅力的な温泉が紹介されておりますが、
最初の44度の浴槽とは、私的には苦行です(苦笑)
是非、ぬる湯マスター用の、39度の浴槽が欲しいですね^^b
ここからの展望で、積丹の山稜・・・で思い出しました。
学生時代、「ここはシャコタンの車が多いのか?」などと、
アホ丸出しの妄想をしていたのを・・・反省しています。
Unknown
こんばんわ^^。
いよいよ冬の到来を予感させる寒波がやってきましたね。
これまた非常に魅力的な温泉が紹介されておりますが、
最初の44度の浴槽とは、私的には苦行です(苦笑)
是非、ぬる湯マスター用の、39度の浴槽が欲しいですね^^b
ここからの展望で、積丹の山稜・・・で思い出しました。
学生時代、「ここはシャコタンの車が多いのか?」などと、
アホ丸出しの妄想をしていたのを・・・反省しています。
Unknown
ぬる湯マスターさん、こんにちは。
たしかに50数年振りの雪が降りましたが、都内はちっとも積もらず、あまり騒ぐことができなかったマスコミはさぞ肩を落としていることでしょう(笑)。でも丘陵部の田舎にある我が家周辺はしっかり積もっているようです(汗)。
そういえば、北海道ってぬるいお湯が少ないかもしれませんね。気候が厳しいだけに、源泉温度が低ければしっかり加温するでしょうし。積丹半島の温泉は塩気と金気が強いタイプが多く、ただでさえ熱いのに、そんな泉質の特徴が加味されて、余計に火照ってしまいます。この記事は昨冬の訪問でしたが、湯上がり後はダウンコートなんて着ていられないほど、体がホコホコし続けました。
Unknown
ぬる湯マスターさん、こんにちは。
たしかに50数年振りの雪が降りましたが、都内はちっとも積もらず、あまり騒ぐことができなかったマスコミはさぞ肩を落としていることでしょう(笑)。でも丘陵部の田舎にある我が家周辺はしっかり積もっているようです(汗)。
そういえば、北海道ってぬるいお湯が少ないかもしれませんね。気候が厳しいだけに、源泉温度が低ければしっかり加温するでしょうし。積丹半島の温泉は塩気と金気が強いタイプが多く、ただでさえ熱いのに、そんな泉質の特徴が加味されて、余計に火照ってしまいます。この記事は昨冬の訪問でしたが、湯上がり後はダウンコートなんて着ていられないほど、体がホコホコし続けました。