猪苗代の市街地から国道459号線を北上すると、磐梯山の東麓、五色沼の手前辺りの沿道に、裏磐梯川上温泉の宿がポツンポツンと点在しており、どこも日帰り入浴営業をしている旨の看板を出してお客さんを勧誘していますが、あとちょっとでリゾートホテルが待っている五色沼エリアに到達できてしまうためか、この裏磐梯川上温泉に立ち寄るお客さんはそう多くはないらしく、宿自体もバラバラに立地しているために、なかなかの寂しさと鄙び具合を醸し出しています。
私は川上温泉で過去に2軒ほどの宿で立ち寄り入浴をしていますが、うち1軒はあまり紹介したくないお風呂でしたので、残る1軒である「いちろう荘」についてお話させていただきます。その紹介したくない宿のお風呂は思いっきり循環している上、浴室のタイルに苔が生えていてかなり不愉快だったのですが、「いちろう荘」の前を通りかかると「源泉かけ流し」「温泉いつでも入れます」という看板が立っていたので、川上温泉で掛け流しに入れるなら是非立ち寄っておきたいと、その看板に誘われて入浴をお願いしました。その建物は、看板が無ければ明らかに民家。玄関に「ゆ」と染められた暖簾が掛かっているし、上述の看板も立っているから多分大丈夫だろうと思って声をかけたら、宿のご夫婦はちょうど夕食時で、テレビで野球中継を観戦している最中。
恐縮しながら入浴を乞うと、奥さんが箸を置いてわざわざお風呂まで案内してくださいました。
男女別の浴室は内湯のみの至ってシンプルな構造。タイル貼りの浴槽は2~3人サイズで、湯口付近は岩のオブジェになっており、昭和の民宿によくあるような造り。湯口からは加温されたお湯がチョロチョロと浴槽へ注がれています。加温されていますが、浴槽に吸込口は無く、看板に書いてあった通り、湯使いはしっかり放流式のようです。
お湯は無色澄明。湯口に置かれたコップで飲んでみると、微かな塩味と石膏的な甘み、そして芒硝の味と匂いが感じられます。弱いスベスベに芒硝泉的な引っ掛かりが混在する浴感で、トロミのあるお湯です。一見すると何ら特徴の無さそうに思われますが、加温の具合がちょうど良い上にお湯自体が持つ泉質のためか、意外にしっかりとした質感が得られ、また肌への当たりが優しく、とっても心地良いのです。群馬県の水上界隈や四万を彷彿とさせる、いかにも硫酸塩泉って感じのお湯で、私はかなり気に入りました。
訪問時は先客がおらず、鮮度感溢れるお湯をひたすら独占できましたが、投入量が少ないのでもし一度に何人かのお客さんが利用しちゃったら、お湯が一気に鈍ってしまいそうな心配は拭えません。でも、いかんせん源泉の湧出量が限られているので、ある程度は仕方ないでしょうね。立ち寄り入浴の際には、お客さんが少なそうな時間帯を狙うと吉だと思います。
湯沼源泉2号
ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉 33.8℃ pH6.0 24L/min(自然湧出) 溶存物質1520mg/kg 成分総計1635mg/kg
福島県耶麻郡猪苗代町字山神原7082-213 地図
0241-32-2913
立ち寄り入浴時間:不明
(沿道の看板には「いつでもはいれます」と書かれていますが、常識の範囲内かと思います)
500円
シャンプー類あり、他の備品類なし
私の好み:★★★
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