西那須温泉 大鷹の湯

栃木県

 
今回から連続して栃木県塩原方面の温泉を取り上げます。今回は東北道西那須野塩原インターから程近い温泉旅館である西那須温泉「大鷹の湯」です(※)。今年(2018年)春の某日に日帰り入浴で伺いました。県道に面して建つデカい構えの門を潜って敷地の中に入り、私道をしばらく進むと、右手に大きな提灯が下げられた玄関が目に入ってきます。敷地内にはいくつもの建物が並んでいますが、どうやらこちらが本館のようです。
(※)温泉名について、施設案内などでは「西那須温泉」と表記されていますが、温泉分析書では「西那須野温泉」と「野」の字が入っており、どちらを正とすべきか判断に迷いますが、ここでは施設側の案内に従い前者で統一します(ただし、記事後半の分析書抄出箇所のみ、分析書記載の通りに転記します)。


大きな門から玄関へ至る私道の右側には、塩原電車開拓1号なる物体を発見。何かと思って後日調べてみたら、かつて塩原の地には軽便鉄道が走っていたらしく、どうやら当時のトロッコを模して、重機かなにかの車体を改造して20 ~30年ほど前に作られたようです。

さて、左右に吊られた大きな提灯の玄関から館内に入り、すぐ左手にある帳場で湯銭を支払います。そして玄関右側の日帰り入浴専用下足箱に靴を収め、勝手口のような出入口から隣接する別棟へと移動します。


別棟との間には、宿泊者専用「鷹見の湯」へ向かう入り口を発見。高見と鷹見をかけているのかな? 今回は日帰り入浴ですので、残念ながら利用していません。

 
浴室へ向かう廊下にはお水のサービスがありました。いや、単なる水ではなく「御神水」なんだとか。
なお脱衣所は決して広くないものの、比較的綺麗で使いやすい環境が整えられていました。室内にはエアコンも設置されていますから、暑さ寒さで着替えるときに苦労することも無さそうです。後述する内湯と露天風呂を行き来するには、一旦この脱衣室を通らなければならないため、その動線上にはマットが敷かれていました。

 
私が訪れた日はまだ冬のような寒い日でしたので、浴室内は湯気で曇っており、それゆえ見づらい画像になってしまいました。ごめんなさい。横に長い窓の下に縦長の大きな浴槽が据えられており、室内ながら明るくて広々とした入浴環境が生み出されています。

 
浴槽の向かいには洗い場が配置され、シャワー付きカラン6基が一列に並んでいます。シャワーから出るお湯は温泉でした。湯量豊富なんですね。

 
 
木組みの湯口から温泉が滔々と注がれ、湯尻の切り欠けを中心に縁などからも惜しげもなくふんだんにオーバーフローしています。浴槽の縁には緑色凝灰岩の石材が採用され、色合いとともに優しい感触をもたらしていました。
湯加減は41℃前後。実に入りやすく体にやさしい温度であり、肩まで浸かった私は、つい微睡んでしまいました。

 
一旦脱衣室を経由して露天風呂へ。建物と裏山の間に挟まれているためあまり開放的ではなく、景色もいまひとつですが、隣に錦鯉が泳ぐ池を設えたり岩や庭木をうまく配置したりと、日本庭園風に設えることにより、温泉宿らしい落ち着きのある風情が演出されていました。
岩の湯口から落とされるお湯は内湯と同じものです。湯加減を維持するためか、私の訪問日は内湯よりも投入量が多く、それゆえ外気に負けることなく、しっかりと42℃近い湯温が保たれていました。
露天は全体をモルタルで固められた岩風呂で、底面にオーバーフロー管の穴が開いていますから、浴槽の上よりお湯が溢れてることはありません。もっとも、モルタルの仕切りを挟んだ向こう側の池では錦鯉が悠然と泳いでいますから、お湯が池へジャバジャバ落ちてしまうち、鯉が湯浴みするはめになってしまうのかもしれませんね。なおこの露天風呂は3人サイズというコンパクトなものですから、混雑時には様子を窺いつつ空いたタイミングを見計らって入りましょう。

お湯は山吹色を思わせる褐色を帯びた透明で、湯中ではチラホラとこげ茶色の湯の花が浮遊しています。お湯からはミシン油のような鉱物油臭が漂い、少々の清涼感を伴うほろ苦さが感じられます。重曹とメタケイ酸が多いため、湯船に入ると全身がツルツルスベスベの大変滑らかな浴感に包まれ、まるでローションの中に浸かっているかのような感覚に抱かれます。いわゆる美人の湯と言われるタイプのお湯ですね。なお湯中での泡付きは確認できませんでした。内湯・露天ともに完全掛け流しの湯使いを実現しているところが素晴らしい。上述のように、内湯は41℃前後、露天は42℃前後でしたが、露天の場合は湯量を多くすることで湯加減を維持しているため、私の感覚では露天風呂のお湯の方が、よりフレッシュに感じられました。
西那須野塩原インター界隈には、こちらの他に千本松牧場内の「千本松温泉」や山麓の高原地帯にある「あかつきの湯」などがありますが、いずれもこの「大鷹の湯」と同じように重曹が多く含まれ鉱物油系の芳香を放つ淡い褐色のツルスベ湯ですから、この一帯には同じような系統の湯脈や地下水盆があるのかもしれませんね。
くだらぬ屁理屈はともかく、このお湯の浴感はお世辞抜きで極上。しかも重曹のお蔭で湯上がりはサッパリ爽快。湯船から出ようと思っても、後ろ髪を引かれて出られなくなってしまうほど、気持ちの良い夢心地のお湯でした。

 
ちなみに別棟にはお風呂付きのお部屋があるんだとか。またそれとは別に貸切風呂も用意されているんだそうです。ともかく湯量が豊富なので、いろんなお風呂が作れちゃうんですね。

 
駐車場の奥にある小屋は豊富な湯量を汲み上げる源泉施設。中からポンプの音が響いており、余剰分と思しきお湯が塩ビのパイプから小屋外の黄色いタンクへ注がれています。このタンクを覗いてみると、中に溜められた温泉から実に芳しい香りが放たれていました。個人的には、この汲み上げたばかりのお湯にも入ってみたいなぁ。

西那須野温泉 大鷹の湯
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 59.1℃ pH8.4 300L/min(動力揚湯) 溶存物質1.131g/kg 成分総計1.132g/kg
Na+:323.3mg(97.93mval%),
F-:12.7mg, Cl-:284.6mg(56.13mval%), HS-:0.3mg, SO4–:62.3mg, HCO3-:231.4mg(26.52mval%), CO3–:15.1mg,  
H2SiO3:156.1mg, HBO2:36.2mg,
(平成24年9月28日)
加水加温循環消毒なし

栃木県那須塩原市井口548-350
0287-36-6802
ホームページ

日帰り入浴 昼10:00~14:00(受付13:00まで)、夜18:00~21:00(受付20:00)、夜の日帰りは多客時などお休み。週末連休もお休み。
700円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★

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