大深温泉

秋田県

秋田八幡平に点在する温泉の中でも、温泉ファンから強い支持を集めている大深温泉。八幡平の温泉といえば、かつては湯治場としての色彩が強く、自炊してオンドルや蒸かし湯などでじっくり温まるというような光景があちこちで見られたわけですが、時代の波に流されて周辺の他の温泉はどんどん観光客に迎合してゆくなか、こちらは頑固なまでに昔からのスタイルを貫いており、かつての郷愁を求めに大深温泉を目指される方も多いのではないでしょうか。私はこちらに今まで2度ほど休憩と立ち寄り入浴でお邪魔していますが、宿泊したことはありません。大深温泉はオンドル小屋に泊まってこそ本当の価値がわかる場所ですから、立ち寄りだけの人間が偉そうに大深温泉のことを語れる資格は無いので、今回はいつものような駄文は抜きにして、画像とそのキャプションだけちょこちょことUPさせてください。


受付棟。こちらで料金を支払。
橋を渡って先へ進む。受付棟の先に湯屋があるが、ひとまず通過。

 
一帯は噴気帯になっており、源泉枡の姿も。

 
噴気帯のガレの上にオンドル小屋が建てられている。宿泊棟はこのオンドル小屋のみ。休憩の利用も可能。ちょっと入るだけでもムワっとする。ここで茣蓙を敷いて雑魚寝して、地熱の力で体を温めるのが、昔ながらの八幡平の湯治スタイル。数十年前から時が止まっているかのような光景。


小屋の外壁には蒸気を逃がすパイプが這わせてあり、そこから白い湯気が出ていた。パイプの口は硫黄で黄色く着色されている。


水場の水がキリリと冷えて美味い!


さらに奥の方にも噴気帯のガレ場が広がっている。

 
さて、来た道を戻って湯屋へ。ここでのお風呂は、オンドルでかいた汗を流すためにあるようなもの。共同浴場を思わせる質素な建物で内湯のみ。

 
総木造の湯屋。カランなし。6人サイズの湯船には青白く濁ったお湯が張られている。濁っているものの、浴槽の底は目視できる。源泉温度が高いため常時加水されており、42.1℃と丁度よい湯加減。大小様々な大きさの白い湯の花がたくさん浮遊し、お湯に足を入れると、沈殿している湯の花がボワっと舞い上がる。ゴムテニスボール的な風味を濃厚にしたような硫黄味と匂いに、泥っぽい味と微かな酸味(収斂)が感じられ、硫化水素臭も漂う。粉っぽいザラザラとした浴感。同じ八幡平の硫黄泉でも玉川温泉のように強烈な泉質ではなく、むしろ逆に薄くて優しいお湯なので、濃い温泉の刺激が苦手な方でも大丈夫。

 
源泉は木の樋から投入される。樋の内側は硫黄で真白に。温度は53.6℃。なるほど、これでは加水しないと入浴できないはずだ。湧出時にはもっと熱い。

久しぶりに文章を常体で書いてみたら、まぁ何て楽なんでしょう。
それはともかく、伝統的オンドル湯治スタイルを今に伝える大深温泉は、形態を変えることなく、便利になることなく、時代に媚びることなく、このままの姿で永遠に残ってほしいものです。

大深温泉
単純硫黄泉 77.1℃ pH5.8 溶存物質68.1mg/kg 成分総計121.8mg/kg
Na:2.7mg(21.82mval%), Mg:1.7mg(25.45mval%), Ca:5.4mg(49.09mg), S2O3:8.8mg(28.07mval%), SO4:9.4mg(35.09mval%), 遊離H2S:12.6mg
高温のため加水あり

秋田県鹿角市八幡平字熊沢国有林  地図
0186-31-2551

立ち寄り入浴時間 7:00~18:00 冬季(11月上旬~6月上旬)休業
500円
オンドル小屋休憩:750円/2時間(入浴料込み)

私の好み:★★★

コメント

  1. 裏ぱと より:

    良いですね
    八幡平も毎年伺ってますが奥が深いですね!もう紅葉シーズンですね!只今、仕事サボって日光湯元に連泊中です(汗)濃い硫黄泉は最高ですね…

  2. Takema より:

    懐かしい!
    大深温泉は何度か宿泊しており、連泊して
    ここをベースに遊び回ったこともありました。

    毎年同じ時期に行ってたから、八戸からの
    湯治ご夫婦と顔見知りになり「今年もよろしく」
    系になったことも懐かしい思い出です。

    あのあとTVで何度か取り上げられてから
    行かなくなっちゃいましたが、
    全く変わりがないようですね。

  3. K-I より:

    いずれは
    ぱとさん
    日光湯元ですか! 私も来月下旬に行こうかと思って、計画を練っていたところです。濃い白濁の硫黄泉は何度入ってもいいですよね。
    紅葉シーズンですね。来月時間があれば秋田に行ってみようかしら(^^)

    Takemaさん
    休憩ならオンドルを利用したことがあるのですが、私は極度の暑がりなので、あの小屋で夜を明かすことができそうになく、いまだ宿泊は未体験なんです。いずれは泊まってみたいのですが…。
    スタイルが変わっていないのは奇跡的かもしれませんね。先日某所の一軒宿のご主人から色々と伺ったのですが、客・旅行業界・地区内の同業他社との付き合い・金融機関・そして行政の嫌がらせ等、いくらスタイルを変えたくなくても、変えざるを得ない事情が多すぎるそうなので、昔のままの姿を貫いているのは、余程オーナーさんの意志が強く確固としているんでしょうね。

  4. 裏ぱと より:

    追記
    4月に日光湯元で連泊した時は、そうでもなかったのですが今回は、湯温が4℃位上がったのを確認できました!それと成分が若干変わった様です...!尚、10月いっぱい迄、小学生の林間学校かな?朝から晩まで奇声が凄いのでご注意を...

  5. K-I より:

    なるほど
    泉質や温度の変化は地震の影響なんでしょうか…
    >林間学校
    とっても重要な情報、ありがとうございます。
    私は以前、伊豆七島の式根島へ行った際、島をガールスカウトの女の子が占拠していて、野湯や露天で全裸になろうものなら、即座に変態視されてしまう、という悲しい経験をしたことがあり、それ以来、お子様団体客にはトラウマを抱くようになりました(あはは…)

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