礁渓温泉 礁溪春風日式泡湯

 
前回に引き続き、台湾の礁渓温泉を取り上げます。
温泉街の中心部から湯圍渓という小さな川に沿う形で、忠孝路1巷という路地が山に向かって伸びていますが、この道の両側には複数の日帰り入浴専門施設が営業しており、昼夜を問わず利用客の車が狭い路地をひっきりなしに往来しています。上2枚の画像は、この路地沿いの施設の外観を写したものです。その多くは個室風呂を専業としているらしく、お風呂の窓からは湯浴みするファミリーの声が路地へ漏れ聞こえていました。


さて、今回はその中から「春風日式泡湯」という施設を選んでみました。日式とは「日本式の・・・」という意味であり、看板に「大衆池」と表示されていることから、日本のように公衆相手の大きなお風呂に裸で入れるんだろうと推測して、沿道に数ある施設の中からこちらを選んだのでした。


駐車場の奥へ進むと、片田舎の農作物集荷場の事務室を思い起こさせるような、かなり殺風景な受付窓口に行き当たりました。この窓口にいる女性に利用したいお風呂の種類、つまりを個室風呂か大衆浴場(大衆池)か伝え、料金を支払います。窓口には「民国107年(2018年)1月6日から、安全上の理由により個室風呂の一人利用を全面的に禁止します」と注意喚起されていたため、一人旅の私は個室利用という選択肢が採れず、有無を言わさず大衆池利用となりました。


受付を抜けると、緩やかな登り傾斜に沿って個室風呂がズラリ。無機質とはいえ、これだけ個室風呂が並ぶと圧巻ですね。


ちなみに、これが個室風呂のひとつ。四方を塀で囲まれた閉塞感の強い空間に浴槽がひとつあるという、台湾の個室風呂でよくあるシンプルなレイアウトです。なおこちらでは全ての個室の大きさを2人用(利用人数追加可能)で統一しているようです。


坂を上がりきった突き当たりが男湯大衆風呂の入口です。
ドアを開けるといきなり更衣スペースとなり、すぐ目の前に後述する大きな浴槽がお湯を湛えていました。全体に屋根が掛けられているのですが、側面は目隠しの塀が立っているだけで、塀の上から風が入り込んでくる半露天のような構造です。しかも鋼材感丸出しで温泉風情はありません。こうした構造や雰囲気もまた台湾の温泉ではおなじみです。
なお更衣スペースにロッカーはありません。先述の殺風景な受付に隣接して、ドライヤールームが設けられていましたから、ロッカーも受付の周辺にあるのかもしれません。


大衆池へ入って右手に洗い場があります。石鹸類の備え付けは無いので持参しましょう。なお水栓から出てくるお湯は温泉です。


浴槽は人研ぎ石のような素材で設えられており、お風呂というよりプールと称したくなるほどの大きさを有しています。その大きな浴槽は、大部分を占める適温の主浴槽のほか、奥に水風呂と熱い浴槽があり、特に熱い浴槽はあまりに熱すぎて、脛を数秒入るのが精いっぱいでした。おそらく源泉のお湯をそのまま投入しているのでしょう。なお適温浴槽はその熱い槽から流れてくるお湯を受けています。

お湯の特徴としては無色透明で、前回記事の「阿先湯泉養生會館」と同じく重曹味や土気のような風味が感じられたほか、湯中ではツルスベ浴感としっとり感の両感覚が体を包んでくれたのですが、お湯の鮮度が若干良いのか透明度が高く、濁りや色付きのようなものは見られませんでした。いや、味や匂いも弱かったので、単純に溶けている成分が薄いのかもしれません。いずれにせよ、お湯の状態が良かったことは確かであり、浴槽のお湯は切り欠けからしっかりと溢れ出ていたほか、シャワーのお湯からは温泉の知覚的特徴がしっかり現れていました。

個室風呂は2人で200元(40分)ですが、大衆風呂は80元で利用でき時間制限も設けられていませんから、リーズナブルにゆっくりと入浴したい方には向いていますね。しかも民間の入浴施設で100元未満はかなり廉価だと思います(以前拙ブログで取り上げた春和日式大浴池の70元に次ぐ安さです)。風情はさておき、とにかく安く温泉に入りたい、という方におすすめです。

碳酸氫鹽泉(日本語では重曹泉)


礁渓バスターミナルから徒歩15分(約1km)
台鉄礁渓駅から徒歩12分(約800m)
宜蘭縣礁溪鄉忠孝路1巷2-2號
入浴80元
ドライヤーあり

私の好み:★★

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