中山平温泉の人気宿「琢琇」では日帰り入浴も受け入れているので、昨年(2016年)秋の某日、実際に日帰り利用で訪れてみることにしました。
なお、お宿の周りには宿泊者用の駐車場があるのですが、車で来る日帰り客はそこではなく、ちょっと上がった植物園前の広い駐車場を利用することになります。
女性受けしそうな民芸調の綺麗な館内。スリッパがたくさん並んでいる玄関の右手にフロントがあるので、そこで料金を支払います。
館内には複数のお風呂があるのですが、このうち男女別の露天風呂「鶴亀の湯」は清掃のため利用ができず、また展望特別風呂は宿泊客専用なのか、こちらも利用できなかったため、今回は2階「石橋の湯」と「長生の湯」の2浴室に関して、レポートさせていただきます。
●石橋の湯
フロントがある1階の廊下を進んでエレベータか階段で2階へ上がり、宿泊者用の食事処を通り過ぎた先の突き当たりに、「芍薬の湯」と「石橋の湯」という2つの浴室が並んでいます。この両浴室は男女入替制なのかはたまた暖簾替えが無いのかわかりませんが、私が訪れたときには「芍薬の湯」に女湯の、「石橋の湯」に男湯の暖簾がかかっていましたので、当然ながら私は後者の方へ入りました。
さすが人気のお宿だけあって脱衣室は綺麗で掃除が行き届いています。棚にはアルミの板鍵が付いており、鍵の番号の代わりに干支が用いられていました。
お風呂は内湯のみですが、後述する浴槽など石材を多用することにより、落ち着いて且つ品のある雰囲気が醸し出されています。また、窓からは山の景色が眺められ、遠くまで見通せる抜けの良い景色であるため、屋内でありながら、非日常的な開放感が得られます。室内の洗い場にはシャワー付きカランが5基並んでおり、カランから出てくるお湯は真湯です。
窓の下に据えられた浴槽は、キャパとしては4~5人サイズ。大きな岩を刳り抜いたようなスタイルをしており、その厚い縁はやわらかな曲線を描いています。また湯船に入ると窓外の山々を一望することができます。優しさと落ち着き、そして重厚さを兼ね備えたような趣きのあるお風呂です。そんな浴槽に対して、壁から突き出た樋から源泉そのままのお湯が注がれているのですが、熱いお湯を加水することなく湯加減調整させるためか、投入量をかなり絞っており、お湯の鮮度はちょっと心細いかもしれません。またその影響なのか、後述する「長生の湯」よりも若干ヌルヌル感がパワーダウンしているように感じられました。お湯は無色透明なのですが、浴槽の岩の影響なのか僅かに黄色を帯びているように見えます。
とはいえ、長い廊下を歩いてここまでやってくる日帰り入浴客は少ないのか、この時は始終独占でき、他人様を気にせず気ままにのんびり湯浴みを楽しめました。
●長生の湯
さて1階のフロント付近へと戻ります。続いて入るのは「長生の湯」です。こちらは内湯が男女別で、露天は混浴です。男女の入り口はそれぞれ離れており、一見するとそれぞれが別々のお風呂のようにも見えます。
奥に長い脱衣室を抜けて内湯の浴室へ。立派な脱衣室に対して、内湯は拍子抜けするほど小さく、シャワーは2つ、浴槽もコンパクトなものがひとつあるばかりです。
浴槽は3~4人サイズ。縁は石材、内部はタイル貼りです。「石橋の湯」と同じく湯口から注がれる温泉は激熱であるため、投入量が絞られているのですが、その影響でお湯の鮮度が落ちており、本来は無色透明と思われるお湯の色も若干黄色くなっているように見えました。
内湯から混浴露天風呂へは直接行けます。周囲の山々を借景にした日本庭園風の誂えで、訪問時は紅葉も赤く染まっており、実に素晴らしい佇まいだったのですが、ちょっと開放的であり、男女間に目立った仕切りもないため、女性の方は入りにくいかもしれません。
お湯はホースから注がれていました。内湯同様に熱いお湯ですので、ホース周りの湯船は熱いのですが、さすがに外気の影響を受けるためか、この露天ではそこそこの投入量が確保されており、それでいて湯船全体では入浴に適した温度まで落ち着いていました。
露天のお湯は何らの色付きが無いクリアな無色透明で、タマゴ臭と苦味が感じられ、湯船に入るとウナギ湯の名に相応しいニュルニュルとした大変滑らかな浴感に包まれました。まるでローションの中に浸かっているようなその浴感に感動し、湯中では思わず何度も自分の肌を擦ってしまいました。またどのお風呂も比較的熱い湯加減なのですが、湯上がりには粗熱が素早く抜けてくれるので、爽快なサッパリ感が楽しめます。大変熱いお湯を加水することなく供給しなければならないため、その方法にはご苦労なさっているものと察しますが、おそらく清掃や源泉投入、気候、客の多寡など様々な要因によっても変わってくるのでしょうから、やはり宿泊して時間を変えながら何度も入浴しないと、本当の良さはわからないのかもしれませんね。次回は泊って、今回入れなかったお風呂を含め、改めてゆっくり過ごしてみたいものです。
新1号源泉・新2号源泉混合泉
含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩温泉 67.9℃ pH9.3 蒸気泉(掘削自噴) 溶存物質1107.9mg/kg 成分総計1108.5mg/kg
Na+:256.9mg(95.31mval%),
Cl-:63.8mg(14.01mval%), HS-:15.7mg, S2O3–:4.4mg, SO4–:147.8mg(23.97mval%), HCO3-:198.8mg(25.37mval%), CO3–:106.8mg(27.70mval%),
H2SiO3:273.4mg, H2S-:0.6mg,
(平成20年10月10日)
加水加温循環消毒なし
今回取り上げていない「鶴亀の湯」では「白須5号」という源泉が使われていますが、利用していないため、詳細は不明です。
JR陸羽東線・中山平温泉駅より徒歩20分弱(約1.5km)
宮城県大崎市鳴子温泉星沼20-9 地図
0229-87-2216
ホームページ
日帰り入浴10:30~20:00(14:00~15:00は清掃のため休み。また土日祝は15時以降を休む場合あり)
800円
シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★+0.5
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