※残念ながら2014年3月を以て閉館しました。
川渡温泉の中心に位置する温泉旅館。きっと昭和40年代頃はおしゃれだったんだろうなと思わせる外観。日帰り入浴をお願いすると、女将さんが出迎えて快く受け入れてくださいました。
熊の湯と称されるお風呂は貸切風呂が2室あって、そのうち1室を1人で独占させていただくことに。ドアに「入浴中」(裏は「あき」)の札を提げます。浴室手前の洗面台の水栓は黒く変色していました。硫黄で硫化しちゃったのかしら。
貸切って使うお風呂なので、浴室も浴槽も小さいものです。カランは無く、ケロリン桶が2つあるだけ。浴槽は単に小さくしているのではなく、これにはちゃんとした温泉哲学とも言うべき宿側の姿勢を反映したもので、要するに源泉を掛け流しで加温加水せずにそのまま浴用に供するには、源泉温度や湧出量から考えるとこれ位がちょうど良いという判断なのであります。女将さん曰く、もし熱ければ1分程水で薄めてください、それ以上薄めるとお湯が薄くなっちゃいます、とのこと。変な虚飾で誤魔化さず、シンプルな設備で温泉のありのままの姿をお客さんに感じ取ってほしいという、このお宿の姿勢は立派だと思います。
お湯はバスクリンを溶かしたような鮮やかな鶯色で弱く濁っています。透明度は60cmほどでしょうか。お湯の中で対流が発生し、たくさんの湯の花がゆらゆら動いています。硫黄臭と焦げたような臭いにアブラ臭、硫黄味+苦味+重曹味+甘味。重曹のおかげでツルツルスベスベ感が強く、とっても気持ちよい浴感。小さな綿状の黄色を帯びた白色の湯の華が無数に舞い、たまに灰色の塊も混じっています。
湯船に体を沈めると一気に浴槽からお湯が溢れ出し、排水が追いつかずに洗い場が洪水状態になるほどです。無論人が入らない時でもオーバーフローしており、洗い場のオーバーフロー流路は黄色く染まっていました。湯上りは重曹のクレンジング効果でさっぱり爽快、ホコホコ湯冷めもしません。
退出する際も、わざわざ女将が見送ってくださいました。たかが数百円の一人客なのにご丁寧な対応を受け、恐縮してしまいます。素晴らしいお湯にあたたかな接客、ありがとうございました。
川渡は基本的に鶯色で硫黄感の強いお湯が多いのですが、一見すると皆同じかと思いきや、いざ湯浴みするとそれぞれ個性が際立ち、けっして一様でないことがよくわかるので、湯巡りするには本当に楽しいところです。
川渡支所前源泉
含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩泉 52.6℃ pH7.6 107.7L/min(掘削自噴) 溶存物質1128.3mg/kg 成分総計1155.8mg/kg
JR陸羽東線・川渡温泉駅より徒歩20分(1.8km)
宮城県大崎市鳴子温泉川渡117 地図
0229-84-7207
川渡温泉旅館組合ホームページ
※2014年3月を以て閉館。
10:00~20:00
500円
ボディーソープあり(他の備品はなし)
鳴子湯めぐりチケット適用外
私の好み:★★★
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