塩原元湯温泉 ゑびすや

栃木県

 

塩原元湯には3つの個性的なお宿がそれぞれ独自源泉を有しており、それぞれが温泉ファンから高い評価を得ていますが、先日久しぶりに「ゑびすや」へ伺うことにしました。拙ブログでは初登場ですが、私個人としては約10年ぶりです。今回は日帰り入浴での利用です。塩原最古とされる「梶原の湯」源泉を所有するこちらのお宿や温泉については、既に多くの温泉愛好家によって語りつくされているので、いまさら私が感想などを申し上げたところで、その全てが蛇足になってしまうでしょう。このため今回の記事では、簡潔にご紹介させていただきますので、詳しいことにお知りになりたければ、お手数ですが検索して他のサイトをご覧ください。

 
帳場で湯銭を納め、帳場左手の裏側に伸びる廊下を進んで浴室へ向かいます。その途中には大正時代の売薬免許状が掲示されていました。こちらの「梶原の湯」は胃腸の湯として有名ですが、当時は温泉のお湯で薬を作っていたんですね。

 
廊下の突き当たりにある共用洗面台の左手に階段があるので、これで下のフロアへ。なおドライヤーはこの共用洗面台に備え付けられています。硫化水素が多い温泉ですから、お風呂と近い場所に電化製品を置くと、すぐダメになってしまうのでしょう。

 
階段を下りきると紺と紅の暖簾がお出迎え。その奥には新設された飲泉場があり、胃腸に効くとされる「梶原の湯」を飲泉できます。実際に口にしてみたところ、口腔の粘膜が痺れるような苦味とイオウ味、そして鼻孔をツンと刺激する硫化水素の匂いがはっきりと感じられました。胃腸に良いとのことですが、この苦味から推測するに、胃酸過多の方に向いているのかもしれません。

 
暖簾を潜って更衣室に入り、硫化により真っ黒に変色した洗面台の水栓を見てイオウの強さを視覚的に実感しながら、ドアを開けて浴室へお邪魔します。こちらのお宿には女性専用のお風呂、そして男女混浴のお風呂があり、男性は否応なく混浴のお風呂を利用することになります。昔ながらの湯治場風情が色濃く残る木造の浴室。訪問時は湯気が篭っていたため、見にくい画像で恐縮です。室内には源泉が異なる2つの浴槽、そして洗い場が設けられています。

 
 
2つある浴槽のうち、壁際に位置する台形を逆さにしたような形状の浴槽には、塩原唯一の間欠泉とされる「八幡の湯」源泉が注がれています。お湯は樋から投入されているのですが、その樋が突き出ている穴の隙間から奥の屋外を覗くと、樋の根元にコンクリの枡が設けられていて、その上でお湯が勢いよく迸っていました。正確に言うと、5~6分毎に枡のお湯が迸り、その数秒後に間欠泉が噴き上がります。そして上がったお湯が樋を伝って浴槽へ流れ落ちるわけです。湯加減は43℃前後とやや熱め。翠色を少々帯びた灰白色に濁り、飲泉所で口にした「梶原の湯」のように、口を痺れさせる苦味や硫化水素の強い風味が感じられるのですが、総じて「梶原の湯」よりもマイルドであるような気がします。

一方、中央に据えられたの4~5人サイズの四角い浴槽は、お宿ご自慢の「梶原の湯」。浴槽縁に設けられた木枡の湯口よりお湯が注がれています。グレーを帯びつつ綺麗に白濁したお湯からは、刺激を伴う強いイオウの湯の香が漂い、その匂いは湯気とともに室内に充満していました。分析書によれば湧出温度は40.8℃であり、浴槽では37~8℃という長湯仕様のぬる湯となっているため、こちらの湯船に浸かる方は、皆さん悉く瞑目しながら長湯し、じっくり静かに塩原の古湯と対峙していました。もちろん私もそんな人間の一人です。

久しぶりに再訪しましたが、やはり塩原元湯の個性的なお湯は最高であると改めて実感しました。いずれ宿泊して、もっとじっくりゆっくり湯浴みしたいと思っております。

梶原の湯
含硫黄-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉(硫化水素型) 40.8℃ pH6.5 17.4L/min(動力揚湯) 溶存物質3.221g/kg 成分総計3.878g/kg 
Na+:735.5mg(74.31mval%), Ca++:155.0mg(17.97mval%), Mg++:26.9mg(5.13mval%),
Cl-:910.2mg(49.12mval%), HS-:21.2mg, SO4–:71.1mg, HCO3-:1490.1mg(46.73mval%), Br-:1.8mg,
H2SiO3:138.0mg, HBO2:136.8mg, CO2:314.0mg, H2S:30.1mg,
(平成28年2月22日)

弘法の湯
含硫黄-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉(硫化水素型) 52.8℃ pH6.9 14.6L/min(掘削自噴) 溶存物質3.221g/kg 成分総計3.878g/kg 
Na+:964.1mg(78.69mval%), Ca++:155.0mg(14.51mval%), Mg++:25.6mg(3.96mval%),
Cl-:706.3mg(47.02mval%), HS-:11.0mg, SO4–:75.4mg, HCO3-:1250.4mg(48.37mval%), Br-:1.5mg,
H2SiO3:112.7mg, HBO2:102.9mg, CO2:620.5mg, H2S:37.0mg,
(平成28年2月22日)

栃木県那須塩原市湯本塩原153
0287-32-3221
ホームページ

日帰り入浴10:00~14:30(受付14:00まで)、木曜定休
500円
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5

コメント

  1. ぬる湯マスター より:

    Unknown
    こんにちわ^^。
    今夜は台風、警戒が必要でありますね(汗)
    良い雰囲気、そして定番のぬる湯使用、素晴らしい!
    硫化水素型の温泉である万座も同様ですが、
    こちらの宿もテレビを頻繁に買い替えているかもですね。
    本当にすぐダメになると宿の方に聞きました。
    入りに行く我々としては、宿の方々に感謝。
    私もこの冬は東北、北関東も良いですね^^b
    湯あたり覚悟で湯船に居座りたいものです。

  2. K-I より:

    Unknown
    ぬる湯マスターさん、こんばんは。
    現在23:40、台風接近中ですが、そんな時なら空いているだろうと高を括って、先ほどまで近所のスーパー銭湯にいました。ところが、同じようなことを考える人が多いらしく、普段と変わらない混雑ぶりにちょっとビックリしてしまいました。私のような無警戒な人間には、いずれ天罰が下るのでしょう(苦笑)。

    >テレビを頻繁に
    おそらくそうかと思います。硫黄が強い温泉はドライヤーを脱衣室に置きませんが、ドライヤーに限らず、テレビや照明、エアコンなど、いろんな電化製品がすぐにダメになってしまいますよね。電化製品や電気設備の老朽化により、蔵王温泉では火事も発生していますから、単に使えなくなるだけではなく、宿の安全性にもつながってくる大きな問題なんですね。ぬる湯マスターさんと同じく、私も温泉旅館を経営する方に心から感謝です。

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