台湾風に旧字体(繁体字)で表記すると「舊金山總督溫泉」。
金山の中心地から民生路を海に向かって東進し、海岸を臨みながら坂を下りきり、員潭渓という小川が海へ注ぐ辺りにある三叉路の左手に建つ古風な洋館チックの施設です。随所に看板が立っているので迷うことはないでしょう。この建物は戦前に台湾総督府の余った建材を使って建てられたもので、当時は台湾総督も訪れたことがあるそうですが、戦後はしばらく放置されていたものの、近年になり整備され、温泉入浴施設として復活したんだそうです。名前に「旧総督」という語句が含まれているのはそこに由来しているみたいです。
きらきら水面が輝くプールを横目に玄関へ入り、受付で料金300元を払うと、レンタルタオル大小1枚ずつが渡されました。受付の小姐がとっても可愛かったなぁ。建物は4階建てで、1階には日本時代のままの貸切風呂(1時間1000元!! 高ぇ…)、屋外には先述のプールと混浴露天風呂(いずれも水着着用)、2~3階は個室風呂やマッサージルーム、4階は男女別露天風呂となっています。このうち4階の露天風呂は、台湾本島唯一の海が臨める露天風呂で、日式、つまり日本と同様にすっぽんぽんで入浴するスタイルなので、迷わず4階へ直行しました。古い建物なのでエレベーターはなく、階段で上がります。4階というより、屋上に屋根を後付けしたような感じでした。
料金がちょっとお高めだけあって、全体的に余裕があってかなり綺麗。脱衣所は半分露天っぽい造りですが、とてもよく手入れされています。「男湯」なんて暖簾がかかっているところが日本を意識してますね。脱衣所とは別にパウダールームも用意され、アメニティ充実。
洗い場にはシャワーが4台、シャンプー・ボディソープ備え付けあり。サウナも設置されていました。
さて肝心のお湯は結構強めの酸性酸性泉です。前回取りあげた金泉浴池から歩いて10分くらいしか離れていないのに、全然違う泉質なんですね。黄色透明で、若干酸っぱい匂いだがほぼ無臭、濃いクエン酸のような収斂する酸味と塩味が混じり合い、酸性のためか口に含むと歯がキシキシします。浴感もキシキシしていました。なおお湯の色は数年前までは赤茶色だったそうなので、泉質が変わっちゃったのかもしれません。湯口では55℃ある熱い湯も、露天の表面積が広いためか、湯船では38℃まで下がり、おかげで暑い台湾でもじっくり長湯ができました。湯口付近は赤黒く変色しており、かつてお湯が赤茶色だった頃の名残かもしれません。
本当唯一の海洋展望が売りだけあって、露天風呂は見晴らし良好です。台湾の田舎の長閑な海岸線が一望できます。でもこれは男湯だけで、山側に位置する女湯はあまり眺めがよろしくないようです。また男湯は展望が良いのですが、逆に直下の道路からも丸見えですので、露天の縁で直立することはちょっと憚られました(下半身が見えちゃうので)。もうひとつ難を言えば、途切れることなくスピーカーから流れ続けるBGMが余計でした(もっとも、これは文化の違いなので、仕方がないことですけど)。
露天風呂前に掲示されている、この温泉についての説明プレート。意訳すると「本島唯一の海が望める露天風呂で、大屯山脈で湧く温泉ならではの硫黄的特徴の他、海水由来の塩分が混じっており、美肌効果、消炎殺菌、筋骨強化、新陳代謝促進などの効能があるので、日本統治時代から愛用されてきた温泉である。当館では合法的に自家源泉から直接引湯しており、循環はしていないので、安心して湯浴みを楽しんでね」といったところでしょうか。漢字なので、日本人でもなんとなく読めちゃいますね。
お風呂のエキスパートたる日本人からすれば、どうしても細かいところが気になってしまいますが、でも台湾の温泉の中では衛生面や使い勝手といった面でレベルが高く、お湯もしっかりかけ流しているので、金山温泉郷で最もとっつきやすい、万人受けしそうな温泉施設だと思います。
金山バス停から徒歩15分前後
台北県金山郷豊漁村民生路196 地図
02-24082628
ホームページ (BGMが流れるので注意)
露天風呂:300元(貸しタオル付)
9:00~24:00(レストランは11:00~22:00)
コインロッカーは10元硬貨2枚必要
シャンプー&ボディーソープ、ドライヤーあり
私の好み:★★
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