みくりが池温泉 (日本高所温泉めぐり・その1)

富山県

煙と○○、あるいは猿と○○は高いところが好き、と言いますが、私はその○○の典型なので、先々月(2010年7月)ですが、高所にある温泉を何ヶ所か巡ってきました。まずは日本最高所の温泉である「みくりがいけ温泉」です。今回は宿泊利用しました。

立山黒部アルペンルートの室堂駅で降ります。当日はガッツリとトレッキングするつもりでしたが、朝から雨風が強く、濃い霧がかかっていたので、弥陀ヶ原と室堂周辺をそれぞれ約1時間ずつ周遊しただけでそそくさと宿泊先である「みくりが池温泉」へと向かいました。

 
画像左:室堂ターミナルを出た目の前にある「立山玉殿の湧水」。キリリと冷えておいしい水。喉を潤して宿へ歩きます。
画像右:案内表示に従って歩道を進みます。随所に立て札があるので、この日のような濃霧でも迷うことはないはず。

 
石畳なので、雨天のこの日は若干滑りやすかったのですが、普通の状態でしたら歩きやすいでしょう。みくりが池温泉までは数百メートルの道程。階段の上り下りこそあるものの、大したことはありません。ただ大きな荷物やスーツケース的なものはちょっと厳しいかも(無理じゃないが、場所に全然そぐわない。特にキャスターでコロコロ転がすような荷物は、道が石畳なので転がらずにつらい)。

 
短い道中ながら道端には高山植物の花が咲いていて、目を楽しませてくれます。画像左は珍しいクロユリです。

 
階段を下ってみくりが池の池畔に出て、そこから再び階段をちょっと上がったら、みくりが池温泉に到着。画像では伝えられませんが、この時は台風のような猛烈な風が吹いていたので、避難する感じで宿へ逃げ込みました。悪天ゆえ外を歩く人の姿はほとんど見当たりません。池は半分近くがまだ雪に覆われていました。7月半ばだというのに思いっきり残雪があるなんて…。

 
画像左:私のような一人旅の客は相部屋です。一般的に山小屋で相部屋といったら、畳敷きの部屋に雑魚寝するものですが、ここでは2段ベッドが用意されていました。定員8名の部屋でしたが、この日この部屋は私を含め3人。自家発電ではなくちゃんと配電を受けているので消灯時間がないものいいところ。枕元にはコンセントまでありました。なお、ネット(じゃらん)では残数僅かと表示されていましたが、実際には結構残り数があったようです。ネットで満室になっていたら直接問い合わせてみるのがいいかも。
画像右:浴室への入口。「雲上の温泉」と染め抜かれた暖簾がいいですね。まさに雲上です。

 
これが日本最高地の温泉です。内湯のみです(相当冷え込むロケーションなので露天を設けるのは厳しいかも)。近くの地獄谷から引湯しているそうです。山小屋らしくなく普通の旅館みたいな綺麗なお風呂でびっくりしました。シャワー付きカランは3つあり、シャンプー類もちゃんと用意されています。
浴槽は7~8人サイズ(大)と4~5人サイズ(小)に分かれており、はじめに入った時は小がかなりぬるかったのですが、翌朝入ったら逆に小が熱めで大が丁度良い湯加減でした。循環・加温・消毒はもちろんのこと、加水も一切なしの完全掛け流し。大きい浴槽の湯加減が絶妙でいつまでも入っていたくなるお湯でした。
無色透明のお湯ながら無数の白い湯の花がコロイド状に舞うので白濁してみえます。誰も入らない時間が続くと湯の花が沈澱して無色透明のお湯になるのですが、誰かが入ってお湯に動きがあると沢山の湯の花が攪拌されて薄く白濁して見えるわけです。
お湯の中では肌に気泡がびっしり付着します。しかも白い湯の花も付着するので、気泡と湯の花のダブル付着が楽しめる実に面白いお湯です。弱酸性でそれほど強くありませんが鼻をツンと突く硫化水素の臭いが漂い(硫化水素ガスの滞留を防止するためか、浴槽の湯面近くには4つほど通気孔が開いていました)、口腔内を収斂させる酸味があります。
ここのお湯は熱い噴気に水を当てて人工的に温泉をつくる、いわゆる造成泉なので、火山性の酸性硫黄泉と違って、肌への当たりや味・匂いなどが全体的にマイルドですが、それでも他の造成泉(箱根の大涌谷や福島の野地など)に比べれば硫黄感が強く出ていると思います。あまりに心地がよかったので、1泊した間に3回も入っちゃいました。


夕御飯です。標高2400mにいるとは思えない立派な献立。通常メニューの他、ゲンゲ(深海魚)のから揚げと白エビの刺身も追加注文しました。山の上で深海魚を食うなんて、なんだか不思議ですが、とても美味くてビールが進む! この他に郷土料理のつぼ汁(水で戻した乾燥コゴメに根菜類を入れてだし汁で味付けしたもの。津軽の「けの汁」みたい)もいただきました。
食後は喫茶室でスライドショー(任意参加)。この晩は当地で見られる星空について解説がありました。晴れていれば実際に星空を見ながら説明してくれるんだそうですが、生憎外は嵐だったのでスライドショーのみでした。でもおかげさまで充実した夜になり、しっかり時間も潰れ、満足して就寝できました。

 
翌朝、地獄谷へ下りようとしたのですが、途中の下り坂に雪がたっぷり残っており、アイゼンを持ってこなかった私は思いっきり滑落する恐れがあったので、地獄谷周回を断念。トレッキングシューズのままで歩ける山崎カールや雷鳥荘付近まで行って戻ってきました。目下に広がる地獄谷からは硫黄の匂いが風に乗ってプンプン漂ってきます。あぁ、悔しい!あそこに行きたい! 登山素人の私は、まさか夏の7月になっても雪で道が閉ざされることがあるなんて予想していませんでした(白馬岳など万年雪なら知っていますが…)。
次回訪問時には好天に恵まれることを期待します。

単純硫黄泉(硫化水素型)
54.3℃ pH3.1 80L/min(地獄谷(カジヤ地獄東)から引湯350m・噴気造成) 成分総計276mg/kg

富山県中新川郡立山町室堂平 地図
076-465-4595
ホームページ
楽天トラベルじゃらんnetなどから宿泊予約可能

9:00~16:00 
600円
シャンプー・ボディーソープ・コインロッカーあり

私の好み:★★★

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