登山初心者の登山記 2011年初秋 白馬岳 その1「前夜(栂池ヒュッテ)」

長野県

前回記事では白馬鑓温泉を取り上げましたが、当地を訪れるにあたり、単純に麓と温泉を往復するのは芸が無さすぎる、せっかくなら白馬岳の山頂へ登攀してみよう、と考えました。白馬岳への登山ルートにはいくつかあり、たとえば…

(1)猿倉→白馬尻→大雪渓→白馬岳(大雪渓ルート)
(2)猿倉→白馬鑓温泉→白馬鑓ヶ岳→白馬岳
(3)栂池→白馬大池→小蓮華岳→白馬岳
(4)蓮華温泉→白馬大池→以下(3)と同一
(5)欅平→祖母谷温泉→白馬岳
(6)唐松岳方面→不帰キレット→白馬鑓ヶ岳→白馬岳

などが挙げられますが、私のような経験が浅く体力や技術のない素人にとって、(5)と(6)はまず対象外。次に(4)を検討しますが、蓮華温泉までは自家用車でのアクセスが必要になり(路線バスは運行日が限定されている)、しかも駐車したところまで戻らなきゃいけないので縦走には不適当。(1)は最もポピュラーですが、雪渓を登るのは面倒だし、標高差が約1600mもあるので疲れそう。(2)も同様に標高差が1600m以上あり、しかも距離もあるので健脚向き。となると、消去法的に(3)が残りました。(3)の栂池から出発するルートはゴンドラやロープウェイといった文明の利器を利用することによって思いっきり高さを稼げ、標高差1000m強で白馬岳山頂へと到達できるのです。軟弱者の私は、登りにこの(3)を選択し、下山ルートとして(2)を逆走することにより、最も楽に白馬三山を縦走し、かつ鑓温泉にも入ることができました。

今回はまず登攀の前夜、栂池ヒュッテまでのアクセスなどについて書き綴ってみます。白馬岳前後の山を縦走し、スタートとゴールが異なる地点となるため、自分の車ではなく列車とバスを利用しました。


JR大糸線・南小谷駅で列車を降ります。

 
南小谷駅から小谷村営バスで栂池高原へ。所要約20分で、運賃は500円。乗客は私一人だけでした。

 
温泉浴場「栂の湯」の脇からゴンドラ乗り場へ。途中には軽食のカウンターや足湯が設けられていました。周辺施設は最近改修されたらしく、どこもかしこも新しくて綺麗です。


登山届を記入して投函します。用紙は現地に用意されていますが、白馬村のウェブサイトからPDFで入手することもできます。

 
まずはゴンドラ「イブ」で栂の森駅へ。


一気に標高差744mを稼ぎます。しかも所要時間わずか20分。文明って素晴らしいですね。坂口安吾の『堕落論』には、人間は楽をし手抜きをしようとするからこそ、そこにイノベーションが生まれる、だから堕落することは決して悪いことじゃない、という旨が書かれていましたが、まさに仰る通りです。


ゴンドラの次はロープウェイに乗り換えて、更に上を目指します。このロープウェイは20分間隔の運行で最終便が16:40頃(時期によって前後)とかなり早めに終わってしまうので、利用する際には要注意です。
大きな躯体のロープウェイには乗客私一人だけ。乗務員の方とマンツーマンでお話しちゃいました。今年の夏は意外にも例年以上の人出があったそうです。


ロープウェイを降りて舗装路を歩くと、今晩宿泊する「栂池ヒュッテ」が見えてきました。

 
最近建て替えられたらしく、山小屋とは思えない、とっても綺麗で温もりのある明るい建物です。電気や水道が完備されており、下界のように不自由なく滞在できました。

 
閑散期らしく、私のような一人客ですら個室が利用できました。7畳半ほどの和室です。山小屋なのに室内には地デジテレビが用意され、しかもコンセントが4口もありました。暖房も設置されています。窓の外はバルコニーとなっており、小蓮華や白馬岳が一望できます(撮影時には雲がかかっていたため、山腹しか見えませんでしたが)。
これだけ便利で快適なのに、一応山小屋としてのスタンスを貫きたいのか、トイレや洗面などの水回りは共用です。地階にはお風呂があり、混合栓カランが4基設置された洗い場、そして長方形で3人サイズの浴槽が利用できます(お湯は温泉ではなく沸かし湯の循環です)。洗濯機まで使えるのが嬉しいところです。


お食事は館内のレストラン「チングルマ」でいただきます。夕食は17:30だったか18:00だったか、とにかく山小屋的な早い時間のスタートです。入口には献立が書かれたボードがイーゼルに載せられていました。

 
白馬の山々を眺められる絶好の席へ案内されました。この日の夕食は、鰹のたたき・牛肉バーベキュー風・オクラのサラダ・山菜の煮物・とろろそば・みょうが醤油漬、そして食後はストロベリーフローズンケーキ。とても登山の前線基地とは思えないお上品なコース料理でした。


日暮れ頃になると、山に掛かっていた雲が全て消え、小蓮華や白馬岳の稜線を鮮明に望むことができました。明日もこの調子で晴れてくれるといいんだけどなぁ・・・。

その2(栂池ヒュッテ→白馬大池→小蓮華山→白馬岳)へつづく

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